精神世界と心理学・読書の旅

精神世界と心理学を中心とした読書ノート

ラマナ・マハリシの教え

2008-12-22 23:20:50 | さとり・覚醒
◆『ラマナ・マハリシの教え

ラマナ・マハリシの言葉には、究極の真実からまっすぐに私たちの心に響いてくる。何の飾りもなくストレートに響いてくるところに、彼の言葉の計り知れない魅力がある。彼の言葉から伝わるものを表現するのに、「まっすぐに響いてくる」という以外の適当な言葉が見つからない。これだけ言えば、それで充分な気がする。「真実がストレートに伝わってくる」と、これだけ強烈に感じる本はまれである。

おそらく数年前の私だったら、これらの言葉が心の底に沁みてくるような感覚は味わえなかったかも知れない。たぶんそれは、私自身が少しばかり瞑想をするようになったからだ。瞑想をし始めたからこそ、これらの言葉が響いてくるのだ。たとえば「心が外に出てゆくとき、悲惨を味わう。心の願いが満たされるときには、実は、心は自身の本来の場所に戻って」いるというような言葉は、たとえごくわずかでも自分自身の瞑想の体験と響くものがあって、心に沁みてくるのだと思う。この本の全体をそんな感じで読んだ。

語られている事柄は、古今の賢者が語ってきた内容とそれほど違わないのかも知れない。しかし、何度もいうがその独特の率直さに、私たちの心を揺さぶる力が秘められている。翻訳された言葉でありながら、なぜこれほどに伝わるものがあるのだろうか。「真実」の率直な表現が、その人物のあり方のすべてを運んでくるからだろうか。

まっすぐな真実がまっすぐに響いて来る言葉。言葉の不思議をこれほど強く感じたことがかつてあっただろうか。あまりにシンプルではあるが、そのシンプルな真実を伝える表現のまっすぐさの中に、何かしら「詩的な」、人の心に呼びかける力が隠されているのだろか。もしらしたら、この本に散りばめられている写真の力も大きいかも知れない。写真、その真実と慈愛に満ちた表情、そこからストレートに響いてくるものも大きい。言葉と写真が響き合って何かを伝えるのかも知れない。

「幸福は平和から生まれる。平和は障害物のないところにだけいきわたることができる。障害は、心の内に起こる想いによって生じる。心そのものが空(から)になるとき、完全な平和があるだろう。人は、その心を絶滅しないかぎり、平和を得ることも幸福であることもできない。そして、彼自身が幸福でないかぎり、他者に幸福を与えることはできない。」(P138)

「あなたのみじめさの原因は、外部の人生にあるのではない。それはエゴとして、あなたの中にある。あなたは自分で自分の上に束縛を押しつけ、それを超えようとして空しくあがいている。すべての不幸はエゴの帰因する。エゴとともにあなたのすべての困難がやってくる。本当はあなたの内にある不幸の原因を、人生のできごとのせいにすることでどんな利益があなたにあるというのかね。あなた自身にとって外的なものにすぎない事物から、どんな幸福を得ようとするのかね。もしそれを得たとしてもどれほど長く続くものだろうか。

もしあなたがエゴを否定し、それを無視することによって焼き尽くすならば、あなたは自由になるだろう。」(P149)


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