もの想う鷲 (A thinking eagle)

自然・環境を科学してみる

日本の政治経済的課題 (その12)

2007-10-25 23:49:45 | 政治・経済関連
日本の政治経済的課題 (その12- - -課題1(脱税大国ーその4/5))

脱税大国の締めくくりに入ります。我々日本人は、1人1人が心して身の回りから脱税をなくす努力をしなければならないと思います。税制を公正なものするように政府に圧力をかけ、見守ると同時に、各人が脱税をなくす努力をしなくてはならないのです。株を購入する時でも、証券会社の人は子供の名前にする様に奨めます。土地を売る時には司法書士は2通の契約書を準備しています。生活の隅々までこの様な状態ではだめだと思います。国の財政を立て直すにはこれしかないのです。日本は破産状態なのです。勿論国会議員や官僚は率先してこの様にしなければならないのは論を待ちません。彼らにはまず税を公正なものする責任があります。政治家は、Primary Balance をいつ達成するか、Manifestに明言しその実現に全精力をつぎ込んで欲しいです。官僚は自身のことよりも、Primary Balanceを達成する為に何をすべきか考えるべきです。国債の償還期限が来て支払いが出来ないと、すぐ国債を発行するような今の状態を何と考えるのですか。そしてメディアも新聞も何故この様なことを報じないのですか。サラ金から金を借りる多重債務者と同じことをしているのですよ。脱税者からはその脱税額の5倍を取るとかして、まず脱税すれば大損をするようにすべきです。国民総背番号制(ID制)にして全ての資産(貯金を含めて)をIDと関連付けにする必要があります。今の国会議員の資産公開など何の意味があるでしょうか。妻子のIDの資産まで公開しないと意味を持たないはずです。所得税の問題に関連して、中小企業の連鎖倒産については、彼らの生活権を確保する最低限の資産確保を法律で確保し、債権者から守る様にしないと先進国とは言えないでしょう。その上で税制も大会社と同じにすべきです。
また農業については、自由化自由化とアメリカは騒ぎますが、彼らの農業は持続可能な農業ではないのです。10,000年かかって土地が蓄えた地下水を50年で使ってしまう様な農業なのです。50年先にはもう農業は出来ない土地になってしまいます。政府はもっとアメリカに糺すべきです。持続可能な農業なら競争しても構いませんがこんな破天荒な農業と自由競争できないと。また夫々の土地には、その気候、風土に合い、その居住者で耕作者でもある人たちが営々として育て上げた作物があるのです。採算だけで作物を選ぶやり方は間違っていると。
今までの著者の言の中に多くの問題点が指摘されています。ここでは政府の税制改革について纏めています。ここで日本政府の導入した消費税については、初めて詳述していますが、それ以外は、今までに著者が述べたことを総括しているだけです。

"政府がその財政赤字をなくすために、歳入を増やす必要が出てきた1970年代末期から、税制改革の圧力は高まってきた。政府は、累進所得税方式には手をつけないで、法人税をさらに上げた。所得、大会社とその従業員に厳しく、消費、経営者、と農民にやさしいという不公平は増大した。したがって、非常に不公正な税システムからさらに歳入を増やすということは、政府にはできなくなった。明らかな解決策は、新しい販売税を課すことであった。その最初の試みは、1970年代の末であった。大平首相は付加価値税を導入する計画を発表した。これは大企業とその従業員を喜ばしたけれども、自由民主党の全ての他の支持者からの怒りを買った。付加価値税そのものは悪いのではなかった。問題なのは、その徴収の過程で,税務官が商店経営者や小規模経営者の真実の収入を発見してしまうことであった。付加価値税はインボイスシステムに基づいて働く。税は製造と販売の各段階とサービスにかけられる。会社は売るときに税を請求し、購入品に対して税を支払う。かれらはその差を政府に支払う。しかしながら彼らが支払った税を取り戻すには、その主張を証明するために購入のインボイスを提出しなければならない。各社は購入する全てのものに適切なインボイスを要求する動機がある。だから各社は販売する全てのものに適切な伝票を出さなければならない。このシステムはそれ自身で機能するのである。ただ最終の消費者だけが税を取り戻すことが出来ず、伝票を要求しない。しかしなお商店経営者は彼が売った物を示す為にインボイスを出さなければならない。付加価値税は会社に適切な帳簿を保管することを強要する。全ての取引について紙の記録が保管されなければならない。これは脱税者がもっとも望まないものである。大平首相は自民党と議会で付加価値税を導入すべく戦った。彼は国民にその可否を問い、総選挙を要求したが、その遊説の中で他界した。この問題は、中曽根首相が税改正を再び提案した1987年まで棚上げされた。中曽根首相の努力も挫折した。三度目の正直で、首相を継いだ竹下氏が1988年に成功したが、それは違った方法で徴収される販売税に付加価値税を変更したから成功したのである。1989年4月に発効した販売税は企業会計に基づいて課税されている。大会社は、所得税の為に準備するのと同じ、彼らの会計 に基づいて販売税を算定される。彼等は彼らが徴収する販売税を1年に2度に分けて支払うから、この税システムから利する。その間に税を使えるからである。年売上高5億円未満の会社は、彼らの売り上げの80%に相当する購入品に販売税を支払ったと仮定され、残りの20%に対して3%の税を支払う。年売上高3000万円以下の会社は販売税を免除されているが顧客からは販売税をとっている。1988年の税改正は個人所得税も大幅にカットした。累進課税率のクラスの数は10%~50%の5の段階に減らされた。地方税率のクラスの数も減らされた。税の控除も単純化され増やされた。被雇用者の税負担も減らされたが、インフレ分を償うだけであった。法人税は1990年から後37.5%に減らされることになった。しかし1991年度は湾岸戦争の寄付の為に法人税カットはその分戻された。1980年代に税を改正するために大きな政治的な戦いがあったにもかかわらず、泰山鳴動して鼠一匹であった。全体としての税システムは変わっていない。販売税が徴収した追加的な歳入も、物品税の撤廃や他の間接税の削減により失われた分を補ったに過ぎない。1988年は、税の歳入の36%は個人所得税からであった。法人税から35%、消費税からは25%であった。1991年は、個人所得税から41%、法人税から31%、消費税から24%であった。新しい税も脱税を少しも減らすことにはならなかった。それどころか、それは、一般大衆を犠牲にして、経営者、商店経営者、個人営業者に更なる利益をもたらした。怪物の所得税システムは手付かずのままである。マル郵システムの撤廃は、郵便貯金者の匿名性を温存するように細工された。同様に、株式市場からのキャピタルゲインは投機家達の匿名性を温存した。農家は引き続き特別の税の優遇をうけている。より多くの土地を開発の為に解き放つことを奨励するようなこともしなかった。脱税を防ぐ手立てもなんらなされなかった。1980年代の初めと比較しても、歳入を増やす手立ては何らなされていない。1989年以降税改正の圧力は減ってしまった。好調な経済による多額の税からの歳入が予算を健全な黒字に押しやった。高い税率から追加的な税の歳入を増やす必要は外見上は消えた。しかし、国際収支と同じく、バブル経済は税の問題を直すよりも不透明にした。経済が減速するにつれ、税によるさ歳入は減り、税改正の必要が再び襲ってくるであろう。政治的な闘争はすぐに再開され、今まで以上に、血なまぐさいものになるであろう。”と。
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日本の政治経済的課題 (その11)

2007-10-25 23:47:33 | 政治・経済関連
日本の政治経済的課題 (その11- - -課題1(脱税大国ーその3/5))

著者は続けます。

”Shoup教授は、死亡時の贈与と遺産に関しての税金を導入した。その年の贈与と遺産に関する税金は、納税者が前年にいくら受け取ったかによっていた。日本人はこの考え方を捨ててしまい、日本人しか考えられないようなを怪物を作り出した。非の打ち所の無い論理で、間違った仮定から馬鹿げた結論に行ってしまった。彼らの論理に従えば、遺産に関する税は受け取る人の富によって決まるというのである。富裕な人ほど多く払うべきだというのである。結局 ’お父さん’ のお金はその一番貧しい家族に行くべきであると家族が同意し、税金が払われてから、それを分かち合うということになってしまった。1958年に導入された現在の方法はこのずるい方法を回避する為に考え出された。人が亡くなれば、彼の資産は、生きている彼の親族に分割される。全ての親族は、親族の数と故人との親密さによって変わるが、法律によって決められた分け前にあずかる。それぞれの遺産を受け取る人によって払われる税金は、累進的に計算される。遺産に関して支払われるべき税金は個々の税金の総和である。この計算によって出てきた平均の税率が、誰であろうと、どんなに多く受け取ろうとも、実際の受益者に適用される。贈与に関しては、受け取った人が払う。贈与税は一年間に受け取った額に関する年額の税金である。死の3年以内の贈与は死者の遺産の一部と計算される。公的事務所を持っている政治家への贈与は、彼がそれを私的なお金として、保管しても税を免除される。贈与税は何ら問題を提起していない。税徴収官の知る限りでは、日本人は吝嗇な国民である。実際はそうではない。しかし現金は容易に隠されるから、贈与税は簡単に回避できる。相続税はまた別問題である。人が死んだ時に残される富の大部分は、不動産である。株券や現金と違って、所有権は容易に隠されない。1980年代の末の様に、土地や家の価格が高騰している時には、全く普通の人でも大資産を残すことができる。東京や大阪の近くでは、小さな家でも2億5千万円に評価されるのが普通である。東京の小さな水田- -たくさんあるが- -も同じように高価に評価される。遺言検証の為に、家については、公開市場の50%下の価格で評価されるという救助策がとられた。しかしながら相続税は支払わなければ、罰せられるし、大抵の人にとっては不可避である。さらにそれは6ヶ月以内に支払われなければならない。大富豪のみが相続税を支払わずに済む。自分の証券に関して多額のローンが有るようにしてあの手この手で相続税を逃れるのである。彼らは会社の帳簿をいじくるのである。このような選択肢は通常の俸給生活者にはない。彼等は財産を売って、死んだ時に遺産を残さない様にする。しかし、土地や建物のキャピタルゲインは税金を支払わなければならない。10年以上保有された財産の様な長期にわたるキャピタルゲインは税金が比較的に安い。一方短期的なキャピタルゲインは、最低52% または 累進課税の最高税率の110%のいづれか高い方で課税される。1989年の税改正も、控除を2倍にしたけれども、相続税を軽くすることに少ししか役立ってはいない。しかし同時に遺言検証の評価は市場価格の70%に上げられた。1979年と1989年の間に死者が残した不動産の価格は5倍になった。相続税を免れるのは困難であるけれども、誰もがそうしようと最善を尽くす。1989年に監査された11,247件のうち、98.6%が不正をしていた。85歳で亡くなった東京の弁護士の遺族は、6億2千3百万の脱税で逮捕された。多くの証券と貯金通帳が、遺族の夫々の箪笥の中に、金と白金が遺族の1人の経営する病院の中で、発見されたのである。”と。

”Shoupの付加価値税は導入されなかった- -商店経営者が反対したのである。地方政府の所得税がそれに替わった。しかしながら、1980年代後半には、間接税は、日本の歳入の約1/4であった。消費税は、日本の政治家と官僚の大好きな複雑さ、厳しさ、及び 行き当たりばったりの出来事的な支離滅裂さ という特徴を持っている。物品税は、ただ分類するだけでも2ページに亘る項目のリストの基づいて、メーカー あるいは 小売業者 の売値のパーセンテージとして課税された。 リストは明らかな奢侈品を含んでいた- -毛皮のコート、宝石、自家用車、モーターボート、及び ヨット。 また、家庭用冷蔵庫、空調器、机上ランプ、テレビ、ラジオ、カーペット、家具、置時計、腕時計、洗濯機、ハンググライダ、化粧品、ソフトドリンク、コーヒー、ココア、お茶も含んでいた。ゴルフボールは課税された。テニスボールは課税無し。ウォータースキーは課税された。雪上スキーは課税されなかった。税率は5~30%であった。通常の物品税はアルコール飲料、タバコ、石油、及び乗用車の登録料金、の消費税も含んでいた。しかしまた砂糖、トランプや花札、劇場チケット、パチンコ機械、ホテルのルーム使用と食事、公衆浴場での入浴にも特別な税金があった。これらの税金、カテゴリ、及び税率の支離滅裂ぶりは政治家が製造の関係者のグループに有利に計らい、あるいは輸入を制限し国内製品を優遇するために詳細が調整されたということを物語っている。前者の一例が1986年に明るみに出た。すなわち、2人の国会議員が、一人は5百万円、もう一人は2百万円 の賄賂を 撚糸機協会から取ったとして起訴されたのである。問題は、この2人の国会議員が通産省の官吏に賄賂を渡し撚糸機協会に有利な計らいをするように頼んだのだった。官僚は少なくとも、官吏である間は、不正をしてはならないと考えられている。この2名は元通産省の官吏であった。このうちの1名は撚糸機協会の会長であった。”
”日本では脱税をしても社会的に汚名を負うことはない。多くの日本人が悩むのは、自分は他人よりその機会が少ないということである。大会社とその従業員は脱税の出来るものを殆ど持たない。従業員は給料から税金を源泉徴収される。大会社は適切な帳簿を保持しなければならない。こうした従業員は彼らの所得の90%を申告していると思われる。医師、弁護士、小企業の経営者、芸術家、音楽家、のような人達は彼らの所得の60%を申告しており、農業従事者は40%を申告していると考えられている。これらの数字、90-60-40は、広く引用されており、”クロヨン”として日本人のよく知るところである。脱税者を逮捕すべく真剣な努力がされている。1988年度に、国税庁は168,962件の脱税ケースを追跡したが、その結果は、7240億円、1件あたり平均4,500,000円、の収入の過少申告であった。これはサラリーマンのその年の平均収入3,700,000円を超えていた。脱税の悪玉リストのトップに座っているのは、パチンコ店経営者であった。平均3,800万円の収入の過少申告であった。多くのパチンコ店経営者はその地域のヤクザであり、その地域の政治家と密接な関係を持っていた。二番目に座るのは病院であり、開業医と産婦人科医は夫々14番目、15番目であった。葬儀屋は6番目、バーの経営者は8番目であった。不動産業者、サラ金、魚の仲買人、ラブホテル経営者、は 夫々に13位までに名を連ねている。逮捕されれば、逃れることは殆ど出来ない。1987年と1988年度では95%が起訴され有罪になった。しかし容易い逃げ口がある。国税庁に疑われていると気づけば、申告が誤っていたと認め、訂正し、それに基づいて税金を払う手である。慣例的に、このような支払いがなされた場合は、さらに追及されることはなかった。これを利用して、1991年に日本の4大証券会社は大口の顧客に、彼らの証券取引での損失を弁償しようとした。彼等はこの損失を営業経費として課税所得からそれを控除したのである。この場合は、国税当局が彼らの知っていることをメディアに流し、証券スキャンダルにしたのである。”と。
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