物造庵 ものつくりあん ナラ(楢崎賢)

ものつくり人「ナラ(楢崎賢)」による
絵や作品の制作過程、自作詩の発表、その他徒然…

今村夏子 『こちらあみ子』

2021年07月19日 22時42分49秒 | 徒然のこと


久々に読んだ小説は、今村夏子の「こちらあみ子」。
薄皮で隔てられている世界のあちらとこちらを行ったり来たり漂っているような女の子の話。
どうしようも哀しくて、でもわりかしナイーブでもないから、さらによけいに哀しさがつのってくるような物語だ。
胸に浸み入ってきて傷を残していくような…。
あみ子は無垢で残酷だと理解されがちだろうが、それは違うんだ。残酷なのは世界の方だ。あみ子を受け入れられない世界が残酷なんだ。
まるで一編の長い詩を読んだような読後感。
いい小説だ。
この読後感を味わいたいから、あとの2編はまた明日読むことにする。



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