短編小説集。
読みながら、そういえば江國香織はあまり自分に合わなかったなぁ、と思い出した。旅とか、外国人の名前とか、スタイリッシュな立ち居振る舞いとか、さっぱりした綺麗な文章とか。リアリティって、きっと人によって違うものなんだろうな。でも読みすすめるうちに慣れたけど。『桃子』は割合好きなんだけどなぁ。
風が吹く。
風の音を閉ざした家の中で聞く。
あの風で吹き飛ばされた。
虫がいるか想像している。
もし僕が虫で。
風の中にいるならば。
いいも悪いもなく。
ただ翻弄される。
いきることそのものだろう。
そろそろ僕はドアを開ける。
無駄なことを今日もしようね。
人間であることを謳歌するために。
せめて人間でいる間は。