中学生のいじめを舞台にしているけれど、いじめがテーマの小説ではない。
弱者の論理と強者の論理とのぶつかり合いの場面もあるけれど、道徳がテーマの小説でもない。
たぶん。
斜視を手術で治した主人公が初めて見た世界のどうしようもないほどの美しさと残酷さ。世界に意味があることと意味がないことの同一さ。それを受け入れて生きていくしかない人間のかなしさ。があふれるラストに収束されている、気がする。けれど、これは僕の勝手な解釈です。
4本足の鳥。
6本足の象。
8本足の鰐。
10本足のカブトムシ。
2本足のニンゲンは。
なんだかちょっとさみしいです。
せめて3本足になればいい。
時速5キロで歩いてる。