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12月20日松下幸之助一日一話(松下幸之助.COM)
日に十転す
古人は“君子は日に三転す”と言ったという。君子は時勢の進展というものを刻々と見て、それによく処しているから、一日に三回も意見が変わっても不思議ではないというのであろう。
今日はおそろしくテンポの早い時代である。そうした時代に、十年一日のごとき通念で、ものを見たり考えておれば判断をあやまることも多いだろう。昔ですら君子たるものは一日に三転しなければならなかった。テンポの早い今日では、日に十転も二十転もするほどの識見と判断の素早さを持たねばなるまい。
人間の本性は変わらぬものだが、その上に立って、変わりゆく時勢の進展に刻々と処していくことが大事だと思う。
【コラム】筆洗
2013年12月20日東京新聞TOKYOWeb
▼香りのプロともなると、天然と人工合成の香料を、二千五百種ほどもかぎ分け、記憶しているという
▼そういう鼻の持ち主だから、こんなことも起こる。通勤電車でよく会う知人の息に妙な臭いが潜んでいるのに気づく。一種の腐敗臭だ。気になったまま別れ、二度と会うことはなかった。胃がんで間もなく亡くなった。練達の嗅覚は、死期をもかぎ分けてしまったのだ
▼猪瀬直樹さんのインタビュー集『日本凡人伝』に出てくる化粧品会社の調香師の体験談だ。その道のプロの技の妙を伝える本は少なくない。だが、この本ほど、語り手の息遣い、その人に染み込んだ時代の空気までをも活写している本は、そうない
▼猪瀬さんの作家としての嗅覚は脱帽ものだ。『天皇の影法師』『昭和16年夏の敗戦』…。近現代史の急所をかぎ分け、鮮やかに切り取る手腕で読者を魅了してきた
▼政治をめぐるカネの腐敗臭は、それほど優れた嗅覚をも狂わせてしまうのか。「徳洲会」グループから五千万円を受け取った疑惑で、猪瀬さんが都知事の座を降りた
▼すべて疑うのが、作家。自分自身を疑うだけでは、十分ではない。権力機構までをも抱え込みつつ、自分自身を疑えば、感性が研ぎ澄まされる-とは、猪瀬さんが『東京の副知事になってみたら』に記した言葉。作家猪瀬直樹はいま、政治家猪瀬直樹をどう見ているのだろう。
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