無題そのさんびゃくよんじゅうご

引っ越しをして、十日を数えた。始めは他人の家のように思えた部屋も、少しずつではあるが、自分たちが過ごしやすいように変わってきていて、この分だと、一ヶ月を過ぎる頃には、かなり居心地のいいスペースになっていることだろう。

今回の住まいで一番の利点は、何といっても駅からの近さ。のんびり歩いても、五分以内で駅から家に着いてしまうので、今日のように雨が降っている時などは、あまり濡れずに帰宅できて、本当にピリオドを助かっている。
また、駅近くではあるが、線路からは多少の距離があり、間にいくつも住宅が挟み込まれているために、騒音などとも、ほぼ縁がない。

ロフトも広いし、いまのところ、あまり不満がないのが欠点というところか。あまり良いので、座りが悪いというのか。

きっとこの家にも欠点はあるし、少しずつ不便を感じることもあるかもしれない。これまで二駅利用していたのを考えると、片方の駅からはだいぶ離れたし。
が、長く付き合う内に、人間関係も深みを増していくように、家との関係もまた、住めば住むほど、長所と短所を理解して、味のある関係になっていくだろう。そうに違いない。その日が来るまで、ちょっとだけ、よそいきの雰囲気を感じながら、ゆったり時を過ごしていくとしよう。