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日経のFT買収の陥穽は何か?

2015-07-25 21:54:48 | 日記

日経新聞がFTを買収した。日本のメディアが先進国の著名な媒体を買収するということで、日本をはじめ英米のメディアの注目を集めている。1年前からドイツの大衆紙「ビルト」を発行するアクセル・シュプリンが-と協議を重ねてきたが、5週間前から日経が参入、8億4400万ポンド(1600億円)を現金で用意するということで、最後の詰めは10分で合意に達したと言う。それを知ったシュプリンが-は撤退を表明、日経に決定した。今回の案件は「日経が買収した」と言うより、「FTが身売り先を探していた」―ーと言うのが重要だ。FTサイドにも余程のっぴきならない財務状況があったのだろう。25日日経は社説「グローバルな再編時代を迎えたメディア 」で新時代を見据えた買収と大見得を切った。つまり、日経の狙いは①FTの持つブランド力②電子有料版読者数(約50万人)③電子媒体の拡大ノウハウ④アジア情報の市場を英語圏に求め、委縮した日本市場から脱却する橋頭堡とするーーだろう。

FTのオーナーであるピアソングループの主力はすでにニュースより出版に重点を置いている。FTの編集権が維持されること、出来るだけ高く買ってくれるメディアが現れれば合意は難あることでは無い。日経にとって高い買い物だったか安い買い物だったか―ーに巷雀の話は移っているが、米ニューヨークタイムズは「5倍高い」と辛辣に断言している。24日記者会見した岡田直敏社長は「日経はアジア地域での取材力では現在でも世界一。日経の持つアジア情報をFTに提供したい」と語っている。その通りだろう。今や先進国経済より発展途上国の方が将来性は確実だ。アジア圏の経済産業情報は需要が末広がりだ。しかし、理屈は通っているにしても日経にとって高い買い物に間違いない。屋台骨を揺るがすほどであるかどうかは分からないが。

私はFTの事情より大きな気懸りなことがある。それは、2008年9月のサブプライムローン危機を遥かに超える「金融崩壊」だ。今起こっているギリシャの財務危機にしても、中国の株式市場急落にしても、根底には「金融資本の市場喪失」がある。簡単に言って投資先が無いのだ。タコが自分の足を食って凌いでいる状況なのである。再起したかに見えるアメリカですら、ドルの大量発行で息を継いでいるのが実態だ。ン内に予想されているという出口戦略=FRBの金利引き上げも、いまだその影響が読み切れていない。出口戦略が定まっていないほど危うい状態にあるのが現実だ。FTという、産業情報ではなく金融専門情報が時限爆弾の破裂に直面することは無いのか? 

時限爆弾であるからいつかは爆発することは避けられないのだ。それは10年はかからない。数年以内かも知れないのだ。屋台骨を粉砕する巨大な爆弾が仕掛けられている。

追伸:日経とはかつてお世話になった関係にあり、黙過することが出来ず寸言献上しました。本来の健康・医療から離れる原稿が多く、健康医療に関するいろんなご意見を募集しております。ご参加をお願いします。

 


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