バッチに挑戦 メンバーシップ(その2)
(前回までのお話)
カエル班長は、いま一つ、班のまとまりがなくて困っている。
隊長に相談したら隊集会はプロジェクト・アドベンチャー(PA)に挑戦することとなった。
いろいろなゲームを行ううちに、最初はとまどい気味の隊員も動きも活発になり、次第に笑顔がこぼれていました。
でも、肝心のカエル班長が活動にいま一つ気後れしているみたい…
2 ディインヒビタイザー…恥ずかしさの壁を下げる
それじゃぁ、次はスピード・ラビットというゲームだぞ。
お~
□ スピード・ラビット
・円形に集合する。鬼になる人を1人決めます。鬼は円の真ん中にいます。
・両隣の人と3人1組で次の動物を作ります。
<ウサギ> 真ん中の人は、両手を上に伸ばしで耳を作り、歯をかちかち鳴らす。両隣の人は足です。左側の人は左足、右側の人は右足を素早く踏みならしながら、「スタンプ、スタンプ」といいます。
< 象 > 真ん中の人は、腕で長い鼻を作り、それを上下に動かしながら、「パオーツ、パオーツ」と叫びます。両隣の人は、しっかりと真ん中の人にくっつき、大きな耳を作ります。
< 牛 > 真ん中の人は、両腕を抱えるように、牛の乳をつくります。両隣の人は、その乳をぎゅっぎゅっと搾るポーズをします。
< 犬 > 真ん中の人は、両手を上に伸ばして電柱です。両隣の人は犬です。片足をあげて電柱におしっこを引っ掛けるポーズをします。
・鬼は、だれか1人を指さし、上の4つのうちどれかひとつを言い、そのあとすぐに、素早く1から10まで数えます。
・指された人とその両隣の人は、鬼が1から10まで数え終わるうちに、言われた動物を作ります。
・遅かったり、違う動作をした人は、鬼と交代します。
ぱぉーん、ぱぉーんだってぇ
牛のおっぱいだなんて、恥ずかしいよぉ
しゃぁいくぞ! ぞうっ!1、2、3、4、5、6、7…
ぱぉーん
クスッ
うさぎ!1、2、3、4、5…
カチカチ
スタンプ・スタンプ
アハハぁ
みんな、なかなかうまいなぁ
隊長!次!次!もっと早く出してよ!!
ディインヒビタイザーは、ちょっと恥ずかしいなと思うことをわざとやって、逆に恥ずかしさの壁を下げる目的で行います。アイスブレーキングのゲームで、かなり体も心もほぐれてきたころに行います。そういう雰囲気にないときは、行わない方がいいかもしれません。
最初にルールを説明すると、恥ずかしいという雰囲気になりますが、ゲームを進めていくとおもしろい、もうちょっとやろうに変わります。
お互いのこっけいな動作を、笑いあい楽しみあうことで、「別にバカなことをやっても大丈夫なのだ」という安心感とともに、気持ちのほぐれをいっそう進めるのです。
カエル班長も心の壁がぐっと下がってきたようです。いま一つまとまりがなかったのは、班長が無意識に心の壁を高くしていたからかもしれません。
PAは、仲間の信頼関係を築いていくプログラムに進んでいきます。(つづく)
PAのプログラムの組み立て
PAのプログラムは、アイスブレーキングからはじまり、ピークエクスペリアンスにおわることを基本としています。もちろん、その場の状況に応じて若干の変更はされます。また、全てが終わったら、再びアイスブレーキングからはじめ、効果をらせん状に高めていくこともあります。
(1)アイスブレーキング(Ice Brake) 緊張をほぐす。
(2)ディインヒビタイザー(De-Inhibitizer) 気持ちの上での抑制をゆるめる。
(3)トラスト(Trust) 信頼関係を築く。
(4)イニシアティブ(Initiative) 課題を解決する。
(5)ピークエクスペリアンス(Peak Experience) 至高体験
ディインヒビタイザー用ゲーム
※ゲームを行うときは、成人指導者の指導のもと、安全には十分注意すること
□ 進級じゃんけん
・全員、最初は「初級」です。ボーイスカウトとしてひよっこです。しゃがんで腕で小さな羽を作って、「ぴよぴよ」と可愛らしく鳴きます。
・初級同士でじゃんけんをします。じゃんけんで負けた人は、違うひよこを見つけて、勝つまでじゃんけんを続けます。
・初級同士のじゃんけんで勝った人は、2級になれます。やっとつらい身分から開放されたので(時代が古いかな?)、立って、両手でVサインをしながら、「やったね。やったね」といいます。
・2級は、2級同士でじゃんけんをします。じゃんけんで負けた人は、初級に戻ります。
・2級同士のじゃんけんで勝った人は、1級になれます。いばって、両腕をくみながら「えっへん、えっへん」といいます。1級同士でじゃんけんです。
・1級同士のじゃんけんで負けた人は初級に逆戻りです。
・1級同士のじゃんけんで勝った人は最高の級である菊になり、あがりです。
・「初級」→「2級」→「1級」→「菊」の順で進みます。同じ級の人とだけ、じゃんけんができます。勝ったら、一つ上に進級、負けたら初級に逆戻りです。菊になれたらおしまい。初級から1級それぞれ1人ずつ残った時点でゲーム終了です。
□ サムライ
・ちょっと大きめの円形に集合します。
・円の真ん中にロープで輪を作ります。輪の中には新聞紙を筒状にした物・サムライの刀をおきます。
・最初のサムライを1人決め、その人は円の中に入ります。
・ゲーム開始です。サムライは、刀を持ち、だれかをタッチしに行きます。タッチをしたら、素早く刀を輪の中に戻して、タッチした人の場所に収まります。
・タッチされた人は、素早く、サムライが置いた刀をつかみにいきます。タッチされた人は、サムライが自分のいた場所に収まる前までに、サムライにタッチすることができれば、もといた場所に戻ることができるのです。
・逃げられてしまった場合は、タッチされた人が新しいサムライになります。
・夢中になると、存外きつい一撃になりがちなので、常に柔らかいタッチを心がけます。また、安全上、タッチする部位は、「ひざから下」とします。
≪参考≫
プロジェクト・アドベンチャー・ジャパン http://www.pajapan.com/index.html
宮城アドベンチャープログラム研究会 http://www.isn.ne.jp/~hiro-y/map/index.html
わんぱくキャンプワールド http://www30.tok2.com/home/wcw/index.html
≪関連バッチ≫
A-1 メンバーシップ
1 班としての目標を話し合い、その目標に自分がどのように関わるかを述べる。
2 班の中で役務を分担し、自分の役務について内容、心構えを述べる。
3 自分が得意とする技能を他の班員に教える。
4 班会議で自分の意見を述べる。
5 団の一員として、団関係者に所属団の歴史を聞く。
6 他の団のスカウトと友達になれるように、他団との合同行事などに参加する。