それでも永山則夫が好きだ(スピンオフ)

「ねっとわあく死刑廃止」や、無期懲役囚で「とらえなおし」で知られる飯田博久さんや、小松川事件の李珍宇のことを書いたり色々

『沈黙の声』合冊版発行にあたって(プロローグ)

2017-01-16 18:35:26 | 会報『沈黙の声』(その1)

・左は2007年出版『死者はまた闘う』
・右は、武田和夫さんが永山則夫に追放された後、1983~1985年間に武田和夫さんが作成された会報『沈黙の声』を冊子にしたもの。

武田さんは、1977~1982年まで永山を支援しましたが、永山と意見が合わなくなり、永山から追放されました(詳しくは【死者はまた闘う】をご参照ください。)そのあと、風人社という名前の団体を立ち上げ、死刑廃止活動を続けられたようです。

『沈黙の声』には、武田さんが永山を支援していた時代の永山裁判闘争記や、追放された後、永山に対して反論している内容、彼の死刑廃止思想などが記載されている。ちなみに、永山側の会報、要するに永山が武田さんをバッシングしている会報やビラは、このブログに載せません。だから比較対象物が無くて申し訳ない。とりあえず、永山は武田さんを追放したあと、「武田はスパイだ裏切り者だ」と激しく、ビラや会報で書き立てていた、と想像されてください。

以下、『沈黙の声』合冊版発行にあたってのプロローグ部分を、以下に載せます

 


 

「沈黙の声」合冊版発行にあたって

 昨年、法務省(法相嶋畸均―当時)は5月31日に同日2名、7月25日1名と、計3名の死刑確定囚への処刑を強行した。これは、79年以降の死刑執行は毎年一人という現状において、極めて異状な事態である。それはこのかんの死刑廃止の世論の高まり「にもかかわらず」と単に抗議するだけの問題ではなく、また法務大臣の個性の問題でもない。それは法務省=行政当局の、現在の「死刑」をめぐる状況に対する認識の反映であり、あえてかかる。異状”な処刑強行を行なう以上、権力当局の危機意識の反映に他ならないのである。我々は敵側の政治判断の内容をはっきりと読みとり、その上にたって今後これに対しどう斗つていくかを決定していかねばならない。

ここに収録した、風人社1死刑とたたかう人民連絡会議(準)の機関紙「沈黙の声」バックナンバーは、最高裁が永山裁判高裁「無期」判決の破棄差し戻しをふまえて、約二年半停止していた死刑上告事件の審理を再開し、具体的に死刑確定判決を出していくことで「死刑存置」実質化を先導していくという反動攻勢のなかで、最高裁に焦点をあてだ83年夏から85にかけての斗いの軌跡を示している。

 このかんの斗いは以下の要素から成り立っている。

①永山裁判最高裁「差し戻し」をめぐる彼我の政治状況の分析と暴路
②最高裁を頂点とする反動攻勢に対する反撃
③その過程で、「減刑」に至る永山裁判斗争を主要に担ってきた武田を「スパイ」にデッチ上げ権力に売ろうとし、斗いを変質破壊した永山則夫の反動化との斗い
④死刑制度と日本に於るその特殊性の本質の理論的解明と、「死刑」との斗いの人間解放の斗いとしての普遍的内実の提起

詳しくは、合冊版の内容を参照されたいが、現状を簡単にのべておこう。最高裁は当初、年間三件のぺースをおしすすめようとした。処がこれに対する署名抗議、傍聴監視、最高裁前抗議情宣、裁判支援更には死刑執行に対するハンスト抗議等が諸部分によってとりくまれる中で、一昨年には2件(3名)の仲間に死刑確定判決を下したが、昨年4月忙は一名の仲間に対し、公安・警備計40名の動員のなかで判決を下したあと、7月弁論の事件か弁護側の補充書提出により判決日程か入らぬまま、ついに年内には他の事件でも弁論日程を入れることができなかった。―法務省による「3名処刑」は、まさに最高裁のかかる状態に対する、行政権力の「テコ入れ」としての性格をもつものだったのである。

風人社は、一貫してこのかんの斗いの一端を担うと共に、その中で、日本が「ブルジョア近代国家」として存立する為に不可欠の国家的幻想体である天皇制によって絶対的に要請されたものであること、敗戦により廃止された「大逆罪」が、いつでも顕在化させうるものとして一般死刑制度のなかに生きていること、を訴えてきた。

同時にわれわれは、「殺人」の加害者、被害者を決して出会わない両極に分断対立させてきたものこそが死刑という国家制度であること、死刑廃止とは、人間を生かす未来の人間観の獲得の問題であることも、訴えてきた。

われわれのめざすものは、個別の死刑制度の廃止に止まらず、日本における「死刑」との斗いをつうじて、国家の根幹にせまるより普遍的な斗いのなかで、様々な斗う仲間達と出会っていくことである。そしてわれわれは、このかんの斗いをつうじて、日本における

「死刑」との斗いは天皇制を根幹とする日本国家の本質にせまる斗いであるとともに、「国家」を破砕して真の共同性を獲得する人間の復権の斗いであり、またそのようなものとして斗われなければならないことに、一定の確信をもつに至った。

今年、権力は更なる反動攻勢をこの領域に加えてくることであろう。権力は恐らく、直線的・一面的思考では対応できないチミツな政治攻勢をかけてくるであろう。
この合冊版は、かかる状況にのぞみ、現在の「死刑」との斗いの内実を心ある全ての仲間、斗争体K訴えるとともに、全ゆる分野の人々が、自らの領域で「死刑」の問題をうけとめ、討論し、広めていくことによって、斗いがより重層的・有機的な広がりをもっていくための一助とするための、われわれからの提起とするためである。
仲間達、共に頑張ろう!!

1986年1月
風人社(死刑とたたかう人民連絡会議(準))


 

以下、管理人のつぶやき

>5月31日に同日2名、7月25日1名と、計3名の死刑確定囚への処刑を強行した。

これらの刑死囚は誰なんだろう?と思ってネット検索してみたら、

1985年(S60)5月31日に処刑された、古谷惣吉

ということしかわかりませんでした私の検索のかけ方が上手くないのかもしれない。



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