王様、6歳でした

５月１１日。いつもと変わりない一日。

王様が６歳になった。

そろそろ健康診断をしなければと考えている。


先代の猫“ハナコ”が腎臓病とわかったのが6歳位だった。
それからの2年半は、獣医さんへ通いづくめの日々。
看取るのがあまりに辛かったので、もう二度と動物とは暮らすまいと決心した。

そして３年。
ネコ欲しさの誘惑に負け、“慎”を地元のボランティアからもらいうけた。

しかし、その時の万里村はマンガに疲れきっていた時期。
思うように進まぬ仕事の忙しさに負けて、慎を親元に預けっぱなしにした。


やがて、仕事をセミリタイヤ。
暇になったから帰っておいでと慎を我が家へ連れ帰ったら、
「おまえは遊びに来るオバサンでおかあさんじゃない！」と全身で拒まれた。
子捨ての前科者となった万里村は、猫飼いへの道のりが、再びグンと遠のいた。


慎から７年後、
ウーロン茶を買いに行った帰りにちらっと覗いたショップのガラスケースの中に、
二匹のチンチラがころころ遊んでいた。

先代ハナコも、仕事明けにふらりと立ち寄ったデパートで見かけたヒマラヤンを
そのまま持ち帰って来た衝動飼いだったから、
今度こそじっくり一晩!?は考えるんだと、自らを引きとめた。

ペットショップで動物は買わなくていい。
どうしても欲しかったらまた地元のボランティアを訪ねれば・・・・




しかし次の日、開店が待ち切れない思いで迎えに行ってしまった。



ガラスケースには何も入っていなかった。
店員さんに聞いたら、
「女の子の方は昨日売れました。
　男の子のほうは、ずっと店頭にいると疲れるので、今日は裏のケージにいます」
とのことだった。

『ああ、私を待って裏に隠れてたんだ』
都合のよい運命論をぶちあげた。

抱かせてくれたちびっこは、
とりたてて器量良しとも思えないが、物おじしない子だった。

連れて帰り部屋に放すと、３歩ほど警戒するように歩き、
そのあと、はじけたように縦横無尽に走り回った。










６年後、今の王様になっている。