漫筆日記・「噂と樽」

寝言のような、アクビのような・・・

草木なおもて往生す、いわんや

2018年06月25日 | 言葉遊び
先日、NHKで、
「マンダラと生きる」と云うのをやってましてね。

その中で、
「草木国土悉皆成仏」と云う言葉を紹介してました。

読みとしては、
「そうもく こくど しっかい じょうぶつ」。

草木や国土のようなものにも命があり、
それぞれに仏となる資格“仏性(ぶっしょう)”が有る、と云うような意味。

日本では、
平安時代に始まる先進仏教、

“密教の教えとして普及した”のだそうです。

これ、大日経の教えとなってますが、
本家本元であるインドのお経には無いのだそうです。

どうやら、
仏教伝来以前の日本にあったアニミズム、

山や谷にも神性があるとする自然崇拝の心、
それが、渡来したての最新仏教の中に混じり込んだらしい。

いうなれば、
最新の宗教を日本風に加工して受け入れた。

でもこれが、
日本人の宗教観にぴったりだったんでしょね。

後の鎌倉仏教にも引き継がれ、
室町時代に始まるげ芸能、お能の中にも、

この言葉が、たびたび登場するようになる。

昭和の中ごろ、
高度成長が行き詰まり、公害などが目立ち始めたころ、

この言葉がまた登場します、
時の首相が演説に使ったりしてね。

ただし、

お経の中の「国土」は、
「生命あるものが住む所」であったのに、

昭和のころの「国土」となると、
政治的な意味合いが強くなり「領土」と解される事も増えたので、

本来の意味に近い
「草木国土悉皆成仏」と言い換えて、ですが。

これ、親鸞さん風に言えば、

「草木なおもて往生す、いわんや人間をや」と云う処でしょうか。

「草や木でさえ極楽に行けるのだ、
 ましてや人と生まれて極楽へ行けぬはずはない」

もっともそのためには善行を積む必要がありますが。



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