漫筆日記・「噂と樽」

寝言のような、アクビのような・・・

依存と支配

2012年08月02日 | 

今日読んだ本からご紹介。

著者は臨床心理士、つまり世に云うカウンセラーで、この道40年の大ベテラン。

アルコール依存症の夫を持って悩んでいる人が集まって学習会をする際、
たまに妻のアルコール依存をケアしている男性が混じる時がある。

そこでは奇妙な現象が起きるのだと云う。

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 入院中の妻のために有給休暇を取って参加した彼は、全員の称賛の的となるのだ。

 彼のまわりには女性たちの人垣ができ、
「いいご主人ですね、ほんとに」
「こんな優しいご主人を持った奥さまがうらやましい」という言葉がとびかう。

 彼が子供を伴っていればもう最高潮である。

「たいへんですね、小さなお子さんがいらっしゃるのに」と言いながら、
 勝手にその子をあやす女性まであらわれる。

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これ、素人から見れば、「奇妙」だとは思えない。

むしろ、アル中の妻を献身的に介抱する夫に対し、
夫のアル中で苦しんでいる女性たちが見せる反応とすれば普通に思えるぐらいだ。

ところが著者は、

「彼女たちが見せる行動の隠れたメッセージは、入院中の妻への嫌悪である。
 私たちは勝手な夫の飲酒行動によってここまで苦労してきた。
 それなのにあなたは女のくせにアルコールを飲んで夫に迷惑をかけている。

 育児まで放棄して夫に押し付けている。
 そんなワガママが許されるはずが無い」、

と云う、つまりは、同性バッシングなのだと云う。

もうひとつ興味深いのは、

著者がこう云う夫から感じるものは「ある種のいかがわしさ」で、

「ムッとするような湿度とおしつけがましさ」
「軟体動物のようなとらえどころの無さ」なのだと云う。

なぜそうなのかこそが、実はこの本のテーマ。

韓ドラや寅さんも俎上に挙げての考察もあるので、興味の涌いた方はどうぞ。
   
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「共依存・からめとる愛、 苦しいけれど離れられない」 信田さよ子著 ¥1600.-







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