漫筆日記・「噂と樽」

寝言のような、アクビのような・・・

大阪人の名探偵

2016年03月07日 | 
むかし、司馬遼太郎氏の随筆を読んでいたら、
「軍隊で強いのは東北人の部隊で、一番弱いのは大阪人の部隊である」と云う文章があって笑った記憶がある。

その中に、氏の軍隊経験の話があり、
あるとき部隊の移動で大砲を押しながら、

“いつものように”、ぼやいていると、
その時、初めて一緒になった東北出身の戦友が呆れて、

「大阪の兵隊は戦争をしながら不平を言うのか」と驚いたそうだ。

そう言われてから、氏が見ていると、
確かに東北出身の兵は、黙々と“モノも言わずに”移動していた。

そんな大阪人を主役にし、

大阪弁の軽妙な掛け合いと、
息もつかせぬハードボイルドサスペンスが人気沸騰で、

今や超売れっ子作家の黒川博行先生ですが、
私は、

ぼやいたり、愚痴ったりしながら、
泥臭く犯人を追い詰めていく、

ありふれた大阪人間である
刑事たちが活躍する初期のころの、推理小説も好きです。

そのころ出した短編集の中、
下着泥を登場させたミステリーの、あとがきにこんなことが書かれてました。

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うちの近所に、
いつも赤や黒の扇情的な下着をベランダに干す家があって、
散歩の途中、
それを眺めるのが私の日課なんですが、
そこの奥さんはぶくぶくに肥った五十すぎの女性です。

あの大きな尻があんな小さなパンツに入るのかしらん。

ちなみに、その家には娘がいません。

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“ちなみに”、
黒川先生はむかし、大阪で高校の教師をしておられました。



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