
放射性廃棄物を出し続ける原発。全世界にはこれまで539基の原発が、建設された。そのうち100基近くが解体期に入っている。
頑丈につくる、地震に強いことが主眼とされ、解体期が来ることを前提には設計されていないことがわかった。
今、日本ではふげんが解体工事を行っている。行く手を遮るのが、放射性汚染物質だ。解体していくのに安全に解体できるという実績を作りたいのだが、配管を支える頑丈な鉄骨が行く手を遮る。バーナーで焼き切ることは、汚染物質の気化に繋がり危険だ。今、世界では107基が閉鎖され、解体を待っている。
放射性汚染物質を避けて如何に安全に解体を進めていくか、大きな課題が横たわっている。運転停止から14年後であっても、放射線を出し続ける。金属の放射化によるもので、原子炉の放射能を減らすことはできないのだ。
今、解体工事にはロボットが導入されている。安全面からいって人間が直接手を下せないからだ。しかしそれもごく限られた国においてだ。
原発は、イギリスで1956年に世界で始めてつくられた。そして今イギリスには45基のうち25基が役目を終えて閉鎖されている。しかし、その解体には、手がつけられていない。放射能廃棄物を捨てる場所がなく、仕方なく原発内に廃棄物建屋を作って保管している。
ドイツでは放射性廃棄物の保管施設を地下に作ったが、今も放射性物質を発生している。そして放射性物質の廃棄施設を造ることに、ドイツの国民は反対している。
日本でも「ふげん」を解体しているが、今それを阻むかのように問題が持ち上がっている。放射能汚染物質が、原子炉のパイプ、部品を汚染しているからだ。
解体することを想定しないで作られた頑丈な原発、そして放射性化した金属が、原発停止後も放射線を発生させ続けている。
そして今、世界は温暖化対策に一番だと再び原発推進に舵を切った。負の遺産としての放射性廃棄物の問題を放置したまま。
