共同通信社の配信記事をそのまま使います。
1960年の日米安全保障条約改定に際し、核兵器を積んだ米軍の艦船や航空機の日本立ち寄りを黙認することで合意した「核持ち込み」に関する密約は、外務事務次官ら外務省の中枢官僚が引き継いで管理し、官僚側の判断で橋本龍太郎氏、小渕恵三氏ら一部の首相、外相だけに伝えていたことが31日分かった。
4人の次官経験者が共同通信に明らかにした。
政府は一貫して「密約はない」と主張しており、密約が組織的に管理され、一部の首相、外相も認識していたと当事者の次官経験者が認めたのは初めて。政府の長年の説明を覆す事実で、真相の説明が迫られそうだ。
次官経験者によると、核の「持ち込み(イントロダクション)」について、米側は安保改定時、陸上配備のみに該当し、核を積んだ艦船や航空機が日本の港や飛行場に入る場合は、日米間の「事前協議」が必要な「持ち込み」に相当しないとの解釈を採用。当時の岸信介政権中枢も黙認した。
しかし改定後に登場した池田勇人内閣は核搭載艦船の寄港も「持ち込み」に当たり、条約で定めた「事前協議」の対象になると国会で答弁した。
密約がほごになると懸念した当時のライシャワー駐日大使は63年4月、大平正芳外相(後に首相)と会談し「核を積んだ艦船と飛行機の立ち寄りは『持ち込み』でない」との解釈の確認を要求。大平氏は初めて密約の存在を知り、了承した。こうした経緯や解釈は日本語の内部文書に明記され、外務省の北米局と条約局(現国際法局)で管理されてきたという。
…米核兵器搭載艦などの日本立ち寄りを黙認する日米「核持ち込み密約」は、外務省中枢官僚が管理し、その判断で「信用できる」一部の首相、外相らに伝えていた…ラロック証言以来、政府の「密約はない」答弁は破たんしてきているが、これほど生々しく官僚主導型政治を立証したことは初めてではないか。知らされていなかった池田勇人内閣は一時寄港も「事前協議」の対象と国会答弁し、当時のライシャワー駐日大使と大平正芳外相の確認会談があったという。橋本龍太郎、小渕恵三両首相は知らされていたが、麻生首相はどうか。
◆“核密約を歴代外相に伝えることは「秘密の義務」だった” 村田元外務次官がついにカミングアウトして告白(6月29日、共同通信)◆河村官房長官はあくまで密約そのものを否定
◆核通過優先のために海峡の領海幅を3カイリにとどめてきた 元外務次官が証言(6月22日、共同)
◆「核持ち込み密約は外務次官らで管理」 (5月31日、共同)
【高知新聞のコラム】 かつて英国で放映されたテレビドラマ「はい、閣僚閣下」について、黒岩徹さんが「イギリス式人生」で触れている。大臣に面従腹背する官僚の生態を描いて話題を呼んだという。
事務次官が部下にまわした回状が出てくる。「大臣がこの省を運営しようとすると、ものごとはうまくいかないばかりか、支障をきたす。省の運営は…私の仕事である」。この役人の本音は、そのまま日本の省庁にも当てはまるだろう。
先に明らかになった「核持ち込み」の日米密約をめぐる外務官僚の姿勢もその一例。次官らが内部文書を厳重に管理し、首相や外相の誰に教えるかの選別もしていたという。国是の非核三原則といえども「仕切るのはわれわれだ」。
今沖縄返還協定密約に関する米国の機密文書の存在をどう思うのかという裁判が行われている。
こんな政府を戦後ずっと許してきたのは、この国の国民、私達一人一人の責任なのだ。
1960年の日米安全保障条約改定に際し、核兵器を積んだ米軍の艦船や航空機の日本立ち寄りを黙認することで合意した「核持ち込み」に関する密約は、外務事務次官ら外務省の中枢官僚が引き継いで管理し、官僚側の判断で橋本龍太郎氏、小渕恵三氏ら一部の首相、外相だけに伝えていたことが31日分かった。
4人の次官経験者が共同通信に明らかにした。
政府は一貫して「密約はない」と主張しており、密約が組織的に管理され、一部の首相、外相も認識していたと当事者の次官経験者が認めたのは初めて。政府の長年の説明を覆す事実で、真相の説明が迫られそうだ。
次官経験者によると、核の「持ち込み(イントロダクション)」について、米側は安保改定時、陸上配備のみに該当し、核を積んだ艦船や航空機が日本の港や飛行場に入る場合は、日米間の「事前協議」が必要な「持ち込み」に相当しないとの解釈を採用。当時の岸信介政権中枢も黙認した。
しかし改定後に登場した池田勇人内閣は核搭載艦船の寄港も「持ち込み」に当たり、条約で定めた「事前協議」の対象になると国会で答弁した。
密約がほごになると懸念した当時のライシャワー駐日大使は63年4月、大平正芳外相(後に首相)と会談し「核を積んだ艦船と飛行機の立ち寄りは『持ち込み』でない」との解釈の確認を要求。大平氏は初めて密約の存在を知り、了承した。こうした経緯や解釈は日本語の内部文書に明記され、外務省の北米局と条約局(現国際法局)で管理されてきたという。
…米核兵器搭載艦などの日本立ち寄りを黙認する日米「核持ち込み密約」は、外務省中枢官僚が管理し、その判断で「信用できる」一部の首相、外相らに伝えていた…ラロック証言以来、政府の「密約はない」答弁は破たんしてきているが、これほど生々しく官僚主導型政治を立証したことは初めてではないか。知らされていなかった池田勇人内閣は一時寄港も「事前協議」の対象と国会答弁し、当時のライシャワー駐日大使と大平正芳外相の確認会談があったという。橋本龍太郎、小渕恵三両首相は知らされていたが、麻生首相はどうか。
◆“核密約を歴代外相に伝えることは「秘密の義務」だった” 村田元外務次官がついにカミングアウトして告白(6月29日、共同通信)◆河村官房長官はあくまで密約そのものを否定
◆核通過優先のために海峡の領海幅を3カイリにとどめてきた 元外務次官が証言(6月22日、共同)
◆「核持ち込み密約は外務次官らで管理」 (5月31日、共同)
【高知新聞のコラム】 かつて英国で放映されたテレビドラマ「はい、閣僚閣下」について、黒岩徹さんが「イギリス式人生」で触れている。大臣に面従腹背する官僚の生態を描いて話題を呼んだという。
事務次官が部下にまわした回状が出てくる。「大臣がこの省を運営しようとすると、ものごとはうまくいかないばかりか、支障をきたす。省の運営は…私の仕事である」。この役人の本音は、そのまま日本の省庁にも当てはまるだろう。
先に明らかになった「核持ち込み」の日米密約をめぐる外務官僚の姿勢もその一例。次官らが内部文書を厳重に管理し、首相や外相の誰に教えるかの選別もしていたという。国是の非核三原則といえども「仕切るのはわれわれだ」。
今沖縄返還協定密約に関する米国の機密文書の存在をどう思うのかという裁判が行われている。
こんな政府を戦後ずっと許してきたのは、この国の国民、私達一人一人の責任なのだ。