京大瀧川事件春秋
創刊号②
06年6月追記
[藍 友紀(あい・みゆき/旧姓藍原)著作の本]
~2006年6月追記
① 城ヶ島の雨ほか二篇
ISBN4-902834-56-1 C0093
内容 1、城ヶ島の雨(梁田貞氏と英語教諭安藤氏との
友情物語。梗概は次頁に)
2、鬼の長兵衛(釧路港に於ける中部鮭鱒創業記
~香川県の船頭、樺山長平氏の思い出・・・・・
釧路新聞に連載した「船頭一代」の改稿版)
3、自営船物語(近藤康男編「漁業経済研究」に掲
載した論文「漁民層分解を促進した漁協自営優
先制度」を小説化したもの。上の論文はNHKで
昭和36年に放送した原稿に補筆したもの)
制作 岩波出版サービスセンター
発行 はまなす文庫
発行日 2006年6月21日
頒価 1500円(送料当方負担)
申込先
「北海道釧路市桜ヶ岡7-33-6(郵便番号085-
0805)はまなす文庫あてに葉書でお申込みください。
手数料無料の郵便振替用紙をお送りします。
なお振替口座は
(02770-4- 75535 京大瀧川事件研究会)です。
* 上の三篇は、いづれも北海道関連の短編小説です。
* 納入図書館
国立国会図書館
札幌市立中央図書館(改稿前の旧版「笛の音うる
む」も)
釧路市立図書館
香川県立図書館
② 祖谷渓挽歌(いやだに・ばんか)
~「学の自由」に殉じた若き京大生を悼みて~
第1巻~第5巻
ISBN4-902834-51-0,52-9,53-7,54-5,
55-3。 C0093
制作 岩波ブックセンター
発行 はまなす文庫
発行日 2006年5月26日
* 本品は非売品のため、恐れ入りますが下記図書館で
お読み下さい。
国立国会図書館
徳島県立図書館
釧路市立図書館
③ 祖谷渓挽歌(旧版)上中下巻
06年12月に増刷予定ですが、お急ぎの方は恐縮ですが、
下記図書館でお読み下さい。
*納入図書館
国立国会図書館(「滝川事件に死す」上中下)
徳島県立図書館(「時の流れに」9巻本)
京都府立図書館(「時の流れに」上中下、「同」9巻本)
高知県立図書館(「時の流れに」上中下)
札幌市立中央図書館(時の流れに」上中下)
釧路市立図書館(「時の流れに」原版、上中下)
(梗概~前承)
長尾浩美が県立徳島中学に入学したのは大正14年、鳩山・松田らの執拗な抵抗を打ち砕いて男子普通選挙法が制定された年である。けれども枢密院に拠る伊東巳代治らは、それと引き換えに国民大衆の監視、束縛を図るため、世界に冠たる悪法「治安維持法」を公布施行した。これは日本が暗黒時代の泥沼にのめり込んで行く道を開く端緒となった法律である。
けれども長尾の担任が、小学唱歌『鳴門』の作詞で有名な国語教師、宮本村雄だったことは、彼にとって幸いだった。宮本は生徒たちに自由や平和の尊さを教え、特に長尾については詩作の才能を認めて、個人的な指導までしてくれた。長尾も師の教えをよく守り、中学2年になると徳島教会に通ってアメリカ南部長老派の牧師ローガンから、キリスト教の説くヒューマニズムを学んだ。この教会は、賀川豊彦が洗礼を受けた教会でもあり、長尾はここで『死線を越えて』を読んで深い感銘を受けた。この本が結局、長尾の思想を決めることになる。彼はその後、高知高等学校を経て昭和8年、京大法学部に進むが、その時、瀧川事件が起きる。この事件が、人気絶頂の自由主義刑法学者、瀧川幸辰の失脚を狙った右翼の策謀だったことは、その後の松尾教授らの歴史研究で完全に解き明かされているが、策謀に踊らされた鳩山文部省は理非を弁えぬ攻撃を瀧川教授に加えて罷免を図る。しかし、この罷免に肯んじない法学部教授会は、連袂辞職を以て文部省に対抗する。学生たちも長尾の高知高校以来の先輩,渡邉貞之助を団長に選び、結束して教授らの擁護と責任者鳩山一郎の辞職を要求して戦うが、右翼、文部省、軍による攻撃は熾烈を極める。長尾は身を賭してでも正義を貫こうと、渡邉を助けて学生の先頭に立ち、東大や東北大の応援をも得て抵抗運動を続けるが、侵略戦争の開始を目前に控えて自由主義勢力の抹殺を図ろうとする権力側は,瀧川闘争を左翼運動と決め付け特高による拷問を武器として弾圧を強行する.美濃部達吉、大内兵衛、長谷川如是閑,新居格,岩波茂雄らの学者、文化人、知識人らも挙って京大側を応援し文部省を批判するが、鳩山は遮二無二瀧川処分を強行して、日本に残された「学の自由」の最後の砦を破壊する。(③に続く)
(政治の動き)~06年6月追記
医師によるリハビリ治療が06年4月から半年限りで打ち切られることになった。是に対して、患者や医師からも反対の署名運動が起きているとか。
こんな弱者斬り捨てに、いそしむ国を、貴方は愛せますか? (甲府市・磯野)
この5年間は、ニホンの国民にとって失う事ばかりの年月だった。雇用条件の悪化、医療を始め、あらゆる福祉の切り下げ、大衆課税の強化などなど挙げれば際限が無い。何か改善されたことがあったかと血眼で探し回っても、発見するのは容易でない。是に引き換え、企業減税など大資本にたいする優遇は抜け目なく行われて政治献金の源を確保し、道路公団の廃止や高速道路建設の見直し、天下りの阻止など、国民の利益に直結する施策は悉く掛け声倒れ、防衛庁の防衛省への昇格など、アメリカ従属一辺倒の軍備増強は着々と進められて、アジアに於ける日本の孤立化は決定的となった。
この”失われた5年間”を、次の内閣は取り戻さねばならぬ。恐らくは史上最悪の内閣と後世の史家から評価されるであろう現内閣の速やかな消滅を期待する。(世田谷・山岡)