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1-17/注目の東京千代田区長選挙の成り行き

2017-01-17 00:08:49 | Weblog
クローズアップ2017
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小池氏、敵対で「改革」演出 今夏の都議選、候補者擁立へ本格始動 千代田区長選が前哨戦に

毎日新聞2017年1月14日 東京朝刊


東京都の小池百合子知事が、今夏に予定されている都議会議員選挙に向けて本格的に動き始めた。都議会では公明党や民進系2会派などが小池知事に同調する姿勢を打ち出すなど、「小池与党」は既に予算可決に必要な過半数を超えている。それでもなお、ベテラン自民都議の選挙区などに自身の政治塾から候補者を擁立する意向を示し、東京都千代田区長選でも自民の対立候補を応援するなど対決姿勢を強めている。小池氏の狙いは何なのか。


 「(2月5日投開票の)千代田区長選が(都議選への)一つの占いになる」。小池氏は13日の定例記者会見で、自身が援する現職と都議会自民党の重鎮・内田茂氏が担いだ新人で与謝野馨・元官房長官のおいの「代理戦争」が、都議選の前哨戦になるとの見方を示した。



 都議会(定数127)の勢力は昨年末までに、「小池与党」が多数派になった。第2会派・公明党と民進系2会派が小池氏と同調する方針を示し、「是々非々」を強調する共産党も政策に賛成するなど好意的な態度を取る。現状では過半数以上の支持を得て議会運営の主導権を手中に収めたと言えるが、それでも政治塾を運営する「都民ファーストの会」から30~40人を擁立する準備を急いでいる。

 小池氏は知事選で、都議会自民と都連を「ブラックボックス」と批判。旧体制に立ち向かう「ジャンヌ・ダルク」になぞらえ、有権者の共感を得た。だが、知事選で自身を応援した自民の若狭勝氏が立候補した昨年10月の衆院東京10区補選で、風向きが変わった。

 当初、関係者は「トリプルスコアで対立候補に勝つ」と息巻いたが、得票数は次点候補の2倍に届かなかった。周辺では「自民と組むのは有権者の理解が得られない」との声が上がった。

 こうした経験もあり、小池氏は来年度予算策定の過程で自民などの要求で事業を復活させる約200億円の「復活予算」の廃止に踏み切り、対決姿勢を鮮明にした。代表質問にも事前に会派と質問・答弁をやり取りする「答弁調整」を拒否するなど、自民中心だった議会運営にくさびを打った。

 千代田区長選では「敵の敵は味方」と、内田氏と敵対する現職の応援に回る。都議選を控えて自民と敵対を続けることで、公約だった「東京大改革」を最大限アピールする狙いがあるとみられる。区長選で勝利し、その勢いで都議会の勢力図を塗り替えられれば、改革が具体的な「数」で示される。都OBは「有権者は『東京は変わった』との印象を抱き、2020年東京五輪・パラリンピックまでの都政運営は盤石」と見る。

 一方で、小池氏と自民の政策に大きな違いはない。自民は定例会で、知事の給与半減条例や126億円の待機児童対策など、知事提出の全議案に賛成している。自民幹部は「政策的対立はほとんどないのに、『私は都民の味方』『自民は都民の敵』という雰囲気を演出している」と嘆く。

 2月には小池氏初の予算を審議する定例会がある。都幹部は「予算案に賛成すれば『知事に屈した』と取られ、反対すれば『知事の敵』とされる。どう転んでも自民は都議選を有利に進められない」と話す。【柳澤一男、川畑さおり】

自民本部、対立望まず

 自民党執行部は小池氏との対立回避に腐心している。世論の支持が高い小池氏と敵対すれば、次期衆院選にも悪影響を及ぼす。小池氏との間に波風を立てないことを最優先している。

 党本部が小池氏との関係に気を使うのは夏の都議選後の今秋にも衆院解散・総選挙があるとみられているためだ。都議選は衆院選の前哨戦ともなる。全面対決の構図となり、自民が小池氏に「抵抗勢力」と決めつけられれば、影響は衆院選全体に及びかねない。

 小池氏は13日の記者会見で今年分の党費を納めていない理由を「都知事選の時にあれだけ罵倒された」と語り、自民との距離を強調した。しかし、自民党の二階俊博幹事長は13日、TBSの番組収録で、小池氏が都知事選の際に党に出した進退伺について「見たことがない。いちいち吟味して議論している暇はない」と述べ、結論を出さない考えを示した。対決構図を作ろうとする小池氏には、「あいまい戦術」でかわす方針だ。

 安倍晋三首相は10日、小池氏と首相官邸で会談した際、都議選での独自候補擁立に意欲を示す小池氏に「ほどほどにしてください」と伝えたうえで「下村博文・自民党都連会長とうまくやってほしい」と求めた。都選出の衆院議員は「都連は、衆院選のことも考えて知事とうまくやってくれよと思う」と話す。

 ただ、千代田区長選で都連が新人候補を推薦するため、現職を支援する小池氏との対決は避けられなくなりそうだ。菅義偉官房長官は周囲に、新人候補の応援を検討する考えも示している。党関係者は「区長選の行方が自民と小池氏との関係を左右するのではないか」と指摘した。

 都議選を重視する公明党は党執行部も都議会と同様に小池氏との協調姿勢を強めている。定数2以上の選挙区に擁立する公認候補の全員当選を目指しており、公明候補が出る選挙区に対抗馬を立てられないようにするためだ。党幹部は「都政で協力すべきことは協力する」と良好な関係をアピールしている。

 民進党は小池氏との連携に活路を見いだそうとする。蓮舫代表は13日、BS11の番組収録で「小池氏に共鳴するところが多くある」と秋波を送った。だが、都連関係者からは「小池氏に票を食われるだけ」との声も出る。【加藤明子、樋口淳也】
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ニュースサイトで読む: http://mainichi.jp/senkyo/articles/20170114/ddm/003/010/037000c#csidx382ca3334ec6d9f8efe6c442fe4649e
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