↑ ㈱チクマ秀版社 2006年8月6日 初版
2001年3月22日、肺がんのため60歳で亡くなられた あすなひろし氏。
死後ファンや生前交友のあった編集者など、又実のお姉様や甥御さんの協力も有り、一から復刻された「あすなひろし作品選集」はまだ一部在庫が有り、下記のサイトなどで購入が出来るようです。
→ あすなひろし公式サイト
また、㈱エンターブレイン社がビームコミックス文庫として「青い空を、白い雲がかけてった」「いつも春のよう」「林檎も匂わない」などを刊行しています。
この、ずっしりと持ち重りする本は、没後7年経ってやっと復刻されたものです。
あとがきの 漫画家・マンガ評論家の みなもと太郎氏 が
「出したい 出したい」と願いつつ、ページ数の多さで発行に踏み切れず、手をこまねいていた「あすなひろし最大の長編」があった。
と言わしめた作品なのです。
初出発表年は1972年8月から週間漫画タイムスにて。
もう41年も昔 ! わぉ。
原作者の 宮田 雪(きよし)さん と言う方は、呪縛師ということになってますが。
呪縛師って何 ?
と、少し調べてみてもよく判らない…。
ご本人は脚本家や漫画原作者、精神世界運動家、ドキュメンタリーの映画監督などもしている。
アニメの「あしたのジョー」・「ルパン3世」・「海のトリトン」・ 「ムーミン」など にも関わっているようです。
結局呪縛師の意味は解りませんでしたが…。
いろいろな創作活動をなさっている方のようです。
今見ると、この濃密な作品群が週1回の連載で続けられていたとはびっくりします。
巻末には週間連載の苦労が担当編集者の方の文章でつづられています。
そうだろうな~。
十篇の短編と中篇で構成されるこの作品は、時代も場所もばらばらだけど日本が舞台です。
各話に登場する黒いコート、黒い大きな帽子、黒いロングブーツを身にまとった女、イヴに翻弄される男たち。
この格好は描かれた当時の流行を思い出させます。
又、イヴも男たちに惑わされながら時代を生きていく。
残念ながら残り1話を残して未完になっています。
しかも掲載されている最後の一話は、素人の私が見ても あすな氏 の筆致とは違うような。
元アシスタントの沢本氏、河野氏が鉛筆の下書きにペン入れしたそうです。
その辺の理由と言うか、状況も担当編集の文章の中で明かされています。
あすな氏、原作付きの作品を自分の作風と格闘しながら我慢を続けてここまで描いてきたが、ついにキレてしまったようです。
ナイーブ過ぎたのでしょうか。
あすな氏の叙情性が少し観念的に見えるところもあって、好き嫌いが分かれる作品だとは思いますが、大人なら解る、大人の作品と言えるでしょうか。
かくいう私も、あすな氏の絵柄は大好きなんだけど、あんまり詩的な叙情性の強い作品はあまり好きでないんです。
COMに載っていた作品はおおむね好きです。
1968年1月号「300,000km./sec」 SFの傑作といわれてます。
1968年9月号「美女ありき」 ストーリーまんが家によるギャグマンガ集のひとつ。
1969年2月号「その日、ノースビルは雪」
1969年8・9月号「西部の唄」
1970年4月号「巣立ち」
1970年11月「スウ、という名の童話」
1971年8月号「難破船」 絵 川本コオ
1971年11月号「桔梗」
「哀しい人々」シリーズも大人になってから好きになりました。
一番好きなのは、少女漫画を描いていた頃の短編かな~。
「さざんか」とか。
少女には程よい程度のすっぱいお話で、あの流麗な線にはいっぺんで参りました。
その頃からのあすなファンです。
亡くなってから何年経っても、ファンが増え続ける あすなひろし氏 。
その魅力はなんなのかと、作品を読むたびに考えさせられます。
復刻版を全て買うか迷うトミー。
週刊マーガレットでしたか?
短編とか何話か連載おとんど残ってないのが残念です。。
そして、水野英子先生との合作「オンディーヌ」、大好きな作品です。
少年誌、青年誌の頃の作品は全然読んだことないんですよ。
少女漫画時代の資料がほとんど残ってないのが残念です。
私が小さい頃から読んでた漫画家さんたちが1人、また1人と亡くなっていく今日この頃、青春が過ぎ去っていくような寂しさを感じますね。
そうなんです。少女マンガ時代の原稿はほとんど残っていないんじゃないでしょうか。
私も好きな作品いっぱいあったんですがね~!
青年誌連載ものもとても良い作品有りますよ。
やっぱり「哀しい人々」シリーズが最高です。
最後の作品となった 「林檎も匂わない」 は、最初読んだときは好きになれなかったのですが、二度目に読んだときガツンと来ました。
線も一番洗練されていると思います。
エンターブレイン社から文庫が出ています。
機会があったらぜひ読んで見てください。