むすんで ひらいて

YouTubeの童話朗読と、旅。悲しみの養生。
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🌜朗読🌛第8話🎅あの5才のクリスマス~毎日サンタの祝福を~

2022年11月24日 | こころ
こんにちは。
クリスマスが近づいてきていますね。

今回は、下に書いたものを朗読しています。
ぜひ聞いていただけたら、うれしいです💝

🎅

「あの5才のクリスマス」

5才の時、わたしはサンタクロースはいると思っていた。
幼稚園で、保護者を招いたクリスマスのお遊戯会が開かれた時のこと。

園長先生が終わりの挨拶で、園児たちに、にこやかに聞かれた。
「サンタクロースがいると思ってる人、手を挙げて~」

わたしは遊戯室の真ん中あたりに並んでいて、
前にいる子たちの半分くらいが、パラパラと手を挙げた。

同時に、この変な質問に小さな反発を覚えて、先生の笑顔を見た。
本当はいないけど、いるって信じてる子はどれくらいかなって、
壁沿いで見てる大人たちと会話してると思った。
わたしは手を挙げずに、「いるもん、いいもん」て、知らんぷりした。

でも、ちょっと不安になった。



12月24日の夜、窓の外にソリを止めて、
サンタさんがそっと入ってくるところを思い浮かべた。
「今年こそ、寝ないで見届けよう」と思って。

見つけてもらいやすいように、カーテンを半分開けて、鍵も開けて。

でも、ちゃんと寝てしまって、朝、目が覚めると
部屋の扉の前に、三越の紙袋が置いてあった。

窓から扉のところまでは、わたしのお布団の横を通り過ぎないといけないのに、
どうして、今年も気配で起きられなかったのか、とっても不思議だった。

隣で寝ていた祖母に「おばあちゃんは見た?」と聞いたけど、
気づかなかったと言うので、ますます謎は深まった。

きっと、大人も起こさないくらいの魔法を持ってるんだ。
それはすごいことなのに、祖母が同じように不思議がらないので、
頭をひねった。

鈴の音も、よほど遠くから消してきたんだろう。

母に紙袋を指さして報告しても、やっぱりあんまりおどろかなかった。
静かに笑って、
「そう。もしかしたら、階段の窓から入って、
置いていってくれたのかもしれないね」とだけ。

わたしは、「えー!! 階段の窓から?」そう繰り返して、
「そんなのフェアじゃない」と、思った。

あの時の、わたしの意気込みと焦燥、
それを包んでくれていた母と祖母の含みを思い出したら、
今、よくお日さまに干されたお布団の匂いが、ふわっと、よみがえった。

それにしても、サンタさんも贈り物はデパートで買ってくると思っていた
ので、そこはちっともふしぎでなかった。

そんな風に、今も見えてるものは全体でなくて、
主観的な夢のようなものだと思ったりする。



習っていたピアノのクリスマス会、父と飾りつけるツリー、
街に流れる温かなBGM、チキンとホールケーキ。
12月24日は、あの頃からずっと、一年で一番好きな日だ。

誕生日は自分だけだけど、クリスマスには、キリスト教徒でなくても、
みんなで同じものを食べて、年末年始の行事の前に、
この一年よく生きたねって、祝福し合ってるようだから。



今聞いて下さっているあなたが、
クリスマスに一緒に過ごす人がいても、一人でも、
イベントがあっても、いつもと変わらない一日でも、
やさしい気持ちで、このシーズンを過ごせますように。

そして、クリスマスだけでなく、
一年中そんな祝福の瞬間を持てますように。

🎄

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