タンボの話

2007-05-15 08:51:19 | 里山
五月になると田植の準備で忙しくなる。
まずは籾振り。
要するに稲の種(籾種:モミタネ)を蒔くのである。
籾種は前年に採れた籾のうち種用に保存しておいたものを使ったものだ。
まず籾を塩水につけて塩水選(エンスイセン)という選別を行う。
地区の農家組合長が大きな樽にニガリを溶かし、規定の濃度の塩水にするのだがこのニガリの塊を溶かすのが一苦労。
ドウコ缶(銅壺缶とでも書くのだろうか?)にビッシリ固まったニガリをタガネで粉砕し、お湯で少しづつ溶かして水に混ぜ比重計を使って濃度をあわせる。
籾種を中に入れると比重の軽い種(秕:シイナ)が浮くので底に沈んだ重い種だけを使うのだ。
近年は籾種を専門に作る農家があって、農協に注文しておくと配達してくれる。
この場合は塩水選にかけずともほぼ間違いなく発芽するので最近は省略されている。

この籾種を約三日三晩水に浸けておくと小さな芽が出てくる。
時には発芽を促す為に一晩二晩風呂に入れてあげたりもするのだが、
人間では風邪を引きそうなぬるま湯(冷たさを感じない程度の水)がお好みなようだ(笑)

この小さな芽が出た籾を苗代(田んぼの苗床)に蒔くのだが、近年では機械で植えるためにトレー状のプラスチック製の箱に土を入れて蒔き、畑にビニールを敷いて水道水をかけてさら発芽させて苗を作る。
わが家ではこの段階までの手をかけられずに発芽した状態の箱苗を農協から買って畑で苗にしている。
わが家と書いたが、兼業でやっている農家はこの方式が最近増えているのだ。

さて、苗が出来ると後は機械の出番である。
トラクターで耕し、揚水ポンプで水を入れ、トラクターで代掻き。
軽トラで苗箱を運んで(わが家は軽トラが無いので人力で・・・)
田植え機で植えつける。

その昔は田を耕すのはマンノウを使って人力で行っていたし、代掻きは牛馬を頼んでいた。ポンプは使わずとも川に作った堰から水が入れられるように水路が出来ていた。

田植は苗採りと植え手に家族総動員。
わずか四反ほどの田んぼを植えるのに一週間近くかかった。

今は代掻き一日、田植が一日。
父は機械で植えた田んぼで植えそこないの株等を直して歩く。
それが二~三日。
丁寧にやっても雑にやってもさほど収量は変わらないといわれるが、そこは昔の百姓!!
あだや疎かには出来ないのである。

しかし、今年は「俺ももう水には入れぬ・・・」
そうだよね。
八十五歳で田植をされちゃ体に障りはしないかと心配で・・・

でも、これを書いてる間に外で草刈をしてきたみたい(苦笑)
元気だからいいんだけどさぁ・・・
コメント (8)
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