トーキング・マイノリティ

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この人はLGBTだから…その三

2021-03-09 22:30:05 | 世相(外国)

その一その二の続き
 インドネシアでは社会全体が露骨に反LGBTに傾いている以上、彼らを保護することは得策ではない、という政治的配慮が全国各地で働いているようだ。
 大統領ジョコウィも例外ではなく、「インドネシアは穏健と寛容の国と口では言いつつ、多数派であるスンニ派ムスリムの性的マイノリティや宗教的マイノリティに対する嫌がらせや暴力的攻撃に一切対応せず、全く保護していない」、とヒューマン・ライツ・ウオッチは非難する。
 LGBT規制を求めている人々の要請に応じない政治家は、もはやインドネシアでは選ばれない時代になっていることを、政治家自身が認識しているのだ。人々の要請に応じない政治家が選ばれている日本よりも、ひょっとして健全かもしれない。

 反LGBTが表出しているのはインドネシアだけではない。マレーシアでも2018年のマハティール首相就任後からLGBTの逮捕者が急増している。
 マレーシアはムスリムが60%以上占めているが、インドネシアと違い同性愛行為を違法としている。そしてマレーシアはイスラムを国教としている。2013年のピュー・リサーチ・センターの調査で、マレーシア人の86%が同性愛は社会で受け入れられるべきではないと回答したそうだ。

 2018年10月、タイを訪問した際にマハティールは、「マレーシアはLGBTを受け入れない」と明言、マレーシアの価値観はマレーシアの文明や宗教に基づいており、伝統的な家族観や結婚観を蔑ろにする西洋を真似るつもりは一切ない、押しつけは止めてほしいと語った。
 同性婚についても、「たとえ西洋諸国で人権と見なされていても、我々が認めることのできないものがある」と述べている。このような発言の出来る指導者は日本では考えられないだろう。

 そして日本でもリゾート先として人気のあるブルネイは、2019年4月から東南アジアで唯一、国全体でイスラム法を適用する国家になった。イスラム刑法では同性愛には石打ち刑を規定している。さすがに国外からの非難もあり、石打ち刑適用は猶予に追い込まれた。

 LGBTに非寛容なのはイスラム諸国に限らない。インドもまた反LGBT感情が強く、同性愛の女には矯正レイプが必要と明言したヒンドゥー至上主義者がいたことを、アルファブロガー鈴木傾城氏の記事で知った。“矯正”であって、“強制”の誤変換ではない。
「矯正レイプ」とは日本では聞きなれない用語だが、要するに同性愛者の女は病気なので、レイプして“正常”に矯正するという、ショック療法の一種なのだ。実態は完全に強制レイプそのものだし、このような憂き目に遭えば返って男性恐怖症に陥るだろう。
 但し「矯正レイプ」で“正常”になるどころか、ダコイット(盗賊)となり、自分を暴行した男たちに報復殺人を起こす女が現れる可能性がある。何しろ女盗賊プーランを生んだ国だから。

 日本と同じくイスラエルも同性婚を認めない国である。そのためカナダで同性婚を行ったイスラエルの歴史学者ユヴァル・ノア・ハラリは、著書『ホモ・デウス』で興味深いことを記している。
 LGBTのパレードは聖地エルサレムでも行われており、それを忌々しく思っているユダヤ、イスラム、キリスト教徒等は普段不仲でも、この時は団結するとか。そしてイスラエルの極右には同じユダヤ人でも、左翼や同性愛者を殺せ!と公言する者がいる。

 2020年11月23日、河北新報の第8面には『還暦からの底力』の著者・出口治明氏へのインタビューが載った。コーナーのトップ見出しは「日本の「常識」転換を」。他の見出しは「性別年齢から自由に」「多様性を尊重」とあった。出口氏のインタビューは引用するのも下らないが、コーナーには「多様性を尊び、誰もが受容される社会を目指すのが、世界のトレンド」の一文があった。
 あなたのいう“世界”とはどの世界?と無粋なツッコミを入れたくなったが、この新聞では氏を、「読書家の知識人である立命館アジア太平洋大学長」と紹介している。

 第三世界、殊にイスラム世界では反LGBTがトレンドであることを、先の大学学長殿は知らないのか?知らないフリをしていたとすれば、記事は悪質な虚偽に基づいているし、本当に知らなければボンクラとしか言いようがない。西欧諸国でも同性愛者がムスリム移民に虐められるケースが増えてきたことは、アヤーン・ヒルシ・アリの自伝『もう、服従しない』に見える。

 いかにインド・中東オタクの私でも、「矯正レイプ」や石打ち刑は野蛮の極みとしか思えない。同性愛行為にはムチ打ち刑や死刑を訴える者とは、共存は不可能だ。しかし昨今の過度なLGBT擁護風潮にも、強い違和感がある。昨年2020年12月27日付のネットニュース、「【画像】「体は男 心は女」の選手達が女子スポーツで優勝しまくる」は、社会の歪みをこれほど感じさせる出来事もないと感じた。
 この分では遠くない将来、スポーツ大会で女子選手は締め出されるのは目に見えている。これに対しフェミニストが全く抗議しないだけで、もはや彼女らが一般女性の敵なのが知れる。

 2018年12月に「-tだけは別」というタイトルで「のらくろ」さんからコメントを頂いたが、実に痛快な意見があったので紹介したい。
要は「バリバリの男」がトランスジェンダーを詐称して「女」であると主張することを、リアルの女は許すのかということ
女であるというなら月経100回経験して来い。話はそれからだ(未経験なら、女の側からオマエを女と認めてやる審査にも値しない)

◆関連記事:「女盗賊プーラン
もう、服従しない
九時の月」

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