わたしたちの住処をつくる記録

いえづくりについて、できごとと考えたことを記録しておきます

断熱材入る(気密と調湿)

2015-04-19 09:48:32 | ただいま普請中
 壁に断熱材が入りました。初めの写真の光が透けている右側の壁はまだ入っていない部分、光を通していない左側(もっともこの壁は外側にダイライトが張られているのでもともと光は透けませんが)は断熱材が入っています。二階はほぼすべての壁に入ったようです。

施工されたのは、これ。

デコスドライ(セルロースファイバー)です。屋根断熱に使ったウッドファイバーと同じく天然素材系であるということと、調湿性に優れるというのが特徴だとか。無垢の木の家なので、木の呼吸を妨げないことが大切です。普通の家(何が普通かわかりませんが)では壁内の結露を防ぐために、まずは室内の湿気を壁に入れない対策がとられ、「防湿(気密)シート」が施工されるはずです。フラット35(旧住宅金融公庫)の技術基準でもそうなっていると思います(たぶん今は必須事項ではないとは思いますが)。しかし、この家には防湿(気密)シートが施工されません。壁の呼吸を妨げない工夫をしているのです。
 ここで問題になるのは、断熱には気密が必須だということ。気密がとれないと、いくら断熱をしても意味がありません。私はこのあたりのことが、いつも頭の中で混乱していました。気密シートなしで、壁が呼吸するということは、気密と無縁の家、ということになるのではないか。そこで構造見学会のときに松井郁夫先生に聞いてみると、「気密=気密シート」と思い込んでいる人が多く、特に伝統派の人たちは「気密」という言葉にアレルギーがあるようだが、「気密」と「調湿(木が呼吸すること)」は矛盾しないとのことでした。私が聞いたことを覚えて書いていますので、先生の表現と違っているかもしれませんが、「呼吸する家」は、別に隙間風のある家のことではないんですね。木は呼吸しているけれども、それは文字通り空気を吸ったり吐いたりするとか、板の向こうまで空気が抜けてゆくとかいうことではないわけです。木は湿度を吸ったり吐いたりしている。とすると、調湿と気密はまったく矛盾しない。技術的なことを置けば、論理的には調湿をとるか気密をとるか、という話にはならない、と理解しました。漆喰ももともと気密性が高く、施工さえ工夫すれば気密がとれると松井先生は言います。そんな漆喰も調湿性があるといわれるわけですから、気密と調湿は別問題だということですね。
 科学的にデータをとっていくと、漆喰の調湿性能はそんなにないとか、構造用合板を張った面では調湿なんて期待できないとか、生活に影響するほどの調湿が期待できるわけではないとか、いろんなことを言われそうですが、こういう住宅をめぐる巷の言説といのは説が多すぎてわかりません。純粋な学問ではなくて「住宅業界」というのが入ってきてしまうので、何が本当で何が言い過ぎなのかわからない世界だな、とも感じます。(私がよく知っている内装屋さんは「だまし合いの世界」だといっていました。)

 ここのあたり、松井先生は完成後に「C値」を測定するとおっしゃっていますから、どんな結果になるか楽しみです。もともと伝統構法なので、2×4とかのような数値は出ないと思いますが…

 さて、外壁側はしっかり「通気層」がとられ、壁の下部の通気口に防虫網が施工されていました。
 

 二階のサッシの外側には水勾配をとった(?)板。どんなおさまりになるんだろう。ここまで外壁ということかな。水切り?


 前紹介し忘れましたが、破風板には「眉かき」が施されています。


 一階の大開口はどうおさまるか。構造見学会のときに原寸大の図をみせていただきましたが、とても楽しみです。


 そして、妻がいつも楽しみにしている階段。見せ場なのでなかなかつきません。


 外には「カラマツ板」が準備されていました。私はこれが楽しみ。
 

 さて四月も下旬。これ、どうも5月中竣工というペースには見えませんが…。

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