口は災いの"素"

音楽テクニカルライター布施雄一郎のポジティブなネガティブ語録/独り言編

Sakana ‬Surround // DAY4

2017-10-18 23:00:00 | 取材
実は、ちょっと前まで、行く予定ではなかったのですが。ほぼ寝ずに、9時に羽田へ。飛行機に乗る前夜って、いつも仕事が山積みで、寝れない。






GO TO THE NEXT FUTURE // SYNCHRONIZED



Hello, OSAKA !!!‬




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伊丹空港に着いて、即、原稿書き。どこでも原稿が書けるのは、いいのか悪いのか。そして、眠たい。お腹すいた。‬




ここで4時間ほど仕事をして、梅田へ移動。とりあえず、何でもいいのでご飯を。何でもいいと言いつつ、少しは関西色が欲しく、とりあえず、うどん。




そしてホテルにチェックインして、また1時間ほど原稿を書いて、大阪城ホールへ。結局、ギリギリに到着。




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サカナクション『6.1ch Sound Around』‬大阪城ホール公演DAY2。幕張との音の違いに驚き、堪能すると同時に、チーム・サカナクションのプロフェッショナルな仕事に感服至極しました。

それにしても感慨深いツアーファイナルでした。ちょっと泣いた。




ここで、幕張メッセと、大阪城ホールでの、サラウンド・サウンドの違いについて、感じたことを少々まとめておきます。

両会場のサイズ/形状/音響特性の違いからか、幕張がよく響く空間だったのに対し、大阪城ホールはかなりデッドで、その分、各パートの音が驚くほどにタイト。しかもスピーカーとの距離も近いため、それぞれの楽器が目の前で鳴っているような音像感でした。

さらに幕張は天井も高いので、上下左右、加えて上下(スピーカーのない上方にも、音像を定位させていた)も含めたマクロな響きで全身が包まれるような感覚になれましたが、一方で大阪では、各楽器の音が実に分離よく、ミクロな音の集合体といった印象。

からこそ実現可能だったのでしょうが、大阪では、ベースとスネアの目前に迫りくる音像感が衝撃的にすごかった!たぶん、サカナクション以外のバンドではあり得ないくらいのベースの存在感で、音楽的に破綻する紙一重のレベルで、最高にカッコよかったです。

特に大阪2日目のベース、これはものスゴかった。それでいてグルーヴが超タイトで、しかもあれだけの大音圧なのに心地よく、不快要素はゼロ。あまりにスゴすぎてちょっと笑ってしまいました(笑)…からの、「SORATO」でのキックのロー感がさらに強力!

ただ一方で、コーラスなどの壮大に鳴り響く体感は、やはり幕張が最高。ですから、幕張ではサラウンドの"響き"が堪能でき、大阪城ホールでは、緻密に練り上げられらミックス済の音源を映画館で楽しんでいるような"完成度"が満喫できました。

だから会場の優劣ではなく、それぞれのサラウンドがあったということで、そう考えると、福岡国際センターや札幌ニトリ文化ホールなど、いろんな場所でやっていて欲しいなぁ、と。そこでしか体験できない"音"ですから。まぁ赤字は増えるでしょうけど(笑)

ちなみに今日の大阪公演では、座席位置的に、照明・平山さんのお仕事や、PA佐々木さん&サウンドシステムデザイン武井さんの手元にあったサラウンド監視ディスプレイがよく見える位置で、目が超釘付けになりました(笑)。これがとにかく楽しすぎた!

Twitterのフォロワーさんからもコメントいただいたのですが、『PA前方席(=一番音がいいエリア)』は、公演によっては設けられていたりしますが、『PA後方席(=PAがガン見できるエリア)』って、マニアックで面白そうだなぁ。僕は完全に、PA後方席でライブを観たい派(笑)。こういうチケットがあったら、特にファンではないミュージシャンのライブでも、チケット買ってしまうかも!?(笑)

サラウンド監視用ディスプレイ。

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なお、幕張メッセ公演初日に関しては、10/27発売GiGSにレポートが掲載されます。魚民のみなさんはもちろん、ぜひ多くの方にご一読いただけると、これ幸い。

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あと、最終日なので書ちゃいますが、アンコールで演奏した、 約12分にも及ぶ『SAMPLE Session featuring Team Sakanaction』、これは嬉しかった。幕張メッセ公演の初日で、アンコールでステージに戻ってきた5人がチューニングを始めた時に、『えっ、もしやあの曲を再現するのでは!?』と思い、鳥肌が立ちました。

この『SAMPLE Session featuring Team Sakanaction』、僕が大好きだっていうことだけでなく、10周年を迎えた最大のステージで、彼らがこの曲を、このアレンジで、再演したということが、とても嬉しく。

今回のアレンジの原型とも言える、2013年のツアー時に行った《0から100》をテーマにした同曲は、ワンマン・ライブでは好評だったものの、実はフェスで観客からブーイングが起きるくらいの賛否両論だったんです。つまり、ヒット曲を聴きたかったライト・リスナーにとっては、マニアックすぎる、と。

ちなみに僕自身は、そうしたブーイングの現場は体験していません。ただ、その年に行われた『SONIC MANIA』に行き、サカナクション目当てに前方へ詰めかけたフェスの観客の一部が、この曲が演奏され始めると、場を離れていく様子は目撃しました。その一方で、サカナクション目当てではない、後方でくつろいでいた『SONIC MANIA』の観客は、踊り始めたのです。そういうことなのかということは、身を持って体験しました。

今回演奏されたのは、当時のストイックなアレンジではなく、よりもポップに、明るくアレンジし直されたバージョン。しかし、彼らがやろうとしたことは、当時と変わってないんです。自分たちがカッコいいと思うものを、自分たちのイメージは変えずに、伝え方をかえ、10周年を飾る最大のステージの締め括りで、あえて挑戦した。その姿勢と心意気。

しかも、ステージ両脇の大型ヴィジョンに、プロデューサー野村さんをはじめ、PA佐々木さん、スピーカープランニング武井さん、照明デザイナー平山さん、マニュピレーター浦本さんなどの主要スタッフが紹介されるだけでなく、彼らの手元を映し出すことで、ライブはステージ上の5人だけでなく、『チーム・サカナクション』でクリエイトしているということを観客に伝えようとする彼らの気持ち。

正当に評価されなかったり、理解してもらえずに、憤ったり、悔しい思いをしたことが多々あったはず。それを表に出さず、作品で周りを圧倒する。それを出来るのが、サカナクションの真の凄さだと強く思いました。

ちなみに、今回のライブで披露された『SAMPLE Session featuring Team Sakanaction』と同じアレンジの演奏は、『さよならはエモーション/蓮の花』初回限定盤特典DVDにスタジオ・ライブとして収録されてます。最近ファンになって、過去の作品をご存知でない方は、ぜひチェックしてみてください。

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長きに渡るツアー、みなさん大変おつかれさまでした。

そして、本当に素晴らしいファイナルでした。


(↑クリックで拡大表示されます)


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幕張2日目の時にも書きましたが、せっかくの機会ですので、再び。

フリーマガジン『音楽主義』の特集「良い音のすすめ~コンサート現場編」を執筆しています。「いやでも音の善し悪しとかよう分からんし」という極ごく一般の音楽ファンの皆さんに向けて書いています。リハスタや音楽専門学校で配布中ですし、Webでも読めます。
http://www.ongakusyugi.net/special/20170900254c52f1b


大阪城ホールで『良い音』を体感した皆さん、2週間前に幕張メッセで『良い音』を浴びた皆さん、よろしければ、ぜひご一読を。そして、たまにはイヤホンを外して、自分の周りで、どこからどんな音が聴こえてくるのか、耳を澄ましてみてください。