楠クリーン村のブログ

山口県宇部市・楠クリーン村のブログです。

社会企業である私たちが、今、やるべきこと。

2009年02月24日 | 若者の見る田舎の景色~インターン奮闘記~
 私たち、学生耕作隊に地域活性化というテーマで、最近、続けて2つの全国TVからの取材依頼が来た。
この活動が注目されていることを実感している。
 当たり前にやってきたことが注目され、「地域活性化で私たちがやるべきこと」を考える機会になった。

 そのテーマは、これまでは、行政がやっていたのかもしれない。しかし、今では、行政が田舎に住めと言っても、行政の力では人は動かせない。
それでは、企業はどうだろうか。利益追求には興味があっても、根本的な社会の問題解決には興味がないのではないか。
私たちが田舎で働く人を応援する政府の予算を取ったときも、すぐに旅行会社から電話連絡があり、移動工程のアレンジを行うので提携しないかとの話を持ちかけてきた。明らかに彼らの目的は、田舎で働く人の応援ではない、それについてきている予算・お金が目的だった。もちろん、そんな話は、私たちには不要なことなので、断った。

 これまでの社会の牽引力は、行政セクターと企業セクターが担ってきた。社会のテーマが成長のみであった時代はそれで良かった。
しかし、その成長が様々な問題を生み、更には、成長そのものの目的を喪失する中で、行政とも企業とも違うもう一つのセクターが必要となった。アメリカでは、第三番目のセクターとして大学が機能しているようだが、日本の大学はようやく、企業との連携を考えたばかりで、これまで社会との距離を置いていた大学が、問題解決の主人公になるとは到底思えない。
これからの問題解決の主人公は、市民自身であり、その市民が、組織しているNPO法人なのではないかと思う。学生耕作隊も8年目を向かえ、社会が変化し、取材などで注目されたり、これまで耕作隊としてやってきたことが各地に広がっていく中で、私たちのようなNPO法人こそが更に力を持ち、問題解決の主人公になっていく必要性を、学生耕作隊の2代目代表として自覚し始めるようになった。


 私たち、学生耕作隊は志高く、常に前を向き駆け抜けているが、これまでいつも順風満帆であったわけではない。一時期は、呼びかけても人を動かすことが出来なくなり、大変苦しい時期もあった。
それは、今冷静に考えれば、経営という観点から、人・金・情報を動かすことができていなかったのではないかと思う。
現在は、活動内容を1/3は援農活動、1/3は政府の予算事業、1/3は「いつでも送っていいよ大作戦」や「学生マルシェ」などの自分達での経済事業と明確に振り分けた。ボランテイア+公益事業+ビジネスという組み合わせだ。これが社会企業のカタチだ。その結果として、見えてきたもの、得られたものから、これからの動きを作り出していくこととなった。

ここで見えてきたもの、それは農業に新しい風を、と頑張っていた私たちも、これまでの現在の農業が陥りがちな問題に陥っていたこと。日々の作業にばかり追われていて、先行投資をすることがまったくできていなかったのだ。援農から始まった組織だが、それしかやっていなかった。援農するために、呼びかけを行い、人集めをして、手伝いに行き、ひとつの作業がおわればまた次の作業があり、と、そのくり返しだった。これでは、農業を面白くプロデュースすることなど到底難しい。
そこで、援農から手数料をもらうのを止めた。私達は援農手配の部分を、完全にボランティアにして、お金以外の価値を模索し始めた。すると、交流会や農業体験などでも多くの人を集めることができ、お金ではない価値で、田舎に人を呼び込むことが出来るようになった。お金は人の興味を限定することを知った。お金にこだわると仕事がつまらなくなる。

田舎でお金を稼ぎだすというのは難しい。都会の方が簡単にお金を得ることができる。しかし田舎には、魅力がある。それは何か。田舎の価値は何だろうか。それは、「財」があることだと思う、この財を見せていくには、どうしたらよいのだろうか。その追求が仕事になった。それが、最近の取材を受けるようになった理由に違いない。

 私達が取り組んでいる、「田舎の財」を見せていく活動の中に、まず、萩の古民家再生がある。もう人も住まなくなった古民家を環境教育の場として再生しようとしているものだ。
ここには、エコエネルギーの実験としてロケットストーブ、だるまストーブ、太陽パネル、風力水車、竹炭窯、萩焼釜、それらが循環を演出するビオトープとして配置されている。それを青年の家に来た小中学生に現場で見せていく教育を始めている。
この再生事業には、地元の方々にも参加してもらっているが、彼らは知恵・技術を持ち寄り、現場で修理すること自体を楽しみにしてくれるようになった。
この大変価値ある技術・知恵を地域の中で生かすことが地域活性につながる。それをつなげていけば、日本の活性化になる。
例えば、北海道の方が山口に来られたときに、竹が柵や畑の支柱、その他さまざまなものに加工されているところを見られ、感心されていた。これを受けて、日本中の各地にあるはずの技術・知恵を発掘するような古民家改修ネットワークを作ろうと新たな動きも出てきた。

 もう一つ、再生事業を行っている「楠の森」では、人々が森に入るような様々な取り組みを行っている。もともと楠の森は、お茶園であった。まずは、お茶園の復活を目指した。しかし、お茶の木は、成長がとても早い。あっという間に背丈程度の大きさに伸びてしまう。それを刈り込む作業がとても大変だ。
しかし、その作業をするなかで、お茶から油が採れるという話を聞いた。お茶の実を乾燥させて油を絞るとのこと。なんと、この背丈以上のお茶の木からは、たくさんの実が採れる。なので、一部は、茶油畑にしようとアイデイアが生まれた。
25町歩もあるので、他に、ブルーベリーを植える予定だ。50種類以上、300本の定植を計画している。これは、生産性だけを考えれば、50種類もの苗木を植える必要ないのかもしれないが、植物の多様性、この森の土壌には、どの品種のブルーベリーが良いのかという実験も行っていきたいと思う。
そして、「遊びの森」という演出も考えている。サバイバルゲームを行うフィールドつくりや、マウンテンバイクで野山を駆け巡るコース作りだ。こうして様々な実験を一緒に面白がってくれる人が全国から集まる。
 
今は、社会の仕組みの大変革期。社会構造が組み立て直されるときだ。
既存の社会構造、お金が優位のセクター、天下りなど権限ばかりで知恵と現場のない行政セクターではない「志のNPO」を中心にして社会を組み立てなおす。それには、信頼・絆をテーマに市民が自立・自発的に動き出すことが今ほど求められているときはない。

私たち、学生耕作隊はその先頭をこれからもまた走り続けたい。


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1 コメント

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はじめまして。先日のテレビ放送を見させていただきました。 (亀谷 忠史)
2009-02-28 10:37:08
 こんにちは、はじめまして。
 先日のテレビ放送で学生耕作隊さまの活動を拝見させていただきました。
 わたしも山口で、(援農ではないですが)町づくり活動を行っており、近くに素晴らしい活動をされている仲間がいるんだなぁと思いまして、書き込みをさせていただきました。

 もしよろしければ、わたしのHPからもリンクをさせていただけないでしょうか。
 こうした地域活動の輪が、広がっていけばいいなと思います。

 今後とも活動、がんばってください!
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