草の伸びる勢いがぐっと増し、今まで枯葉ばかりの山々に新緑の葉がつき始めると、お茶の収穫時期が来たことを感じます。
約2年前から再生に取り掛かった楠の茶園でも今年、初めての収穫を行いました。
●悪戦苦闘の収穫
お茶の収穫は、二人で抱えて使う機械で行いました。
この作業には耕作隊のシニアの方お二人にきていただきました。
今回は人力で、しかも機械の操作に慣れない人間がするため、思った高さで刈れず、古い葉が入ったり、赤い茎(新芽ではない部分)が入ったり、とかなり四苦八苦しました。
3反のほど畑で収穫作業を行いましたが、慣れない機械、暑い日ざしと戦いながら、まさに悪戦苦闘、なんとか収穫を終えることができました。
●工場での加工
収穫したお茶の葉(生葉)は、すぐに加工します。
そうしないと、時間が経つと共にどんどん発酵して色が変わり、風味も変わってしまうからです。
今回、私たちは使われなくなった茶工場を借り、自分たちで加工にも挑戦することにしました。
お茶の加工を簡単にいうと、「蒸す、揉む、乾燥させる」という処理を、粗柔機や中柔機、乾燥機といった聞きなれない、いくつもの機械を通して葉を乾燥させ、水分を飛ばしていきます。
実際にやってみると、一つの機械に通す時間、温度、数量など決めることがたくさんあります。
そしてそれは実際につくってみないとわからないことがたくさんあります。
また、機械も思ったように動いてくれなかったり、老朽化が進んでいて故障している部分があったり、ラインが詰まったりと、収穫に続き、こちらも決してスムーズとはいえませんでした。やってみると難しい!
最終の乾燥させる工程を経て、いよいよダクトから完成したお茶が出てきます。
出てきたお茶は紛れもないお茶です。香ばしい香りが袋いっぱいに広がります。
できたことに対する喜びもありますが、それ以外に胸にこみ上げてくるものがあります。
この気持ちはなんだろうか・・・なんでこんなにうれしいだろうか。
単純作業の肥料撒き、ツル取り、圃場の整備、草との戦い・・・その作業を一緒に行ったシニアの方々や仲間のこと・・・その一年以上のさまざまな記憶がよみがえります。
私の友人の言葉を借りて言うと、それはきっとお茶の一年と自分の一年が重なったからだと思います。
これが農業の楽しさなのではないかと僕は感じました。
●収穫したお茶の活用
さて、今回収穫したお茶は、加工の実験として、全量を粉にして、スティックすることにしました。
これなら簡単に持ち運べて、すぐに飲むことができます。
それを私たちの仲間の東京のフェアトレードをしている第三世界ショップや各地のレストランで販促用として使用し、来年の収穫したお茶の販売につなげる予定です。
今年の市場でのお茶の値段は、去年よりさらに悪くなっており、生産者がお茶だけでは、食べていけないような状況が続いています。
私たちは生産から加工、販売までも一貫して行うことにより、消費者と生産者の距離を近くもち、また消費者には安心と安全を、生産者は生活が成り立つようにしていきたいと思っています。
「言うは易し、行なうは難し」と言いますが、行動をしないと何も変わりません!私たちの挑戦はまだ始まったばかりですが、ぜひ今後もご注目ください!
↑お茶の加工の様子
↑加工されたお茶の葉