楠クリーン村のブログ

山口県宇部市・楠クリーン村のブログです。

今年は、みかんジュースできました

2011年01月14日 | 若者の見る田舎の景色~インターン奮闘記~
■私たちのグループのみかん園

 2008年春から山口県周防大島町で始まったみかん園の管理。
 後継創業という形で引き継いだみかんが、今年も収穫の時期を迎えました。
 私たちのグループのみかん園は、田舎で生産を中心に行うメンバーと、都会で販路を探したり、付加価値のつく開発にチャレンジするメンバーに分かれて仕事を行っています。
 また、自分たちのグループの中にある販路へみかんを流していくことで、経営を引き継いだ際の初期の問題となる、収量が不安定、収穫高の見込みが大きく変動する可能性や、大きな流通へ流せないリスクを回避しながら、小さな流通の確保を行い、その問題を乗り越えてきました。


■ みかんジュースを商品開発

 そんな中、生のみかんだけを販売しようとすると、大豊作の年などでも大きな保管所もないため、どうしても傷みが発生することから、加工を考えよう!と、去年からみかんジャムやみかんジュースの商品化にチャレンジしてきました。
 そして、ジャムもジュースも、こだわりを持って小ロットでも製造を請け負って下さる業者に依頼し、試作を行いました。
 また、今年は裏作の年のため、全体的な収量が落ち込んだこともあり、みかんジュースのみ先に商品化することにしました。
 私たちの農園のみかんは甘みだけでなく、ほどよい酸味もあることが特徴のため、はちみつ入り液糖などの甘みをつけることなく、無添加ストレートで100%まるごと周防大島みかん園の温州みかん果汁で作りました。
 ひとつひとつ手作業で皮を剥き丁寧に果汁をとったみかんジュースです。
 今年のみかんは、雨量が少なかったことも影響し、甘みが例年よりも強く、味の濃いみかんが収穫でき、その味をそのまま味わっていただけます。


■東京のイベントでも詰め放題を実施

 また、生のままのみかんもぜひ味わっていただきたいと、東京でのイベントでみかんの詰め放題も行いました。
 3日間行った中で、2日目の朝には完売し、昨日食べておいしかったのよ!と翌日もみかんを購入しに足を運んでくださった方もいらっしゃいました。
 例年みかんを購入してくださっているお客様からは続々と注文が入り、「今年もここのみかんを待っていたのよ!」とうれしい言葉もいただきました。
 また、「今年はみかんジュースもあるのね!飲むのが楽しみだわ!」と、みかんジュースを作るまでの様々な作業が実を結び、そうした言葉として戻ってきて、モノ作りから生まれる感動を直に感じ、幸せなことだなと思っています。
 そして、なんと12月初旬に販売を始め、12月中旬にはありがたいことに生のみかんは完売の運びとなりました。
 来年度は、みかんジャムができるように少しずつではありますが、商品化も進めていきたいと思っています。
 そして、いろんな地域の得意分野が掛け合わさることでモノづくりの感動を生みだしつつ、地域が地域を支える農業をこれからも作っていきたいと思います。


管理みかん園で収穫されたみかん


商品化されたみかんジュース

農を軸としたオルタナティブな市場を作るチャレンジへ

2011年01月11日 | 若者の見る田舎の景色~インターン奮闘記~
■5ヶ月間の歩み

 「山口で農を軸とした第6次産業をつくろう!」と組合を設立したのが、昨年8月の終わりです。
 おいしいものを食べるのが大好きな私は、大変だと言われている農業に「自分ができることをしたい」と、組合設立準備に関わりました。
 組合員は、宇部市の耕作放棄された20ヘクタールの茶畑を再生中のお茶生産者・三田村諭さんを中心とした4名です。

 この組合員を中心に、生産者が作った山口の農産物を県内の女性起業家のケーキ屋・パン屋・レストランなどで使ってもらい、付加価値のついた商品として売り出していくことで第6次産業化を推進しようと動きだしました。
 再生させた茶畑で採れたお茶を持って、県内の女性起業家のケーキ屋・パン屋・レストランなどを訪問しています。
 地元のものをできるだけ使いたいとの共感から、加工途中に出てしまう細かな三田村茶が入ったパウンドケーキ&シフォンケーキ、周防大島のみかんがまるごと入った「じゅわっとみかんパン」などの商品も生まれました。
 同時並行で直売所も訪問していくと、生産者の多くが60代以降で80代の方もいてどんどん農業を辞めていく現実に危機感を覚えました。
 このまま何もせず気づいたら直売所にたくさん並んでいたはずの野菜が激減している、そんな日も遠くないと思うのです。


■ ファーマーズマーケットから学んだこと

 2010年9月からは宇部市役所の目の前にあるヒストリア宇部で「まちなかファーマーズマーケット」開催をスタート。
 徐々に認知され、三田村さんの作るほうじ茶には「これがなくなったらどうしようかと思った」というほどの熱烈ファンがつきました。
 また、「周防大島でみかん園をおばあちゃんから引き継ぎ、育てたみかんが入ったパンなんです」と説明すると「それは買わにゃあね」と言って一人で5千円も買ってくださる方などともつながりができました。
 みかん・お茶を使った加工品も開発し、地元の総合支援学校に通う自閉症の男の子の作る切り絵を使ったLEDライト看板も設置するなどして農を軸としてさまざまな可能性にチャレンジしています。

 事業化までの道のりは遠いですが、生産者に「売ってくれてありがとう」、お客様に「若い人がんばってね」という言葉に支えられています。
 実家が農家でもなく、素人の私が農作物を売ることで学んだのは、生産者のことを知り、自分のことのように話して買ってもらいたいという熱さを伝えないと売れないということです。
 今まで自分の好きなときに好きなものを選び買ってきた立場とは、まったく逆。選ばれなければなりません。
 なぜ買ってほしいのかという想いが伝わり、売れたときには他には変えられない喜びがこみあげます。
 買ってもらうことがお茶畑の継続につながることが実感できるからです。


■私たちが変われば農が変わる

 私がこの組合でやり遂げる6次産業化のミッションは、山口の生産者、これから新たに農業を始める人が自立できる「オルタナティブな市場」を作ることです。
 市場を作ることができれば、新たに農業を始める人も増え、安全な農作物を手に入れることができます。
 この市場は山口のみなさん一人ひとりが参加者で、商品を買う、おいしい食べ方・飲み方をブログで紹介する、空いた時間に生産者を手伝う、畑を借りて野菜を作ってみる、食べきれないものはファーマーズマーケットで売ってみるなど、いろんな関わり方ができます。

 生活の中で食・農への関わりを1つでも増やすことが、オルタナティブな市場を形作っていきます。
 大事なのは誰かに言われたからではなく、自分がこれは必要だと自分で考えて行動することです。
 農作物や加工品を買う前に「本当にこの価格でいいのか?」と疑問を持ち、納得してから買う。
 本当に自分たちが必要だと思うことを考え、行動することで農業が成り立ち、若者の参加も増えていくことでしょう。
 どれだけの人がもう一歩、農に関われるかで山口、ひいては日本全体の未来の食・農業が決まります。

 消費者と生産者が繋がるきっかけ作りにファーマーズマーケットで第6次産業の「直売」をやってみませんか?
 生産者のことを知り、商品に込められた想いを感じ、POPを書き、ストーリーを伝え、商品を売ること、お客様から聞いた評価を生産者に還元すること、などを通じて多くのことが学べます。
 自分たちに必要な農・食を自分たちで作る山口の第6次産業を作りましょう!


ファーマーズマーケットでの販売の様子