この懐かしき本たちよ!

まだ私の手元に残っている懐かしい本とそれにまつわるいろいろな思い出、その他、とりとめのない思いを書き綴りたい。

#60 「老年のイェーツの写真」

2005年04月16日 | 英米文学
出淵博他による「現代批評の展望」(1974年学生社刊)は、シンポジウムの司会者の川崎寿彦がとりまとめておられる本である。川崎氏はそのあとがきで、こう書いておられる。

「本巻は、立案・司会者としての私が地方(名古屋)在住であったこと、出席予定者の病気、さらには途中で急に決まった私の海外渡航の件などで、予想外に障害が多かった。
これらの障害をどうやら乗り越えることができたのは、ひとえに出淵博氏のおかげである。氏は私に代わって、各出席者や編集部との間のパイプ役となり、また最後には、中心となって要語解説と文献と年表を作成するという、めんどうな仕事をやりとげてくださった。深く感謝したい。」

この本ができるに到った間の出淵の地味な誠実な働きが彷彿として思い浮かべられるようだ。彼は誰にも、また何事にも誠実であった。(私と比較するのはおこがましいが、出淵は私とはまるで逆であった。というよりは、私に自己弁護をさせていただければ、私はいろいろ誠実に思っても実際はできないことを、出淵はちゃんと誠実に引き受けそして実際に誠実にやり遂げるという本当の誠実さを持っていた。)

この本には実に立派な年表「現代批評比較年表」が巻末についている。14ページにわたるものである。
そして9ページにわたる参考文献リストと8ページにわたる詳細な索引もついている。
川崎氏のあとがきによれば、これらは出淵の手によるものであるようだ。

それだけでなく、本文のページの下に多くの註がついてあり、批評家や作家の写真つきの紹介も多い。たいそう行きとどいた本だ。

 この本の註の中で私は詩人イェーツの老年期の写真をみつけた。あこがれの佳人モード・ゴンに
何度も求婚を拒絶されたころの若い頃の詩人の写真と見比べて見ている。イェーツがモード・ゴンの頭像を見て詩を書いたのは、老いたころのイエーツなのだろう。(3月21日付#46、3月22日付#47、4月8日付#48参照)

イェーツは74歳で亡くなっている。(イェーツ1865~1939)この写真はいつ撮影されたのかはわからないが殆ど私の今の年齢のころの写真なのかもしれない。それなら「老いたころの」という形容詞は適当ではないかもしれない。(笑)

*画像はイェーツ。学生社刊「現代批評の展望」より



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