この懐かしき本たちよ!

まだ私の手元に残っている懐かしい本とそれにまつわるいろいろな思い出、その他、とりとめのない思いを書き綴りたい。

#791「出淵文庫」

2013年04月10日 | 英米文学

インターネットで見ていたら、東京大学教養学部に出淵文庫書庫というものができたという記事を発見した。

故出淵博東京大学名誉教授の遺族からの寄贈による2000冊あまりの英文学関係の研究図書によってできているとのことである。

東京大学教養学部英語部会からのりリースとして下記の記事が見られる。

「永らく東京大学で教鞭を執られ、英語部会にも多大な貢献をされた故出淵博名誉教授のご遺族から寄贈された研究書が、この度「出淵文庫」として駒場キャンパス8号館の外国語図書室に配架されました。文庫所蔵書総数は、以前に寄贈され、すでに外国語書庫に所蔵されていた426冊も合わせ、2141冊に上ります。内容は、ご研究の大きな柱であったW. B. イェイツを中心とする現代詩と現代批評理論を始め、出淵先生の学識の豊かさを映して実に幅広い分野に亘るものです。」

「リスト作りには総合文化研究科の大学院生があたり、運搬・ラベル貼り・配架は、かつて出淵先生が主任を務められた教養学部イギリス科の学生が行いました。教室で謦咳に接した学生はもう少なくなりましたが、「文庫」に収められた書籍の数々を通し、先生の教えは脈々と受け継がれるに違いありません」

とある。

。(「出淵文庫所蔵目録」)。(同リリースより)

私はこれを読んで嬉しくなった。そして涙が出て来た。

この文庫の成立には、同じ英文学者である敬子夫人の努力にもよるものであったろうと想像した。

大学を卒業してからNHKの放送記者として3年勤めた後に大学院に戻って来た博はやがて同じ時期に東京大学の大学院で席を並べて英文学の研究にあたったいた美しく聡明な敬子夫人と結ばれる。二人はその後の共同生活を通じても互いの学問上の趣向を知り尽くしていたことであろう。

私はケンブリッジ大学での研究留学に幼い子供たちをつれて日本を出発する一家を見送ったことがあるが、何と素晴らしい夫婦か、何と素晴らしい一家かと感動したものである。

東京大学教養学部での出淵文庫の成立にも、大学側の努力もさることながら敬子夫人の夫君博氏になりきってのご努力のあってのことと思う。

それにしても、君はどうしてそんなに早く逝ってしまったのか、と涙が出てくるのである。 (おわり)

 

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画像:筆者撮影 キャンパスの桜

 

 

 

 

 

 


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