日本列島旅鴉

風が吹くまま西東、しがない旅鴉の日常を綴ります。

晩秋の大地を行く 2019続編 - 晩酌

2019-10-10 17:19:09 | 晩酌
秋の夕日はたちまち傾き、五時を回ったところで雲に紛れました。入れ替わるようにして月が現れ、鳥海山の左上に浮かんでいます。最高潮を迎えたところでお待ちかねの晩酌です。既報の通り、肴は広域農道沿いの直売所と港の近くの肉屋で調達しました。売店で買ってきたサッポロクラシックを加え、持参の酒とともにいただきます。

粗挽ウィンナー
ひじきの五目煮
さつま芋と柿の胡麻和え
岩室産なす辛子漬
ほうれん草と菊のおひたし
カツサンド
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晩秋の大地を行く 2019続編 - 持ち腐れ

2019-10-10 16:51:03 | 甲信越
秋の北海道遠征が恒例化し、今年で七年連続となりました。その際に往路の交通手段として利用したのは太平洋フェリーが二度、その他は全て新日本海フェリーでした。つまり、最も愛用してきたのが、新潟から小樽へ向かう日本海航路ということになります。しかし、前回乗船したときに、この航路に対する信頼を貶める出来事がありました。就役したばかりの新造船が、先代とは似て非なる代物に成り下がってしまったのです。個室が拡充された代償として、共用の空間が大幅に削減されてしまったというのが最大の変化でした。それによりなけなしの空間を大勢の乗客が共有する形になり、全く落ち着かない船内に一変してしまったのです。連休に重なった往路が特にひどく、空いていた復路についても細部の設計の拙さが目立ちました。
ただし、今回の渡道にあたり、再びこの航路で行くことについてはさほどの迷いがありませんでした。昼に出て翌朝に着くという時間帯には何物にも代え難い価値があるからです。まず、早朝に自宅を出れば、頃合いの時間で新潟まで行くことができます。日中の航海が長いのも楽しく、中でも日本海に沈む夕日は見所です。翌日は夜明けと同時に走れるため、11時に着く太平洋フェリーに比べ、道内の滞在時間その分延びます。日の入りがますます早まるこの時期、実質半日の差は貴重です。いただけないのは船だけであり、それ以外は何をとってもこの航路が一番と再認識したのでした。

そのような事情もあり、今回は自衛策をとりました。五千円ほどの差額を払って個室を奢ったのです。個室といっても前回の復路で使った一人用の寝台ではなく、洗面台とシャワーまで備えたツインルームです。共用の空間の縮小と引き換えに、個室の充実が図られた以上、この船のよさを最大限享受するには、個室を奢るのが一番と思い至ったのでした。
事前の情報からある程度の予想はしていました。しかし、実際に乗船すると思った以上の充実ぶりです。間取りと設えのいずれをとっても、自分が日頃泊まっている価格帯のビジネスホテルと変わりません。取り立てて広かったり高級だったりするわけではないものの、さりとて安普請ではないということです。もしこれと同格の宿に六千円で泊まれるとすれば、料金に見合った価値は十分あるといえるでしょう。ましてやフェリーの船室としては買い得といって差し支えありません。
ただし、よほど上級の船室ならともかく、ここまでの設備が一般の船室に必要なのかという素朴な疑問も湧いてきます。大浴場があればシャワーは必要なく、洗面台も各部屋に必要なものとまでは思われないからです。無用の長物と引き換えに、共用の空間が犠牲にされたという現実に鑑みると、少なくともシャワーと洗面台は余計という印象を受けます。この船の設計の拙さを、またしても見せつけられてしまいました。

そう思うのは、前回の状況からは予想もつかなかったほど快適だからでもあります。最大の要因はもちろん人出です。九月の連休初日に重なった前回に対し、北海道へ行くには半端な10月の平日という条件が幸いしました。いつまでも混み合っていた後方甲板は貸切同然です。それに加えて、営業時間外の食堂が一部とはいえ開放されるようになりました。共用部があまりに貧弱すぎることから、乗客から不満の声が上がったのでしょう。個室にばかり偏重した設計思想はいかんともしがたいものの、細部においては改善が図られ、前回よりも大分よくなったというのが実感です。
そのようなわけで、今のところ船室では正味一時間も過ごしていません。わざわざ奢った個室も宝の持ち腐れではありますが、個室の中に籠るより、甲板で日本海の風に吹かれた方がよいに決まっています。晩酌も甲板で夕日を鑑賞しつついただくことになりそうです。
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晩秋の大地を行く 2019続編 - 出航

2019-10-10 13:42:37 | 甲信越
手続を済ませたとき、案内された乗船時刻は一時間後でした。しかし、なまじ時間に余裕ができると、それをも使い切ろうとしてしまうのが自分の癖です。中華そばをすすって食料を補充し、少し早めに戻ったつもりが、乗船開始は繰り上がっており、車の列は一台残らず消えていました。こちらが乗船した直後、スロープが船体から切り離され、乗下船口が閉じられて、13時を回ったところで離岸するという顛末です。今回も終わってみれば紙一重でした。
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晩秋の大地を行く 2019続編 - 肉の庄内

2019-10-10 12:28:39 | B級グルメ
中華そばもさることながら、商店街がよい味を出しています。有り体にいえばうらぶれているということでもありますが。山の下市場通りなる愛称と、両側に続く古びたアーケードからは往年の賑わいが偲ばれる一方、今や過半かそれ以上がシャッターを下ろしています。わずかに営業している店でも見るからに品が少なく、どこも青息吐息です。しかし、そのような中にあって気を吐く店が目に留まりました。屋号の通り肉屋ですが、通りにはお惣菜の幟もあります。船上での晩酌用にもう一品と思い立って飛び込むと、若女将と思しき快活なお姉さんが出迎えてくれました。揚物、焼物、煮物、おひたしなど山盛りの惣菜が並ぶ中、菊とほうれん草のおひたしがこの時期ならではです。迷わず選び、見るからにうまそうなカツサンドもついでに調達。先ほど直売所で買った四点と合わせ、結果としては買いすぎました。しかし、晩酌の肴一つ買うにしても、規格化されたスーパーより、昔ながらの商店で買えればそれに越したことはありません。フェリー乗り場の至近という立地もお誂え向きで、乗船前の買い出しに重宝しそうな一軒です。定刻に出航すれば、例のごとく駆け込みでの乗船となり、このような一帯がにあることにも気付かなかったでしょう。出航の遅れが幸いしたという点で、怪我の功名というべき結果でした。

肉の庄内
新潟市東区山の下町9-17
025-273-5691
830AM-1830PM
日祝日定休
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晩秋の大地を行く 2019続編 - 支那そば弘一

2019-10-10 12:01:48 | B級グルメ
谷川岳の湧水以外飲まず食わずで空腹感も限界です。早いところ乗船し、遅い朝食兼昼食をいただきたいのはやまやまながら、出航はさらに遅れて13時15分との案内が。甲板に立ち、出航の一部始終を見届けてからということになると、それまで待つのはいささか酷です。今回は乗船に先立ち腹ごしらえを済ませます。港の近くのラーメン屋に飛び込みました。
手続を済ませると、乗船開始時刻までほぼ一時間が残りました。これなら「三吉屋」へ行くこともできそうでした。しかし、往復の移動時間と滞在時間を考えると、余裕は全くありません。時間を気にしながらいただきたくはありませんでした。とにかく手近な店をと考え調べたところ、この店に行き着いたという顛末です。
フェリー乗り場からは1kmと離れておらず、歩いて行くこともできそうです。かつては港湾労働者で賑わっただろう、しかし今ではうらぶれた商店街の一角に、幟と暖簾と提灯を掲げた店がありました。しかしそれらのどこを見ても屋号はなく、ここでよいのだろうかと一瞬半信半疑になります。意を決して暖簾をくぐると、カウンターを中心にした店内が広がっていました。
短冊の品書きは支那そば、餃子、チャーハンのみと潔く、簡素な造りの客席を含め、質実剛健たる中華そば専門店の趣です。注文したのはチャーシューメン800円也。小さめの丼に濁った醤油スープを満たして細麺と組み合わせ、小ぶりなチャーシューとメンマ、葱、なると、ほうれん草を乗せた出で立ちには、和歌山の中華そばにどことなく通ずるものが感じられます。滋味溢れるスープと極細麺を持ち味とする「三吉屋」ほどの傑出した点まではないものの、柔らかく煮込まれた巻きチャーシューは上々です。汁一滴残さずいただける、完成された一杯でした。

支那そば弘一
新潟市東区山の下町7-25
025-271-0112
1100AM-1400PM/1700PM-2100PM
月曜定休
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晩秋の大地を行く 2019続編 - 新潟西港

2019-10-10 11:45:48 | 甲信越
あっという間に11時を回ってしまい、二の轍を踏むかと一時は覚悟しました。しかしその後は思ったよりも順調でした。広域農道を飛ばして国道に合流すると、すぐさま自動車専用のバイパスが始まりました。バイパスを下りても流れは引き続きよく、小樽行の船が出る新潟西港に30分少々で到着。只今乗船手続を済ませたところです。
早朝に出ていた霧が晴れて以来、雲一つない青空でしたが、よく見ると海上には秋らしい薄雲がたなびいています。晴れた方がよいのはもちろんだとしても、洋上から眺めると雲一つない空というのは味気ないものです。お誂え向きの雲が出て、航海がますます楽しみになってきました。
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晩秋の大地を行く 2019続編 - 直売所

2019-10-10 11:09:57 | 甲信越
これ以上の寄り道が危険なのは分かっています。しかし、晩酌の肴はどのみち必要です。渡りに船の直売所が沿道に現れたため、ついでに買い出しを済ませていきます。茄子の辛子漬に柿とさつまいもの胡麻和えという、越後の秋らしい品々が揃いました。船尾にある甲板のテーブルを拝借し、暮れ行く西の空を眺めつついただけば最高でしょう。

★そら野テラス
新潟市西蒲区下山1320-1
0256-88-4411
900AM-1900PM
火曜定休
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晩秋の大地を行く 2019続編 - 広域農道

2019-10-10 11:01:29 | 甲信越
越後線を撮ったのは咄嗟の思いつきであり、是非そうしようと出発前から思っていたわけではありません。一つだけ決めていたのは、越後平野の広域農道を走ろうということでした。
そもそもの発端は一昨年です。佐渡からの帰り道、ツーリングマップルRを頼りに走った広域農道が、暗い中でも走って楽しい快走路でした。日中にも是非走ってみようと、その年の秋に再訪したものの、フェリーの出航時間が迫り、ごく短区間走っただけで北陸道に乗らざるを得なかったという経緯があります。それだけに、ほぼ同じ状況が再現された今回、当時の借りを是非とも返したかった次第です。
こうして走った広域農道、見方によっては殺風景ともいえます。北陸と同様、新潟では青い田圃が早々と刈られていきます。10月にもなればどこにも稲穂は見当たらず、はさ掛け、藁ぼっちの類も一切ありません。加えて地形が平坦です。浅間山と八ヶ岳を一望できた信州に比べると、眺めのよさにかけては遠く及びません。9号、10号などと機械的に付番されるところも無粋です。情緒よりも合理性を重んじるのが越後の人々の気質なのでしょうか。しかし、
広大な平野を貫く快走路だけは最高です。この道を思い切り走ってみたいというのが数年来の宿願でした。ようやく果たせたことを幸いに思います。
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晩秋の大地を行く 2019続編 - 願ったり叶ったり

2019-10-10 10:00:20 | 甲信越
予定外の寄り道により10時を回ってしまいました。列車でも一時間以上はかかる新潟へ、一般道で行くとすれば、少なくとも同程度の時間を消費するでしょう。しかし、こちらにとっては願ったり叶ったりの状況となりました。これから乗船する小樽行のフェリーの入港が遅れ、出航も一時間繰り下がるというのです。あくまで予定にすぎず、繰り上げて出航する可能性も依然としてあるとのことだったため、これ以上の寄り道は禁物ですが、心理的には若干余裕ができました。
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晩秋の大地を行く 2019続編 - 越後線

2019-10-10 09:48:52 | 甲信越
気付くのは遅れたものの、一部とはいえ取り戻しました。咄嗟の閃きで車を走らせ、越後線の列車をを撮ったところです。
小出で下りた時点では、一般道を適当に走って行こうという程度の考えしかありませんでした。しかし、その後しばらく走ったところで、越後線を撮れるかもしれないということに気付きました。そこで115系の運用を調べたところ、今から行ってもまだ間に合うと分かったため、そのまま車を走らせました。まず出雲崎で柏崎行の列車を、次に大河津分水路の鉄橋で新潟行の列車を撮るという顛末です。
あのまま関越道を飛ばして撮影地に直行すれば、新潟行の列車をもう一本、場合によっては二本撮影できました。極限まで削減された運用が、今春の改正でほぼそのまま残っただけでも奇跡であり、ましてや来年再挑戦できる可能性は高くありません。この教訓を次回に生かせそうにないのが残念です。とはいえ、撮影については三年前の秋を最後に見切りをつけていただけに、このような形で再び撮れただけでも十分です。当時は存在しなかった弥彦色の編成を含む二本を、実質初見の越後線で記録できたのは幸いです。
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晩秋の大地を行く 2019続編 - 越後広瀬駅

2019-10-10 06:58:22 | 甲信越
歳を追うほど無味乾燥な高速道を延々行くのがもったいなく思えてきます。一昨年の教訓も顧みず、小出で関越道を下りました。今回も栃尾経由で長岡へ向かおうという寸法です。これは必然的に只見線の沿線を通るということでもあります。ついでに越後広瀬の駅舎を定点観察していきます。
下山すれば気温も上がってくるかと思いきや、現在地では7.5度に下がりました。朝霧の中、只見からの始発列車が到着し、意外なほど大勢の高校生を乗せて走り去ったところです。長旅の幕開けにふさわしい、印象的な光景でした。
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晩秋の大地を行く2019続編 - 上越国境

2019-10-10 05:14:43 | 関東
束の間の休息を経て二時過ぎに起床。三時過ぎに出発し、四時前に関越道の料金所を通過するという、おおむね狙い通りの時間配分となりました。上越国境を目前に、谷川岳のPAで小休止をとっているところです。
新潟から北海道へ渡るのは一昨年以来です。新潟へ着くまでの間に通算19万kmを突破する状況だったため、それ相応の場所で節目を迎えようと、かなり手前の大和で関越道を下り、一般道を悠長に走っていたところ、次第に時間が押してきて、新潟港に着いたのは出航のわずか20分前という、冷汗をかく顛末でした。今回はそのときよりも一時間ほど早く出たため、ここに着く時刻もその分早まりました。その一方で出航の時刻は15分繰り下がり、小出あたりで一般道に下りたとしても、正午の出航には一応間に合う寸法です。しかし、あのときは新潟市街に入ってから渋滞に巻き込まれて非常に焦りました。二の轍は踏みたくないため、長岡まで関越道で行くのもやむなしかと思っているところです。
ちなみに現在地の気温は8.5度。初夏以来、長らくTシャツ一枚で活動を乗り切ってきましたが、それではさすがに寒すぎます。例年になく長引いた残暑が嘘のように去り、俄に秋らしくなってきました。北海道では寒さに震える日々が続きそうです。
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