一年ぶりの松山で、まずどの店に行くかと考えたとき、自分の答えは明確でした。今回も「せくら」の暖簾をくぐります。
馬鹿の一つ覚えに走ったのは、酒よりも肴を主役にしたこの店の品書きによるところが大です。肴が主役ということは、万全の腹具合で臨み、たらふく飲み食いすることに重きを置くのが吉ということに他ならず、その点では高知の「くもん屋」に通ずるともいえます。しかも、このところ満席で振られ続けている「くもん屋」と違い、時間を見計らえば比較的難なく入れるのも重宝するところです。あえて急がずこの時間まで待ったのも、そろそろここが空いてくるだろうと期待してのことでした。
その見立ては的中し、掘り炬燵のテーブル席こそ埋まっているものの、カウンターは先客二名と落ち着いています。ただし、カウンターの中程が片付いてから通されました。あと10分、20分でも早ければ、状況は違っていたのかもしれません。その一方で、これ以上遅ければめぼしい品が切れてしまう可能性もあることを考えると、早からず遅からず絶妙な間合いだったということになります。
何度か訪ねるうちに気付いてきたのは、一品の分量が多く、わずかな品数ですっかり満腹になるということです。より具体的にいうと、見た目の物量感以上に腹が満たされるという点に特徴があります。最初に頼んだ鰹のたたきも、五切れという数以上の食べ応えでしたが、次に選んだ栗の唐揚げはそれ以上でした。大胆にたとえるならば、「シャンゴ」のスパゲティのようなものとでも申しましょうか。一見すると難なくいただけそうでありながら、なかなか減っていかないのです。それを見透かしたかのように、半分ほど箸をつけたところで、一人には多かろうという店主の言葉が。一人客であろうとも手加減することなく、何もかも気前よく盛り付けるのが当店流といえそうで、その点では長岡の「魚仙」を彷彿させるものがあります。今回も突き出しと三品でほぼ満腹となりました。
店主の記憶力は大したもので、これが四回目かとたずねられました。そういわれてよくよく数えてみると五回目でしたが、当たらずとも遠からずではあります。
最初に訪ねたのは六年前です。その間正月休みに重なって機会を逃す年が続くなど、かなりの無沙汰をした時期があったにもかかわらず、六年で五回ということはそこそこの結果ともいえます。数を追い求めるつもりはないものの、このカウンターで店主と女将相手に一献傾けるのは、自分にとって何物にも代え難い時間です。来年も必ず戻ってきたいと思っています。
★せくら
松山市三番町1-13-8
089-934-5671
1730PM-2330PM(LO)
日祝日定休
小富士二合・雪雀
突き出し(黒枝豆)
深浦直送かつお塩たたき
中山の栗から揚げ
牛アキレス煮
馬鹿の一つ覚えに走ったのは、酒よりも肴を主役にしたこの店の品書きによるところが大です。肴が主役ということは、万全の腹具合で臨み、たらふく飲み食いすることに重きを置くのが吉ということに他ならず、その点では高知の「くもん屋」に通ずるともいえます。しかも、このところ満席で振られ続けている「くもん屋」と違い、時間を見計らえば比較的難なく入れるのも重宝するところです。あえて急がずこの時間まで待ったのも、そろそろここが空いてくるだろうと期待してのことでした。
その見立ては的中し、掘り炬燵のテーブル席こそ埋まっているものの、カウンターは先客二名と落ち着いています。ただし、カウンターの中程が片付いてから通されました。あと10分、20分でも早ければ、状況は違っていたのかもしれません。その一方で、これ以上遅ければめぼしい品が切れてしまう可能性もあることを考えると、早からず遅からず絶妙な間合いだったということになります。
何度か訪ねるうちに気付いてきたのは、一品の分量が多く、わずかな品数ですっかり満腹になるということです。より具体的にいうと、見た目の物量感以上に腹が満たされるという点に特徴があります。最初に頼んだ鰹のたたきも、五切れという数以上の食べ応えでしたが、次に選んだ栗の唐揚げはそれ以上でした。大胆にたとえるならば、「シャンゴ」のスパゲティのようなものとでも申しましょうか。一見すると難なくいただけそうでありながら、なかなか減っていかないのです。それを見透かしたかのように、半分ほど箸をつけたところで、一人には多かろうという店主の言葉が。一人客であろうとも手加減することなく、何もかも気前よく盛り付けるのが当店流といえそうで、その点では長岡の「魚仙」を彷彿させるものがあります。今回も突き出しと三品でほぼ満腹となりました。
店主の記憶力は大したもので、これが四回目かとたずねられました。そういわれてよくよく数えてみると五回目でしたが、当たらずとも遠からずではあります。
最初に訪ねたのは六年前です。その間正月休みに重なって機会を逃す年が続くなど、かなりの無沙汰をした時期があったにもかかわらず、六年で五回ということはそこそこの結果ともいえます。数を追い求めるつもりはないものの、このカウンターで店主と女将相手に一献傾けるのは、自分にとって何物にも代え難い時間です。来年も必ず戻ってきたいと思っています。
★せくら
松山市三番町1-13-8
089-934-5671
1730PM-2330PM(LO)
日祝日定休
小富士二合・雪雀
突き出し(黒枝豆)
深浦直送かつお塩たたき
中山の栗から揚げ
牛アキレス煮