悲嘆に暮れる間もなく生業が始まり、慌ただしく四日が過ぎました。明後日の昼には棺に入って家を出るので、明日が故人とともに我が家で過ごす最後の一日になります。そう思うとつい気分も湿りがちですが、最後の晩餐は盛大にやろうということになりました。毎年3月の誕生日に寿司と鰻の出前をとって祝うのが、故人が脳卒中で倒れて以来の恒例行事でした。流動食しかとれない本人にとっては面白いことなど何一つなかったはずだというのに、それでも家族全員が集まって、また一つ歳を重ねたことを祝ったものです。そんな恒例行事も残念ながら今年が最後となってしまいましたが、正真正銘最後の思い出として、もう一回だけ故人を囲んでの晩餐を思い立った次第です。湿っぽいのは葬式だけで十分です。最後の夜は水入らずの団欒で締めくくりたいと思います。