駄日記

ゲーヲタの駄日記。好きなネタについてダラダラ書いてるチラシの裏。

「あなたはこのゲームを買ってもいいし、買わなくてもいい」

2007年02月15日 | レビュー・感想
結局、『世界樹の迷宮』を買ってきてしまいました。

まー、ここ最近、駄目なら売る、合わなきゃ売るということを覚えてしまったので、ハマれなさそうなら売り飛ばすか…といった感じで。以前「ゲームは売らない」と心に固く決めてた自分ですが、PSUの運営の余りのクソっぷりに激怒して売却して以来、一旦ゲームを売りだすと旧作をコレクションしてたのもワリとどーでもよくなるようなならないような感じです。あんな大変な事態になる前は一応それなりに楽しく遊んでたんですよ?PSU…。遊んでいくウチに徐々にゲーム内容とかもメッキが剥がれてきた感じはしますが。

最近は完全版、調整版商法なども増え、同じソフトで何度も金を稼ごうなんて家庭用のゲームメーカーも増えてきてますし、そういうのにも疲れてきたのかもしれません。ですが、「せっかく定価で買ったのに二束三文じゃ売れねーよなぁ…」という貧乏性な部分も自分は兼ね備えているので、中々売るっつー行為にも未練が残るので結局積むのが大半なのですが。

てことで、余計な前おきが長くなりましたが、『世界樹の迷宮』の感想です。

ゲームを始めるとまず主人公らのギルド名を決め、いくつかの職業の中からパーティキャラを作成します。性別などもあえてぼかしてあるとディレクター新納氏が言っていたので、色々自分で設定付けてパーティを編成するのも楽しいかもしれません。個性づけに関しては後にスキルがどーだだの、装備がどーだ等で色々自分好みのパーティを作っていけるといった感じですか。ここら辺は何が使えるかは使って確かめろってな感じでしょか。

パーティを結成すると軽く街で情報収集しながらパーティの装備を整えたり色々するのですが、街での会話はほぼ必要最低限の会話ばかりが行われ、そこら辺はプレイヤーの想像力をかき立ててくれそうな感じ。プレイヤーキャラ側も一切喋らないので最近のヲタ臭いRPGに辟易している人なんかは、この淡白さは特に気に入るかも。

そんなこんなで装備を整えたらいざ世界樹の迷宮へ。60フレームで3Dダンジョンをヌルヌル進んでいくのはやっぱりドキドキします。この画面の両端が壁…っていう独特の閉鎖感はなんか久々な感じ。その後はダンジョンと街を往復しながら地味にコツコツ進めて行く…といった感じのゲームです。全体的に受動的ではなく能動的な作りになってるこういったゲームは本当に久々ですね。

全体的に難易度はわざと高めにしてあって、戦闘は普通にターン制のコマンド選択式の戦闘なのですが、序盤から敵が本気で殺しにやってきて、「防御」などもちゃんと駆使しながら戦っていかないといけないようなバランスです。序盤で毒で25ダメージをもらって全滅なんてこともやりました。戦闘のエフェクトなどは地味めですが、テンポは良く読み込みのストレスなども当然ないので快適です。最近のRPGには無かった緊迫感がありますわ。

かといってバランスが悪すぎるなんてこともあんまりなく。そこらは上手い感じの調整。今の時代にこれだけストイックな実験作を持ってきたのは素直に評価したいところ。BGMもFM音源を使ったどこか懐かしめの楽曲で中々よさげです。このゲームの場合は是非とも攻略本なんかは見ずにプレイしませう。

ストーリー面も先ほど言った様に強制イベント的なモノはほぼありません。それ故にテンポは凄くいいです。文体も「~がある。あなたは~してもいい。」などのむかーし風のテキストが気に入るとハマれます。その反面、昨今のRPGに慣れてる人はなんらかの目標を持ってのプレイが出来ないとツライかな。全体的に作りは丁寧なので下地は十分だと思います。あとは好み。

目玉となる下画面を使った手書きマッピングは序盤は面白いです。下画面丸々手書きの地図にしてしまったのは凄い逆転の発想だと思いますし、自分でマップを埋めること=ダンジョンを攻略してる感は確かにあるとは思います。下画面に地図を作ることにより迷うなんてこともあんまりない気がしますし、全滅してもマップデータだけはセーブ出来るので後のプレイに活かすことが出来るのもマッピングの醍醐味じゃないのかなと思います。

私的にマッピングという行為は、正直あまり好きじゃなく、オートマッピングや、頭ん中に地図を叩き込みながら遊ぶといった感じで3DダンジョンRPGを遊んでたことが殆どなので、床をセミオートマッピングしていってくれる機能があるのは助かります。昨今のゲームはオートマッピングも普通に搭載してたりするんで、「全部手書きかよ?ありえねー」…などと想像していたのでそこらは助かりました。

それでも後半落とし穴などが出てきたり、通り抜けられる壁、踏まなきゃならないワナイベントなど、こういったゲームにありそーな要素が出てきたりしたら絶対マッピング煩わしいだろうなぁ…などと思うようになりそうですが。

数時間ほど遊んでみて思ったのですが、やっぱりこの手のゲームって好き嫌いが激しいし、楽しいと思えるようになるまでは時間かかると思います。全体的に楽しさが瞬時に伝わってこなくて、やってみてじわじわじわじわ楽しくなってくるみたいな。俺はフィールド移動型のRPGばっかやってきたので、こういうゲームを凄く面白いとはあまり感じないんだけど、3Dダンジョンを探索してると妙にハマってしまうのがこういったゲームの不思議な魅力だよなぁ…と思います。

不満はメニュー周りの操作感かなぁ。パーティキャラはL・Rで次のキャラに飛んだりして欲しかったなぁと。店でのまとめ買いも出来ないしインターフェース部分まで古臭くしなくてもいいのにと思う。。戦闘に関しても、右手で地図を作成しながら遊んでいると敵と遭遇した時にLボタンで行動の選択がしたくなります。そんな感じ。インターフェース周りが使いづらいのは、ゲームの目指している方向性とはまた違った問題じゃないのかなと思うんだけど…。これが演出っていうなら俺としては残念だ。

最大の欠点はやっぱり中断セーブがないってところですかね。DSのセーブデータの容量をカッツンカッツンになるまで使ってるらしいんで中断セーブが出来ないらしいのですが、途中で急用が出来てやめたいって時に脱出アイテムがない時なんかはかなり面倒です。それでなくても、ちょっと戦っては帰還を繰り返したりするゲームなので。セーブデータが一つしかないのも残念。バランス面についてはまだまだ触りの部分なのでひとまずはなんとも言えないかも。

よくも悪くも合わない人にはトコトン合いません。斬新なのは手書きマッピング機能がある以外は無難に手強いRPGってな感じで、全体的にちまちました地味な探索ゲーなので、単調だとか面倒だとかそんなことを感じることもなくもないので、パッケージのイラストなんかに惹かれて買ったPS世代のおガキ様なんかは投げるかも。ハマる人はトコトンハマりますが、万人にはオススメ出来ないと思います。総じてマニア向けの作品ですが、それでも紙と方眼紙を用意してのプレイなんてめんどくさいことをする必要はないのでライトユーザー層でも多少は遊びやすいのかもしれません。

個人的にはどこか懐かしい雰囲気をかもし出した佳作かな…ってな感じです。触りの数時間の感触だけならば、今の時代向けのゲームバランスだとはあんまし思えないので心から薦めたいとは思いませんが、3Dダンジョンゲームだからと食わず嫌いせず、ファミコン時代にあったような独特なバランスを楽しみたい方はオススメです。骨太でボリュームもありそうな感じですし。個人的にひとまずは面白いと思います。「あなたはそれを手にいれてもいいし、手にしなくてもいい」みたいな元々のRPGの本流である役割を演ずるって感覚は十分楽しめそう。凄く面白い…と感じる場面なんかやっぱりあまりないんだけど、ダンジョン潜ってるとジワジワ楽しくなってきます。