星月夜に逢えたら

[hoshizukiyo ni aetara] 古都散策や仏像、文楽、DEAN FUJIOKAさんのことなどを・・・。 

ボストン美術館 華麗なるジャポニスム~京都市美術館。

2014-10-17 | ミュージアム・企画展
博物館の次は京都市美術館。
「ボストン美術館 華麗なるジャポニスム」展へ。

みどころは・・・
・修復によりよみがえったモネの傑作「ラ・ジャポネーズ」。
・マネ、ドガ、ロートレック、ルノワール、カサット、ゴーギャン、
モネ、ゴッホら印象画の画家たちの作品と日本美術の対比。
・アメリカを代表するジャポニズム作家の名品。
・絵画、版画、祖廟、写真、工芸など、ボストン美術館の名品150点。
・モネの初期作品から晩年の作品まで、ジャポニスムの変遷をたどる。


ジャポニスムとは、日本趣味(ジャポネズリー)にはじまって革新へ
と深化する「西洋における日本美術の影響」のことを言うのだそう。

ジャポニスムとひとくちに言ってもその表現はさまざま。
明らかに浮世絵を模写したものから、構図を真似たもの、配色が類似
しているもの、モチーフやシチュエーションを参考にしたものなど。
中にはその対比はちょっと強引すぎるんじゃないの?(笑)と思って
しまうものも・・・。

興味深かったのは、「自然」がモチーフになった工芸品。
1点だけ出品されていたエミール・ガレを出すまでもなく、今ではすっ
かり西洋のデザインだと思っているものも、もとをたどると日本美術の
影響を受けたものだったり。自然観察に秀でた日本美術ならではのデザ
インや技法をあらためて見直す機会にもなった。



今回のポスターやフライヤーに使われている「ラ・ジャポネーズ」から
睡蓮へ。モネの作品の変遷がやはり面白い。
日本趣味の作品「ラ・ジャポネーズ」。モデルは夫人のカミーユ。
背景に団扇がいっぱい飛ぶわ、金髪の女性が纏った刺繍の打掛には武者
が描かれているわ。日本人がゼッタイに描かない妙チクリンな絵。
だけど色鮮やかで、なんとも気になる作品ではある。着物のモチーフと
なっているのは謡曲の「紅葉狩」と書かれていた。モネは浮世絵コレク
ターでもあったそうなので、むしろ歌舞伎の「紅葉狩」の役者絵から
とったものならよくわかる気がする。こちらを向いて微笑んでいるのは
更科姫実は鬼女で、武者は平維茂。着物を纏うだけでその関係になる。
モネの遊び心と敬意が感じられる作品だ。
検索してみて、この絵の構図とよく似た役者絵があった。
この絵の延長上に、あの素晴しい睡蓮の絵が生み出されようとは!
自宅の庭に日本風の太鼓橋や、睡蓮の池まで造ってしまったモネ。
季節を変え、時間を変え、ひたすら描き続けた睡蓮の絵の一部でも見る
ことができたのはよかった。大山崎山荘美術館で見た睡蓮の絵とはまた
違った色彩だった。
モネの睡蓮に惹かれるのはそれがジャポニスムだからではなく、自然の
風景を描きながらも深い何かを感じさせるものがあるから。
そんな画家が日本美術の影響を受け、ほんの一時期に咲かせた花が
「ラ・ジャポネーズ」だったのだと思う。

ジャポニスムの検証。たしかに興味深い切り口ではあるけれど、絵の見方
が限定されてしまわないようにしないと。
そういう意味ではジャポニスムの画家ひとりに焦点をあて、その変遷を
たどることができる京都国立近代美術館の「ホイッスラー」展も併せて
見たほうがよかったかも。道を挟んでお向かいで開催中。


>>「ボストン美術館 華麗なるジャポニスム」展のオフィシャルサイト

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