高齢の母は自分の欲求がすぐに叶えられないと癇癪を起こす。
それが顕著なのが食べ物だ。
最近はめっきりと自分で料理もしなくなったから、こちらの負担も増えた。
しかも言うことが小憎らしい。
こないだも夕方出かけていたが、母がお腹をすかせているかと思って、早く帰ってきた。
そうして早速食卓に惣菜を並べたら、母は土産に渡した大福餅だけ食べて、あろうことか「カップ焼きそばが食べたい」と言い出したのでムカついた。
目の前のおかずよりもカップ焼きそばが食べたいなんて、なぜ今そんなことを口にするのだろう。
出掛ける前に一言行ってくれれば、前もって買ってきたものを。
そう母に言えば、母は「他のカップ麺でもいい」と言うので、仕方なく仏壇に供えてあったカップそばを取りに行き、母に渡して「自分で作りな」と言った。
そしたら母は、しぶしぶガスコンロの前に立ち、カップ麺を作り始めた。
それはいいのだが、母は柔らかい麺が好きなので、カップにお湯を入れず、鍋に麺とスープを入れて煮始めた。
こうなるとカップの意味がないとは思ったが、傍観した。
湯の量もいい加減で、ぐつぐつ煮こまれた麺は、傍目で見てもなんとなくまずそうに思えた。
そもそもあの量を、少食の母が食べきれるはずがない。
絶対残すとわかっているのに。
また生ごみが増えて自分が捨てなきゃいけないと思うと余計にウンザリした。