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モナリザ珈琲館~ダイアリー

ほっとコーヒーブレイクする感じで、ついつい話が盛り上がる、そんなブログを目指してます。映画や本の話題などなど・・・

男女逆転!「大奥」映画公開は10月

2010-04-30 21:20:46 | RIKA’S本棚
これは日本の江戸時代とは似て非なる物語。

突如広まった謎の疫病により(若い男性の致死率だけが高い)、男子の人口は女子の4分の1にまで落ち込む。
男子はその生存率の低さから宝として大切に育てられ、女子があらゆる労働力の担い手となっていくのであった。江戸城でも、三代将軍徳川家光以降、将軍職は女子へと引き継がれていった。そして、大奥は、ただでさえ男子が少ない中で美男三千人が将軍に仕える女人禁制の男の城となっていた・・・

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先日、友人からよしながふみさん原作「大奥」(←マンガです)を借りて読んだ所でした。
男女逆転の時代劇とだけ聞いていたので、男性が女装し、女性が男装するような、ちょっと気持ち悪い話かと思っていたのですが、全く違っていて、とてもカッコイイ粋な時代劇で感動してしまいました。

映画化されるんですね~!

八代将軍・吉宗に柴咲コウ、大奥に仕える貧乏旗本の息子・水野祐之進に二宮和也、、だそうです。
ポスターを見たけど、質素倹約を以て幕政改革にあたった「八代将軍」のイメージを生かした地味め柴咲さんで、原作どおりの堂々とした雰囲気でした!
水野役の二宮くんは、「すごく演技上手いよ!」と評判は聞くけど、あまりイメージには合わないですかね。。
(5年くらい前の沢村一樹さんとかが似合いそう。それか、同じジャニーズなら香取慎吾がイイな!)

でも、この漫画って1巻《八代将軍・吉宗編》よりも、2~3巻《三代将軍・家光編》の方が更によく出来ていて、本当に感動的なのですよね☆
なので、柴咲さん二宮くんには《吉宗編》で頑張ってもらって、《家光編》の家光・万里小路有功(普通の大奥の「お万」)のキャスティングを本命視して楽しみにしたいと思います。
原作ファンの人のブログや掲示板も見てみましたが、水野=二宮は合わない、という意見を多く見掛けましたね。
むしろ、《家光編》の玉栄(普通の大奥の「お玉」)辺りの配役なら似合っていただろうに、、という意見にも共感しました。。

よく歴史物や幕末物が好きな女性を「歴女」と言ったりしますけど、きっと歴史物好きな方に大ウケの作品だと思いますね!(男性にもSF大河ロマンと割り切って見て欲しい所ですが。。)
映画より先に原作を読んで欲しい!という感じでしょうか。


☆たぶん、歴女の人が好みそうな会話↓お城勤めの男性が着ている裃の仕立てについて・・

水野「そう、それで柄は細けえ花鳥文様がぎっちりなんてのはごめんだぜ
何かすきっと大きな柄がひとっつかふたっつ・・・どうだい?そういう裃は作れねぇかい?」

お仕立て係「水野様 このような意匠はいかがでしょう?
黒地にいぶし銀で流水紋を流すのです。お背中に大きく、けれどたったひと筋・・・
職人に急ぎ染めさせましたら私がさらに刺繍いたします。金・・いえ金茶・・いえいっそ黒で!」 

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このマンガは、現在5巻まで出ていて雑誌連載中みたいですね。「六代将軍・家宣」まで来ているそうです。
いつ疫病を克服して(or治まって)男女の人口比は正常になるのかな~。篤姫までやるのかな~?、、と、ちょっと気になります。十五代・慶喜の時代には治まってそうな気がするけどな~。
SF時代劇だけど、早く普通の人口比に戻って欲しいな~なんて心配しちゃいますね(笑)。
たぶん、凄く感動的な展開で、疫病を克服する(or治まる)のだろうと思います。そこも期待ですね!


☆現在までの受賞歴も華々しいものがありますね。。素晴らしい、の一言です。

第5回センス・オブ・ジェンダー賞特別賞(2005年、単行本第1巻が対象)
第10回文化庁メディア芸術祭マンガ部門優秀賞(2006年)
第13回手塚治虫文化賞マンガ大賞(2009年)
2009年度ジェイムズ・ティプトリー・ジュニア賞(2010年、英語訳1巻と2巻に対して)
 (↑男女性差への理解に貢献したSF・ファンタジー作品に送られる文学賞。)


☆それと・・今回の映画の出演陣の佐々木蔵之介さん、玉木宏さん、大倉忠義さん辺りの華麗な時代劇ファッションや雰囲気などは楽しみにしています♪

「深海のYrr(イール)」

2008-07-30 01:09:48 | RIKA’S本棚


毎日暑いですね~!
今読んでる本は、「深海のYrr(イール)」です。なんだか暑さをひととき忘れさせてくれそうな気がして、買ってしまいました。よく行く本屋さんのディスプレイが良かったのでしょうか。。(笑)

実際読んでいても、ずっと海にまつわるお話なので、ちょっと涼しいような気分にはなれますね。。
(^_^;)

ノルウェーの海洋生物学者が、石油関連企業に勤務する女性の依頼で謎の生物を分析したり、海洋調査船に乗り込んで、大陸縁辺部でロボット潜水艇を下ろして観察したり、、と科学的な描写が続きますが、結構飽きずに読めるようになってると思います。
すごく説明部分が分かりやすいんでしょうね。。
ノルウェーのゴカイにしても、バンクーバー島のクジラにしても、「なぜ??」って思わず興味をかき立てられます。。

本の帯には、、
・ドイツで『ダ・ヴィンチ・コード』からベストセラー第1位の座を奪った驚異の小説!
・大型映画化決定!
・福井晴敏氏感嘆「忘れていた・・・。海がこんなにも深く、暗く、宇宙よりも隔絶された未知の世界であることを」
などと大きく書かれていて、期待が高まります♪

ストーリー紹介は、、

「ノルウェー海で発見された無数の異様な生物。海洋生物学者ヨハンソンの努力で、その生物が海底で新燃料メタンハイドレートの層を掘り続けていることが判明した。カナダ西岸ではタグボートやホエールウォッチングの船をクジラやオルカの群れが襲い、生物学者アナワクが調査を始める。さらに世界各地で猛毒のクラゲが出現、海難事故が続発し、フランスではロブスターに潜む病原体が猛威を振るう。母なる海に何が起きたのか? 」

ハヤカワ文庫「深海のYrr(イール)」
フランク・シェッツィング (著) 北川 和代 (翻訳)

ドイツ人小説家の作品を読むなんて、珍しい体験です。あと、作者紹介のところに載ってる写真が俳優みたいにカッコイイのも、ちょっと気になったんですけど(笑)。。
(まあ、本に載ってる著者の写真って大体映りのいいものが多いですけどね♪)

*****

「海」に関連する話題ついでに、大阪・海遊館の涼しい写真を紹介したいと思います。

 ←空を泳ぐ魚。目線の上に、魚が優雅に舞ってる光景が楽しいです。

 ←クールミントな隣人。

水族館は、熱帯の魚の水槽もあれば、イルカが元気良く飛び跳ねる水槽、とっても寒いペンギンの部屋もあったりしてバラエティに富んでますね。。


 ←マリモ・タワーマンション。高層階ほど家賃もお高いです(笑)。

 ←太古からの記憶。重厚な音楽が聞こえてきそうな気がします♪

いや、でも自然の産物とはいえ、デザイン的にとても綺麗ですよね~(ため息)。

ミッケ!かくれんぼ絵本

2008-06-07 14:06:01 | RIKA’S本棚


甥っ子と遊ぼうと思って絵本を買いました。
じっくり、、見れば見るほど面白い絵本だったので大きめの画像でUPしてます☆

私が以前持っていった絵本「キュリアス・ジョージ」(昔は、人まねこざるって言ってた。)や「4歳の学習本」(動物の名前、食べ物の名前etc、、)などに、ほとんど関心を持ってくれなかった苦い経験があるのですが、今回は悲鳴のような喜びの声をあげてくれました。。

「怖い!!」「面白い!!」キャッキャッキャッ♪ みたいな。

ファンタジー、がっこう、ゴーストハウス、たからじま、、などなどたくさんシリーズがあるので、他の本も欲しいなぁ、、と思ってる所です。

↓以下は、小学館の紹介ページから。。。

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写真/ウォルター・ウィック 文/ジーン・マルゾーロ 訳/糸井重里
菊倍変判(大型本)/32ページ

全シリーズ300万部突破!
大人も子どもも楽しめる「かくれんぼ絵本」

「ミッケ!」は、謎解き絵本のベストセラー!
「ミッケ!」シリーズは、米国で大ベストセラーとなっています。精巧なジオラマを写した写真の中に、かくれされているさまざまな物を探していく謎解き絵本です。

「ミッケ!」シリーズは、おもちゃや模型、アンティークやぬいぐるみ、石や木の実など、さまざまな物で構成される画面の中に、いろいろなものが隠されています。親子で、一緒に問題を解いてもいいですし、子どもだけでも、また大人でも十分に楽しめます。

**********

1ページ1ページの、ジオラマを使った写真がとても魅力的で、大人でも見入ってしまう絵本でした。

「丘の上に立つゆうれい屋敷を探険しながら、かくれているものを探しだそう。観察力や集中力を養うファンタジックなゲームブック。」ということで、30代の私や妹にとっても、61歳の祖父母(私の両親)も、思わず、絵の中に隠れているものを真剣に探してしまうような感じでした(笑)。。
隠れ方が本当に面白くて、庭の芝生の中に紛れ込んでいたり、部屋に飾ってある絵の中だったり、影の形がちょうど○○だったり、、とひと工夫されています。。(@_@;)。

1ページに8行くらいで、「ふくろうを3匹探して!」とか、シンプルに書かれているのですが、その不思議な写真の中には、ヘンなものがもっともっと隠れていて、後から、自分達で問題を出し合ったりしても遊べるんですね。。

また、写真をじっくり見ながら、自分達で「おはなし」を作る遊びも出来る、、との事で、わずかなページ数の本ですが、甥も何度も絵本を読み返したり、めくったりしてくれて、「怖~い門」の話や、「古びた階段」、「謎の実験室」、「お墓」、「夜が明けて、光が差し込む子ども部屋」(ラストのページが明るい感じなのも、子ども向きでいいですね。)などなどについて、一緒に色んなストーリーを作ってみたりしました。

他のシリーズも面白そうです☆(甥より、私が?)。。(^_^;)。



↑ミッケ!たからじま
好評のミッケ!シリーズ第7弾。海賊の地図を見つけて、宝さがしに出発しよう。港町、アンティークショップ、洞窟そして無人島などを舞台に、かくれているものをさがし出す、ワクワクドキドキのかくれんぼ絵本です。



↑ミッケ! ファンタジー
ききゅうがふんわり、とんでるよ。つのがりっぱなユニコーンはどこ? きれいな写真の中から探してね。さあ、絵本ときみとでかくれんぼ!
積み木の町、すてきな森、ふわふわお空の雲の上、暴れる怪獣にめちゃめちゃにされた世界・・・。ページをめくるごとに楽しい問題が8問ずつ。さあ、君も探してね。

福岡の友人

2008-05-08 23:42:17 | RIKA’S本棚
久しぶりに東京へ行って、懐かしい友人達と会った、、という話を書いたのですが、中には福岡から来ている友人・Eちゃんもいて、ちょうど食事会翌日のランチは二人だけだったので、つい「半島を出よ」の話をしてしまいました。「読んだことない」というので、少し複雑な思いもありましたが一応薦めてみた。。(^_^;)
「単なるシュミレーション」「あんなふうになるはずない」「日本人が福岡・九州を見捨てるわけが無い」と信じてますから。。

「北朝鮮の特殊部隊9人が、夜中にこっそり福岡近郊の小さな島に上陸するんだよね。。
それで、、その9人は釣りの道具やらリュックに凄い武器やらロケット弾を隠して、観光客を装ってフェリーで福岡に入るの。」
と、ここまで話した所で、「嫌だ~。怖すぎるよ~。福岡の人はそんな本読まんよ。」と、本当に怖そうに言われてしまいました。

「日本沈没みたいな、単なるシュミレーションだって。村上龍だって長崎の人だし、福岡や九州の人だけ、すごく不幸になるっていう話じゃないよ。むしろ、応援したくなるというか、すごくカッコよかった。最終的に福岡は、日本政府が出来ないような改革もするし、中央政府を信頼せず、自治的な力も強くなって行くんだよね。」
「ふ~ん。。そっかぁ。」

「最初の所は怖いけどねぇ、武装した9人が福岡ドームを占拠して3万人のお客さんを人質にとるの。それで、日本政府はびっくりするんだけど、人質をとった状態で『2時間、抵抗する事を禁じる』わけ。その間に今度は、骨董品級に旧式の大きな飛行機を、レーダーに映らない様に低空飛行させて500人の特殊部隊兵士を上陸させるっていう、、」
Eちゃんは、笑いながらですが「ギャー!!!怖い!!怖すぎるー!!」と悲鳴をあげてしまいました。「やっぱり、この辺ってそういう場所なのかなぁ。元寇だって、この辺の話だしねぇ、こわーーい!!あたし、福岡ドームから30分くらいの所に住んでるんだから、益々怖いよ!!」

ドームから30分・・・衝撃のラストシーンの話はさすがにせず、内心『Eちゃんは、助かるわ』と、ほっとしていた私でした。「半島を出よ」のさわりの部分だけ話してみましたが、「今は仕事が忙しいから無理だけど、秋ぐらいに一段落ついたら読んでみるかも。」と言ってくれたEちゃん。
感想や意見交換できるかなぁ、、と思うのですが(笑)。。

そのあと、例のシーホークホテルの事や熱帯雨林が広がって、南国のオウムがいるというカフェテラスの話やらを聞かせてもらいました。「福岡来るの初めての人と一緒に行くと、珍しいから喜ばれるよ。」とのこと。なるほど、なるほど。

「やっぱり小説通りなんだね~。すっごいリアルに書いてあったもん。福岡に実際に行って、確かめたりするのもいいかも。Eちゃんにも会えるし。Eちゃん、屋台のお店も美味しいって言ってたもんね!」
「そう、そう!やっぱり屋台だよ。来て来て!!」

うん。今度、福岡行くわ。マジで☆
(せめて「半島を出よ」の話を嬉々として語るのはやめよう。完全なフィクションとはいえ失礼かも。そう、もっと神妙な表情で重苦し~く語らねば。え?余計怖いって?)

「半島を出よ」村上龍

2008-04-28 23:23:47 | RIKA’S本棚


2005年に発表された作品。本屋の目立つ所に並んでいた頃、買おうかどうしようか、、随分悩んだのでした。。結局その時は買わなかったんだけど、久しぶりにこのタイトルを思い出して、ちょっと硬そうな内容だけど、やっぱり読んでみたいな~、、と改めて思って、今月やっと入手したのでした。

帯には、

<上巻>
北朝鮮のコマンド9人が開幕戦の福岡ドームを武力占拠し、2時間後、複葉輸送機で484人の特殊部隊が来襲、市中心部を制圧した。彼らは北朝鮮の「反乱軍」を名乗った。
〈財政破綻し、国際的孤立を深める近未来の日本に起こった奇蹟〉

<下巻>
さらなるテロの危険に日本政府は福岡を封鎖する。逮捕、拷問、粛清、白昼の銃撃戦、被占領者の苦悩と危険な恋。北朝鮮の後続部隊12万人が博多港に接近するなか、ある若者たちが決死の抵抗を開始した。
〈現実を凌駕する想像力と、精密な描写で迫る聖戦のすべて。〉

と書かれています。

近未来の日本で、設定は2011年なんですね。でも、本当にリアルな内容で怖いというか、、恐ろしいというか。。時に、読みながら震えそうになりました(涙)。
登場人物達も多彩で、新聞記者、内閣情報調査室職員、総理大臣や官房長官から、離婚後二人の幼子を育てる福岡市役所の女性職員、福岡市長、福岡県知事、NHK福岡の幹部、女性キャスター、福岡ドーム周辺の大きな病院に勤務する医師達、ホームレス、アウトローで世間に馴染めない少年達と、犯罪歴のある暴力的な少年達、そんな彼らに住む場所を提供する49歳の謎の男、、などなど。
その誰もが主人公で、章ごとに語り手が変わるのですが、一人一人、人物像が現実的に丁寧に描きこまれているので、本当に引き込まれるように読んでしまいました。
何度か徹夜になってしまった。。(^_^;)

村上龍さんの想像力や描写も凄いけれど、情報量・データ量の多さにも圧倒された。
とてつもない、ダイナミックな小説だな、、と、読み終わった時に本当に感動した。
衝撃のラストシーン(エピローグの章を除いて)は、目を閉じると、脳裏にはっきりと浮かび上がって来るほどドラマチックで生々しい。

「愛と幻想のファシズム」や「五分後の世界」などとも通じる、緻密なシュミレーション・ワールド。
「愛と幻想のファシズム」は、高校時代に読んだこともあって、その残酷な内容に衝撃を受けたものだった。正義とか、道徳とか無いんだな~、と。人間界にも完全に「弱肉強食」「進化論」を当てはめようとした内容だった。
でも、社会・経済面に切り込んだ鋭い内容で、情報量とか凄くて、村上龍は人間的に嫌いだけど、過激で刺激的で、凄い作家だと思うようになった。

「五分後の世界」は、著者自身が、あとがきにおいて「最高のものになった」としている作品。
時空のゆがみによって現れた「アンダーグラウンドの日本」を描くことにより、現代日本に対する強烈なメッセージを秘めた作品として評価の高い、パラレルワールドを用いた小説、、と言われてます。
「五分後の世界」を読んだ時は、小説の中に、正義というか、友情、、誇り、道徳、みたいなものが感じられて、村上龍も変わったなぁ、年とって優しくなったのかなぁ、、と思ったものだった。

ストーリーは。。。

箱根でジョギングをしていたある男が、ふと気が付いた時どこだか解らない場所を集団で行進していた。そこは5分のずれで現れた『もう一つの日本』だった。
『もう一つの日本』は地下に建設され人口はたった26万人に激減していたが、民族の誇りを失わず、駐留している連合国軍を相手に第二次世界大戦終結後もゲリラ戦を繰り広げていた。。。

というような、信じられないシュミレーション・ワールドが展開されている。
この作品も凄くリアルで怖かったけど、「何故、こんなシュミレーションを書いたのか?」という作品のメッセージみたいなものが、強く伝わってくる、感動的な作品だったと思う。

「半島を出よ」は、「五分後の世界」から更に現代日本に肉薄し、更にリアルに進化した内容だと思った。いつものニュースが流れるような感じで、「もしも、、」の世界が積み上げられてゆき、本当に圧倒された。
登場人物達は、もちろん「弱肉強食」という感じでは無くて、常識的で、家族愛や正義感、自分の職業・立場に責任感や誇りを持った人が多く、読んでいて納得、安心させられる所が多かった。
本当に、村上龍の作風も変幻自在なんだな。。(^_^;)

アウトローな少年達については、小説の中の人物であるとしても、その生きざまは凄まじく、なんというか、、心打たれるものがあって、本当に感謝の念を抱いてしまった。

ここ最近見た、ハリウッド映画や邦画、DVDなどなど、、足元にも及ばない。
20本分くらいの迫力・値打ちがある小説だと思った。

「インテリジェンス 武器なき戦争」

2007-03-09 20:43:11 | RIKA’S本棚

 
前回のブログでも、日露外交に関する話題だったのですが、今回も、日露外交のキーパーソンにまつわる話題です。ちなみに画像は、、本来、この新書の表紙をUPするべき所なのですが、、やはり、このページの中のスリリングな内容を思う時、、

↑こっちの方が、ふさわしいんではないか、と(笑)。
まぁ、半分茶目っ気で、この画像にしときます(笑)。
ちなみに、「ゴールデンアイ」です。ピアース・ブロスナンです。

手嶋龍一さんと、佐藤優さんの対談集。
2人ともTVで見て知ってる、、と感じる人が多いと思う。
「あれっ?、、佐藤優って確か、、」と思い巡らせてしまうが、現在起訴中で外務省休職中、とのこと。
彼とセットで思い出されるのは、やっぱり○○の総合商社?鈴木宗男だ。。

著者プロフィールを見ると、佐藤氏が、起訴休職中という状況に全く凹まず、精力的に活動していた事が分かる。2002年、背任と偽計業務妨害罪での自身の逮捕を「国家の罠 外務省のラスプーチンと呼ばれて」(新潮社)で描き、毎日出版文化賞受賞。ソ連邦が崩壊していくプロセスを追った「自壊する帝国」(新潮社)で新潮ドキュメント賞を受賞している。
対談の中でも、「私は刑事被告人ですが、こうやって手嶋さんとお話が出来るのは『推定無罪』という原則が働いているからです。」なんて、さらっと触れている。

対談の内容は、とてもとてもスリリングで面白かった。
リヒャルト・ゾルゲや杉原千畝など、映画やドラマでお馴染みの、歴史上の人物の外交手腕について論じたか、と思えば、直近のテーマとしては、「拉致問題」解決への道のりについて、自衛隊のイラク派遣は正しかったか?、について、また、去年7月の北朝鮮のミサイル発射以降、G8サミット、国連安保理決議に至る一連の日本外交について、、などなど。

具体的に、TVで見知ったような外務省幹部の名前も挙がり(時には、伏せられ)、日本外交の取るべき道、取り得た選択肢、交渉・取引の条件について、ストレートに、生々しく語られてゆく。

内容的には、複雑・難解であるはずなのに、不思議なくらい、スムーズにスルスルと読めてしまう。
著者のお二人が、とても頭が良く、テーマを順序だてて整理し、背景説明をして、対談を進める能力が高いのだろう。
内容の面白さはもちろんだけど、この対談の読みやすさ、「起・承・転・結」というのか、テーマへの導入→展開→反論・具体的な事例→結論、、という一連の流れが工夫されていて、興味をかきたてられ、引き込まれるような力には、圧倒された。

タイトルの「インテリジェンス」は、知性とは訳さず、国際外交の舞台裏で繰り広げられる、情報戦の中での「武器」とのこと。即ち、単なるインフォメーション(情報)を精査し、裏を取り、周到な分析を加えて、国家の羅針盤、、というような価値にまで昇華させたもの、なのだそうだ。
アメリカの中央情報局CIAは、「Central Intelligence Agency」なので、「日本版CIA」、、ということなのだろう。期待通りのドキドキ、ハラハラな本でした(笑)。

ページをめくるごとに、キラリと光る言葉や分析、思わず、立ち止まって考えてしまうような意見、エピソードが散りばめられている。

例えば、イギリスの情報機関SIS(俗称MI6)、カウンターインテリジェンス機関SS(俗称MI5)が、なぜ2006年夏の旅客機テロを未然に防ぐ事が出来たか?
英国内のイスラム・コミュニティの中の、「伝統的なイスラムに属する人々」と、「非伝統的なイスラムに属する人々」の見極め。テロリストの温床になっているのは後者だけで、伝統的なイスラムに属する人々の大半は、無差別テロに否定的、という言説を組み立てたのだそうだ。
当局は、コモンウェルスのイスラム指導者などを説得し、多くを味方に引き入れたという。イスラム・コミュニティの「健全な部分」に、「このままでは、我々は全てが英国の敵とみなされてしまう」「テロリストは自分達の手で排除しよう」という意識を広げる事に成功した、と。恐らく、テロ計画の中心部分にまで、協力者を送り込んでいたのではないか、、という話。

また、この大規模な逮捕劇について、イギリスの新聞では、あえて、スコットランドヤード(警察)のお手柄として報じられ、MI6、MI5の名前は、ほとんど表に出てこなかったのだそう。
「表に姿の出ないところが最も働いた」という、プロ意識、英国情報機関の文化やモラルが生きているから、功績は警察に譲ってしまうという。そして、情報機関長官や、首相、女王陛下などのキーパーソンに認知される事にこそ、関心があるそうだ。(カッコイイ、、(^_^;))

他にも、イスラエルの中にあるコンセンサス、、ともいうべき意識。「我々は、ホロコーストで600万人が死んだ。我々はこの教訓から、全世界に同情されながら死に絶えるよりも、全世界を敵に回して生き残る事を選ぶ」という言葉や、

「佐藤さんほどスケールの大きな仕事ができる人材を抱え込む度量が国家にないというのは何とも情けない。戦後の日本は、明治期に比べて国家として器量が小さくなったといわざるをえません。」
「日本人にインテリジェンスの能力が備わっていないわけではありません。明治期には、日清、日露という戦争も経験しながら、外交・軍事面で非常に高度なインテリジェンス活動を実現していました。しかし戦後になって、安全保障を完全にアメリカに依存したことで、それが衰えてしまった。この半世紀は、それでもよかったかもしれません。しかし次の半世紀もこのままで生き抜いていけるとは思えない。少しずつ日本人の持つインテリジェンスの遺伝子を呼び覚まし、磨いていく必要があります。」という指摘、などなど。

はっとするような意見や、気になるエピソードなどを挙げていくと、きりが無いくらいです。
ともあれ、こういった立場で、日本の外交や未来を憂い、真剣に考えている人たちがいる、と思うと、とても嬉しかったし、すごく勉強になりましたね。とても面白い本でした♪