Polepole Life new

びわ湖の湖南に在住。
亡きA.コッカーNOIRと山歩きを愛すシニアライフを綴ります。

無力 むりき

2013-10-01 11:39:00 | 






自己啓発セミナーなどが苦手なのと同じ理由で
日頃、こういうテーマの新書は敬遠しているのだけれど・・・
今回ふと、縁があって私も読んでみようか、と。
結果、読んでみて良かった。。。


『無力』に関しては、「続きを読む」に。



以下は、解説ボランティアの為の図録と
ワッサワッサと選んで読んだ本。
ふたつの小説は、或る意味似ている。
現代的。うーん。
図録の末尾の作家の生涯を読むほうが
私には、ドラマチックに感じた。


 
 



『蒼ざめた馬を見よ』『四季』『かもめのジョナサン』・・・
『かもめのジョナサン』は翻訳だけれど、
この人は、何故
これほどまで違うものを書けるのか?書くのか?
それが、ぼんやりとした不満だった。


子供の頃、単行本『蒼ざめた馬を見よ』で
初めて五木寛之を読んだ時、その暗さと
反骨精神みたいなものと、作者近影に憧れた。


そして、『デラシネ』という言葉に感じた不安感は
その後、故郷を離れて以来独身時代の私の脳裏に
ついて廻った。


ところが初めてTVで観た確か、
新進気鋭の矢野彰子と対談する作家は
柔軟で穏やかで静かなヒト。。。
その後も、
あの最初の強いインパクトはドコに消えたのか
と、納得できない思いがつのった。
『さらばモスクワ愚連隊』『天使の墓場』
のヒトが女性ファッション誌に『四季』を書き下ろすの?
『かもめのジョナサン』でブームを起こすの?
『青春の門』も・・・どこか違う気がした。


そんな風に、長年抱えていた違和感が、
この『無力』で氷解した。
それらを繋げていた作家のスタンスを
はじめて理解出来たように思う。


この人は社会や周囲と戦うのが本来なのでなく
いつも外から入るものを受容するキャパシティをもって
それを昇華しながら、人が生きるということを
ずっと考え続けてきたヒトだったのだとおもう。
子供の頃の私は、自身周囲に闘争的だったから、
そういう一面にだけ共感して、広い深い流れが
見えなかったのだろう。


本は、アマゾンの中古で数箇所にマーキングがあった。
その箇所の微妙に私の感覚とのズレが気になった。
でも、それも「ヒトはこんな風に違うのだよ。」
と言われているように思えば、面白くないこともない。


このブログのポレポレも、
単にゆっくりのんびりではなく
『無力(むりき)』に通じると思う。
力まない頑張らない、でも他力本願でもない生き方。。。
こんな風に理解したけれど、租借して飲み込めた感はない。
くり返し読もうかな。
この人の随筆や『親鸞』、追々読んでみようか。


それにしても、帯の『末世を生き抜く究極の人間論』は
なんか、違うんじゃないかなと思う。
五木寛之のいう生きるということは
「生き抜く」という悲壮感漂うものじゃなくて、
かといって、がんがん行く強引さもなくて、
到着点は死につながる「今」をおだやかに、自然に、
自分らしくベターと思える生き方を日々、あるいは
瞬間瞬間継続していくことではないのかとおもう。



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『水神』

2013-03-02 00:00:00 | 




『水神』(上)・(下) 帚木 蓬生(著) 新潮文庫



このところ、活字離れしていて、
すこしも本を読んでいない。


久しぶりのこの本は店長が貸してくれたもの。


時代小説~~ぅdokuroase 


と、最初は正直思ったものの、折角のお勧めなので読み始めたら、
これが。。。。登場人物たちのあまりの善良さに引きこまれながら
最後まで読みきった。


五人の庄屋が身代と命を懸けて、村人と村の将来の為に大河に堰を
かけようとするストーリーは、筑後川に堰を築いたという、
史実をモチーフにしているそうな。


店長の地元には、近江天保の一揆
歴史があり、余計身近に感じるとそんな話も教えてくれた。


みずから「命を差し出した」老武士の存在や、
あっさり綴られた事後談を読むと
やりきれなさは、のこるものの
利己主義の固まりのおばさん化しつつある
この頃の私の心が、赤面・涙した本でした。





コメント (4)
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続くしあわせ。

2012-06-17 07:00:00 | 







前記事から、カメラを変えてみました。
今回、暗め。  どうです?
PCによって、大分写りや雰囲気が違うから心配。
今回、私的にはちょうどいい暗さ&色が
ちゃんと伝わっているでしょか・・・?




・・・・本題。


読む本がいっぱいあるって、しあわせ。
ヘーゼルさん。ありがとうsymbol7


『死ねばいいのに』に続いて
先にお返しした『絡新婦の理じょろうぐものことわり』
を加え、写真の講談社ノベルズ11冊。


シニアグラス年齢に足を踏み入れて以来
読書量が、年々下降線を描いてきましたが
このところ、時間を見つけてはむさぼっています。


おもしろい。
読む楽しさがよみがえってきました。






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死ねばいいのに

2012-05-24 23:48:00 | 




花ぎれのシルバーゴールドに引かれ・・・

持ち主の掛けたカバーをこそっとはずし、
ジャケットカバーもはずし、
中を覗いてしまった。

シンプルできれいな表紙。
日頃、オケチ&ものぐさで
図書館の本や文庫ばかり読んでいると・・・
ハードカバーって、つくづく
「いーなー」「本って、きれいだなー」と思いますね。
(ごめんなさい。持ち主さん。
湿っぽい手のわたしは、大事をとって白のコットンの
ドライバーズ手袋を使用しました。。。)








前回に続き、京極夏彦
現代を時代背景にした『死ねばいいのに』
は、この人から借用。



内容(「BOOKデータベースより)
死んだ女のことを教えてくれないか―。
無礼な男が突然現われ、私に尋ねる。
私は一体、彼女の何を知っていたというのだろう。
問いかけられた言葉に、暴かれる嘘、
晒け出される業、浮かび上がる剥き出しの真実…。



「じぶんって、○○だからー」とか
○○さんて、○○ッスよね。」とか
○○じゃ、ないんスかー。」とか


開き直って、傍若無人な態度をとる人
ある種の「すなおな」理屈を公言する人が私は、苦手だ。
(多分に自分もそういう面があることを意識しつつも)



どちらかというと、利己的で腹グロな自分をかくして
世間の中で納まりよい位置に居続けようと
あくせくウソを重ねて、おどおどしているような
フツー人間の方が愛おしい。



特に登場人物の一人は、
若い頃の自分とオーバーラップしていて
極端な行動以外には、感情移入してしまった。



どういう結末にするのか。


この作家が、どうラストを締めくくるのか、
知りたくて、一気に読んだ。



ショッキングなタイトルは
人を恨んで「(アンナ人)死んでしまえばいい。」ではない。、
人の心の表裏丸ごとに対して
「(つらかったら)死んでしまえばいい。」なのだ。



この作家は、どこか視線が温かく
斜に構えて読者を暗闇の中に
連れ込んだまま置き去りにしていない。



ストンと飲み込めないものを感じながらも
逆説的に、人の許し方、自分の許し方の
How to をこの作家・本は指しているのでは
ないかと思えた。








コメント (2)
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本:覘き小平次

2012-05-12 07:01:00 | 









久しぶりの『本』のアップが、
このおどろおどろしい表紙というのもなぁ・・・

nose1ase


と思いつつ・・・、
『覘き小平次』京極夏彦/角川文庫。


『姑獲鳥の夏』(うぶめのなつ)の映画化したものを
WOWOWで観て、江戸川乱歩、横溝正史、夢野久作・・・
大正・昭和初期の怪奇小説好きだった私は
ほとんど郷愁のようなものを感じました。


・・・が、ストーリーは毒が強くて、
「いや、そう感じるのは受け手の老いか?」と
思ったりも。


面白さを感じたのは京極堂のセリフやなんかで、
原作者の他の本を読みたくなりました。


『覘き小平次』は、そう聞いたオットさんが
ついでの折、ブックオフで買って来てくれたもの。
好みからすると、時代背景が時代を遡りすぎで、
なじみにくかったのですが・・・
反面、登場人物ごとに区切った章が読みやすく、
すこしずつ「わかってくる事」があって、
つられて、ついついイッキに読み終えました。


主人公はじめ、尋常でない登場人物。
でも、どこか一人ひとりに共感するところがある。
暗い話だけれど、すくいがないわけでもない。
結末は、おだやかに落ち着くべきところに落ち着いた、かな。
主人公の心根の優しさがジンワリします。


考えると、実生活の方が
「そんなうまくは、まとまらない。」という点で
はるかに、こわい世界なのかもしれません。








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