MOKA☆竜宮への道~森羅SOLOIST ver.~

音楽家MOKA☆のwandering days

アルブレヒト・デューラー賛

2011-01-20 | Weblog
ウサギつながりで、デューラーの“野兎”(1502年 水彩 グワッシュ)
手を伸ばしたらさっと逃げ出しそうな性格、ふわっとあたたかそうな触感、野生の匂いなど・・・描線からいろいろ感じられる、生きている絵。 
兎の瞳の中に,アトリエの窓が映り込んでいるという話もあって・・・目を凝らして観てもわからないけど、デューラーの描写力を表した逸話に感じます

先週、国立西洋美術館で鑑賞した
“アルブレヒト・デューラー版画・素描”展、ヨカッタです

一番好きだった「メレンコリア」(1514年 エングレーヴィング)
不思議なモチーフの多義的な象徴性
思考する人間の複合的な存在意義が示された世界の表現。


一枚の絵の中に細部にわたって描き込まれた物語性や神秘、一本一本の線に画家の技量とウイットを感じる繊細なタッチ。。。
“バッタのいる聖家族”(1495)以降、各作品に署名してある「A」の文字に「d」を入れ込むモノグラムを目で追いながら、157点を堪能。。
1471年5月21日ニュルンベルクに生まれたデューラーの天賦の才を目の当たりにし、感動していました

図録の解説にあった、デューラーが出版物で語っていたこと要約すると
“人間の力は、神の被造物に較べれば無力である
ただし,自然の写生を多く重ねることで,このような像で心が充たされている場合には話は別で、種子が播かれて成長しその種の実りをもたらすような、身に付いて習得された技術となっているのである。それで,密かに収集された心の宝は、作品と人の心の中で物の形で創られた新しき生命=被造物となって現れ出る”

私も神の被造物に較べれば無力と感じながら、自分の中に貯めたモノで作品創りをしているので
心の宝(schatz)ってすごくわかるなあって想ってしまったです