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つづりかた

音楽・文学・日々・時々将棋

フェリックス・ヴァロットン 「ボール」

2012年08月27日 | 美術
ドニの事を調べていて、この絵に出会った。
2010年国立新美術館でのオルセー美術館展に出展していたらしい。


フェリックス=ヴァロットン 『ボール』





夢中でボールを追っていく少女。
少女は全速力で画面を駆け抜ける。
ボールをおいながら、自らも追いつかれる恐怖から逃れるように。
何から?
時間から。少女を成長させる全てから。


遠くでおしゃべりしている夫人は母親だろうか。
少女は少し夫人を気にしているが、
ボールを追う事に魅了され、自分を止める事が出来ない。

駆けて、息が切れるほど駆けて。

少女がもう母親の元へ帰れない事を観覧者は知っている。
少女も本能でそれに気づいている。
観る者と少女とで
ひそやかな秘密を共有する。共犯という名の甘美。



気がついた時には、少女も、観覧者も、
目論み通りに、
何処とも知れない場所にさ迷い込んでいる。








モーリス・ドニ、洗練と静けさ

2012年08月18日 | 美術
ヘアサロンへ。
時間がかかる髪なので、お店の雑誌を隅々まで読める。
その中に、モーリス・ドニに関する記事があった。

モーリス・ドニ「ミューズたち」1893


時間が止まっているような絵。

スーラ「アニエールの水浴」(1884)と、


ミュシャ「四つの宝石・トパーズ」(1900)の


真ん中を取ったような感じ。
スーラの静けさを受け継ぎつつ、色調を単純化させた感じだろうか。

ミュシャの色使いはドニのそれに似ているように感じるけど…。
wikiによると、ミュシャの属するアール・ヌーヴォーの作家は
ドニなど象徴派の流れを汲んだようだから、参考にしたのかもしれない。


ストイックなまでに押さえた色使い。
一つ一つはくすんだ色調なのに、
全体でみると蝋をを引いたように
艶めいて見える。不思議だ。




パメラ・ハンソン

2012年07月21日 | 美術
イギリス出身のファッション・フォトグラファー、
パメラ・ハンソンの写真に出会う。




被写体の、どのようにでもとれる不思議な表情





まるで亡骸のような





時が永遠に止まっている風景





山猫のような女


何かを語りかけようとしない、「寡黙な」世界。
閉じていて、純度の高い結晶のような、完璧な世界・・・。









簪特集・おまけ

2012年07月10日 | 美術
簪のおまけ。



錺(かざり)簪職人・三浦孝之さんの作品。
こちらは根付です。

簪に文を結んだモチーフ。
良縁・縁結びのしるしだったそうです。

昔はこのモチーフが
「彼氏募集」のアピール代わりだったのでしょうか。
粋な趣向です。


簪特集

2012年07月08日 | 美術
簪特集。








和装の機会があるので、検討中・・・。
簪2件は籠瀬麻里さんの彫金作品。
繊細な細工。
凄みある世界観を持っています。
櫛と笄(こうがい)は京都の百花堂さんのアイテム。
菊の蒔絵が美しい。


魚と花・カワコワ

2011年06月21日 | 美術
カワコワなネタ、連続です。
長谷川潔の「草花とアカリョム」。




どこか異様な雰囲気。


ちなみにこの絵は、水槽を泳ぐ魚と、
その前に置いた花瓶を描いたものです。
シュールを狙って背景に魚を描いたわけではありません。



長谷川は大正期にパリへ渡り、
二次世界大戦中もフランスで過ごした数少ない日本人。

戦況悪化の折には収監された事もあったようですが、
終生フランスを離れなかったそうです。
メゾチント技法(画面をささくれさせ、インクを染み込ませる版画技法)を
復活させ、独自の画風を切り開きました。

こんな深い静けさにつつまれた画面を作り出す人・・・。
どういう方だったのか、興味はつきません。

京都国立近代美術館に作品が収蔵されているようなので、
上洛の際は立ち寄ってみたいと思っています。