アイドルグループSMAPの人気メンバーとして知られた「キムタク」こと木村拓哉氏は、1972年11月生まれの今年50歳。公開された主演映画の宣伝などもあって、年末年始は情報番組にバラエティにとメディアに引っ張りだこの様子です。
いわゆる「団塊ジュニア」「団塊二世」世代の彼ですが、テレビの画面を見る限りその風貌はまだまだ現役のアイドルのままといっても過言ではありません。いつまでたってもスマートに芸能界の第一線で活躍するその姿を、羨ましく見ている同世代もきっと多いことでしょう。
思えば彼らの世代は「就職氷河期世代」とも呼ばれ、バブル経済の崩壊による経済破綻、就職難の影響をまともに食らった世代として知られています。第2次ベビーブームの中心世代として年間200万人以上の出生数を数えていた彼らは、熾烈な受験競争をくぐりぬける一方で、平成バブルの訪れとともにヤンキー、ギャル、オタクなどの新しい文化を次々と時代に刻み込んできました。
しかし、高校卒業や大学入学の前後に当たる1991年にバブル経済は崩壊し、大卒者は就職氷河期という就職難に遭遇。当時生まれた「フリーター」などという言葉に代表されるような、「不運の世代」とも呼ばれているようです。
そんな彼らも、その多くが今年はいよいよ50代。「不惑」の年齢を前にどのような新年を迎えているのか。1月12日の総合経済情報サイト「東洋経済ONLINE」に『過去最大の試練 データが示す「悲劇の世代」団塊ジュニアの4苦難』と題する記事が掲載されていたので、参考までにその一部をここに残しておきたいと思います。
最近、50代のホワイトカラーサラリーマン、特に1971~1974年生まれである「団塊ジュニア世代」ての「悲惨な末路」に関する記事が目に付くようになっていると記事は指摘しています。
例えば、彼らの世代の大学受験は、大学全入時代と言われる現在と比べると、「受験戦争」いう言葉がぴったりなくらい過酷な状況にあった。文部科学省の「学校基本調査」によれば、大学志願者は団塊ジュニア世代の1990年と2021年でほとんど変わっていないにもかかわらず、不合格率は2021年のわずか8.7%に対し1990年では実に48.3%、志願者のほぼ半数が不合格となっていたということです。
また、(不運なことに)彼らの就職活動は1993~2004年かけての就職氷河期に重なりました。この時期の新卒就職率は(例年の)80%から60%にまで低下していて、新卒生の20~40%が就職難民になったと記事はしています。非常に厳しい就職活動の結果、ニートや引きこもりを大量発生させ、積み残された「非正規」の問題など、現在にも尾を引く社会課題となっているということです。
さらに、運よく就職できた人にも、彼らの世代のサラリーマンには「その後の給与がほとんど上がらない」という現実が待っています。「厚生労働白書」によれば、日本の被雇用者の平均給与は1992年をピークに下がり続けていることがわかると記事は言います。
結婚し、子どもも生まれ、お金がかかる時期に年収が上がらなければ、老後の備えもままならない。バブルの恩恵を受けた先輩方の武勇伝を飲み屋で聞かされながら、どこかシラけているのが団塊ジュニア世代のマインドだというのが記事の認識です。
そして、彼らの未来には、いわゆる「2040年問題」が待ち受けています。2040年問題とは、(1)団塊ジュニア世代が65歳になる2040年以降高齢者人口がピークとなり、(2)労働人口が激減して労働力不足が深刻になることから、(3)年金や医療費などの社会保障費も増大することが予想される、政府の財政問題だと記事は説明しています。
この時期を乗り越えるため、政府では年金の支給開始年齢の引き上げも検討されているようです。2000(平成12)年に60歳から65歳に引き上げられ老齢厚生年金の支給開始年齢が、さらに70歳に引き上げられる可能性があるということです。
そうなると、もしも彼らが65歳の定年後に退職後再就職できなかったら、年金受給までの5年間は無職となり、退職金を取り崩して生活していかなければなりません。単純計算として1カ月15万円で5年間暮らすことを考えると、900万円が余計に必要になるというのが記事の説明するところです。
こうして見てみると、団塊ジュニア世代が直面する未来は想像以上に厳しいことが予測できると記事は話しています。65歳で定年退職するまでの約15年間、団塊ジュニア世代は現役で会社にいる時間をとことん有効活用して、来るべき苦難を乗り越える「準備」を始める必要があるというのが記事の指摘するところです。
いよいよ、日本中の団塊ジュニアたちの「サバイバル時代」が幕を開けると記事は言います。しかし、それは日本にとっても彼らにとっても、ただ辛く過酷なことばかりではないというのが記事の見解です。
労働人口のボリュームゾーンである団塊ジュニア世代。その1人ひとりが、サバイバル計画を持って日々たくましく前進していくことで、(結果)日本全体が元気になる可能性だって十分にあると結ばれた記事の指摘を、私も興味深く読んだところです。
※コメント投稿者のブログIDはブログ作成者のみに通知されます