MEMORANDUM 今日の視点(伊皿子坂社会経済研究所)

 伊皿子坂社会経済研究所のスクラップファイルサイトにようこそ。

#2255 ピラミッドの謎

2022年09月14日 | 旅行

 古代世界から語り継がれてきた「世界の七不思議」と言えば、ギザの大ピラミッド、バビロンの空中庭園、エフェソスのアルテミス神殿、オリンピアのゼウス像、ハリカルナッソスのマウソロス霊廟、ロドス島の巨像、アレクサンドリアの大灯台の7つのこと。

 Wikipediaによれば、この「七不思議=Seven Wonders」とは古代ギリシャ時代にビザンチウムに暮らした数学者で、旅行家でもあったフィロンの書に残された7つの「θαύματα」から転じたもの。因みにこの言葉には、「驚かせるもの」「賞賛すべきもの」といった意味が込められているとされています。

 それから2000年以上の歳月を経て、この7つの中で現在でも実際に実物に接することができるのは、もちろんエジプトはギザのピラミッドだけ。人類の文明の証として、それだけ見る価値が高いものと言っても過言ではないでしょう。

 私自身、あまり海外旅行の経験のない人から「おすすめの世界遺産は?」と聞かれたら、迷わず「エジプトかな」と答えることにしています。実際、長年旅行会社に勤め世界各国の観光地を回ってきた友人も、エジプトツアーは(季節さえ選べば)「ご満足いただけること、まず間違いない」と話しています。

 エジプトに残された数々の遺跡の中でも、圧巻なのはやはりギザの大ピラミッド群。サハラ砂漠を背景に目の前に迫るピラミッドは、(例えその歴史を知らなくても)人をを圧倒する力を持っています。3000年以上もファラオたちは、何をもってこの巨大な構造物を築いたのか。そんな古代へのロマンが、旅行者の胸を打つ瞬間です。

 実際、ピラミッドは、科学の進んだ今日でも解明されていない大きな謎を秘めているようです。8月18日の東洋経済ONLINEに、作家の島崎 晋(しまざき・すすむ)氏が『ピラミッド、今でも解けない最も不思議な起源』と題する一文を掲載しているので、参考までに紹介しておきたいと思います。

 アフリカ大陸の北東隅に位置するエジプトは、古代ミステリーの宝庫。南部のアブ・シンベル、中部のルクソールも魅力だが、エジプトの顔とも呼べるのはやはりカイロの中心部から西北西へ約13キロの距離にある、ギザの三大ピラミッドを置いてほかにないと島崎氏はこの論考に記しています。

 クフ王のピラミッド、カフラー王のピラミッド、メンカウラー王のピラミッドと一体のスフィンクスからなるギザの三大ピラミッド。最も巨大なクフ王のピラミッドは、完成時の高さが146メートル。平均2.5トンの石を、約250万個積み上げて造られているということです。

 現在に残るピラミッドは、古代エジプトの古王国時代(前2600年代~前2100年代)に造営されたもので、全部で30余ある王朝のうちの第3~第6王朝時代にあてはまる。つまり、ピラミッドは古代エジプトを通じて建設が続けられたわけではないと氏は説明しています。

 中でも、ギザの三大ピラミッドが築かれたのは、前2550年頃から前2490年頃の短い間のこと。因みに、現在冠されている王の名は(のちに)便宜的につけられたにすぎず、その王の命で建造された証拠は何も残されていないということです。

 電気を動力とする大型機械のない時代、石切り場からの運搬方法はもちろん、これほどの巨大建造物をどのように築いたのかは大きな謎とされている。古代ギリシアの歴史家ヘロドトスは「10万人の奴隷が20年間働いて」築いたと記しているが、近年の研究により、それは誤りであることがわかっていると島崎氏は言います。

 20世紀には、農閑期の失業対策、福利厚生であったとする説が唱えられ、一時は定説のごとく見られたが、これも現在では否定されている。実際、古代エジプトの農民は一年のうち半年働くだけで、十分な収入を得られたいたことが判明しているということです。

 ピラミッドの最大の謎はその造営目的、つまり「何のために建てられたか」が判っていないことだと、氏はこの論考に綴っています。

 ヘロドトスは王の墳墓と記しているが、これまでのところ、三大ピラミッドはもとより、他のピラミッドからもミイラが発見された例がない。玄室と棺(ひつぎ)は見つかっても、肝心のミイラの姿はどこにも見当たらないということです。

 最先端の鑑識技術を駆使しても痕跡が皆無となると、そこにミイラが葬られた可能性は低いと言わざるをえない。三大ピラミッドに限れば、いまだ未発掘の空洞の存在が確認されていることから、今後の調査に期待する外ないと氏は話しています。

 それでは、仮に墳墓でないとしたら、ピラミッドは何のために建造されたのか。王を称えるモニュメント、神殿、天文台、日時計などに加え、地球の縮図、数学的知識の保存場所とする説なども唱えられていると氏は言います。

 最後の二つは唐突に思われるかもしれないが、この説は三大ピラミッドの各部の寸法が地球の直径、半径、円周、重量、比重、地球と太陽間の距離などに対応していることから生まれたもの。ただし、それがなぜ巨大ピラミッドにある必要があったかというところまでは説明できていないということです。

 一方、併設されたスフィンクスの存在は日本の狛犬(こまいぬ)や、中国やメソポタミアの鎮墓獣(ちんぼじゅう)を連想させることから、素直に考えれば、墳墓か神殿である可能性が高いだろう。しかし、確固たる決め手がない以上は結論を急がず、未解明のミステリーのまま、後世にバトンを渡すのが適切だろうというのが氏の考えです。

 さて、エジプトのピラミッドが実際、具体的に何のために作られたのかは(今となっては)想像に任せるほかはありませんが、周囲を睥睨し圧倒する巨大ピラミッドという構造物が、王(=神)の権力を象徴する存在として機能していたことはおそらく間違いないでしょう。

 規模や形状は様々であっても、三角錐を模した同様の建築物はメソポタミアのジッグラトや中央アメリカに栄えた各文明の遺構としても数多く残されており、それぞれ、時の王たちが権力のよりどころとした太陽信仰と深いかかわりがあるものとして伝えられているようです。

 その規模ゆえに、3000年以上の時代をそのままの形で生き抜いてきたギザの大ピラミッド。古代から「世界の七不思議」の一つに数えられ、現座でもエジプトのシンボルとして彼の地に恵みをもたらしているその存在を、是非、自身の目で確かめていただきたいと思うのですがいかがでしょうか。


#2254 おすすめの旅行先

2022年09月13日 | 旅行

 大学を卒業して40年余り。「趣味は海外旅行」というわけではないのですが、気が付けばその間、仕事にレジャーにバカンスにと、年に何回かの外国旅行を毎年繰り返してきました。

 前日、片付けの際にまとめて出てきた古いパスポートの束を見ながら数えてみたところ、滞在した国の数は既に30か国を超えていて驚きました。「そういえば、あそこも行ったな」「あそこではこんなことがあったっけ」と、街々の風景をそれぞれ懐かしく思い出したところです。

 さて、そうしたこともあって、職場の人たちと飲んだ際などに「(いろいろ)外国を回って来てどこが一番良かったですか?」とか、「おすすめの旅行先はありますか?」とか、若い人から尋ねられる機会がしばしばあります。

 さあて、どこが良かったか。セレンゲティ(タンザニア)の平原に沈む夕日や、葦船の上でフォルクローレを聞いたチチカカ湖(ペルー)、マレー半島を縦断する鉄道の旅やエベレストを見上げながらのポカラ(ネパール)でのトレッキングなども素敵だったけれど、実は答えは大体決まっています。

 海外旅行でどこに行くのが一番好きか、「また行きたい」と思うかと言えば、それはハワイのオアフ島。それも、ホノルルのワイキキ近くのコンドミアムなどで、冷房の効いた部屋でダラダラ過ごしたり、朝夕の涼しい時間帯にとおりや海辺をぶらぶらしたりというだらけた生活が、(特にこのコロナ禍の下では)懐かしくて仕方ありません。

 やはり生来の怠け者だからでしょうか。地元のラジオハワイやロコハワイが流れる朝のプールサイドで、カットフルーツなどをつまみにシュリッツの缶ビールを空けたり、ロイヤルハワイアンのビーチに張り出したバーでマイタイを前に夕暮れを待つのも、ワイキキならではの素敵な時間のつぶし方です。

 リゾートではない、いわゆる街場の観光地で言えばどこでしょう。秋を迎える頃のパリの街角やどこか緊張感の絶えない冬のマンハッタン島なども(それはそれで)好きなのですが、やはりイタリア北部のヴェネチアの街が私の中では一番のお気に入りです。

 世界遺産になっている(歩いて回れる広さの)ヴェネチアの旧市街は、モータリゼーションが進んだこの時代に、一切の車の乗り入れを禁止している極めて貴重な空間です。大小張り巡らされた運河群には市民や観光局の足代わりとなっている水上タクシーやゴンドラが行き交い、ルネッサンス期の繁栄を伝える建築物は14世紀、15世紀の街の姿をそのままの形で伝えてくれます。

 夕闇が近づく時刻にサンマルコ広場の時計台に上れば、街中に鳴り響く鐘の音とともに、網の目のように広がる運河と夕日を浴びて広がる赤い屋根瓦を見渡すことができるのです。

 さて、見るべき景色、言っておくべき場所は世界にはまだまだたくさんありますが、そんな中でも、海外旅行の経験が少ない若い人などに、私が「一度は見ておくべき」「行って損はない」と勧めているのがエジプトへの観光旅行です。

 夏は大変な暑さになるので、季節は(できれば)冬が良いでしょう。カイロに入って、ギザの大ピラミッドやスフィンクスを見た後、(アガサクリスティの推理小説で有名な)観光船か寝台列車で月夜を見ながらナイル川を遡っていく。

 何日かの時間をかけて、ルクソールやアスワンゆっくり回り、スーダンとの国境近くのアブシンベル神殿に向かうといった、定番コースがやはり一番いいのではないでしょうか。

 エジプトの遺跡群と言えば、近代以前から続く世界でも最も名高い観光地。3000年以上の歴史と、世界一と言っていいその規模は、訪れた人の期待を裏切るものではありません。

 さらにエジプトには、近代以降、欧米各国から多くの旅行者を受け入れてきた歴史があり、来訪者への遺跡の見せ方、観光客へのホスピタリティという点でも、まさに「ザ・世界の観光地」という印象です。

 中でも最も感動的なのは、やはり何と言っても(ジュリアス・シーザーやナポレオン・ボナパルト、江戸の終わりにはちょんまげを結った渋沢栄一一行なども訪れたという)ギザの大ピラミッド群。その存在は、世界中の子供から大人までが知っているはずなのに、かなり遠くからでもはっきりとわかる△の姿が次第に近づいてくるという状況には、思わず心躍るものがあります。

 その場所に立ってみて、「来た甲斐があったな」と感動し、強く印象に残る場所が世界にはたくさん存在しています。叶うことなら、来日した海外の観光客にも、ぜひそうした気分を味わってほしい。美しい日本の風景や凛とした伝統文化に接し、感動を覚えてほしいと改めて思います。

 新型コロナウイルス問題が生じる前の2019年。失われてしまった海外観光客による経済効果、いわゆるインバウンド需要は4.8兆円もあったとされています。コロナ感染症による行動制限が徐々に解除されていく中、経済的な理由ばかりでなく、日本の魅力を伝える新たな戦略が必要ではないかと感じるところです。

(さて、読み返してみたらなんか自慢ぽくて、だいぶいやらしい感じなのですが、「ま、いいか…」とこのままポチっと送信してしまいます。)