こころの平和から社会の平和へ

水島広子の活動報告や日々思うことを述べさせていただきます。この内容はメールマガジンで配信しています。

「思春期の意味に向き合う ― 成長を支える治療や支援のために ―」刊行しました

2012年04月07日 | 活動報告
このたび、「思春期の意味に向き合う ― 成長を支える治療や支援のために ―」を刊行しましたのでお知らせします。
治療者向けの専門書という位置づけですが、より幅広い方に読んでいただけるように書いたものです(下記、「はじめに」よりの抜粋をご覧ください)。

岩崎学術出版社

2100円(税込)


「はじめに」より抜粋

本書は、臨床家向けの体裁をとってはいるものの、実はより広い領域の方にも読んでいただきたいという思いで書いた本である。本来は治療対象となるような思春期患者が実際に臨床現場に現れることは決して多くない。教育現場だけで対処されていることも一般的だし、思春期の症状は「問題行動」として現れることが多いため、警察や司法などの場で対応されていることも少なくない。それが治療対象となるものであることを知らなければ、治療への引き継ぎが考慮されることもないだろう。このことは患者が適切な治療を受ける機会を奪ってしまう。
また、どのような領域で患者と接する場合であっても、その基本姿勢は「思春期という『役割の変化』」の意味をふまえたものであってほしい。より広く考えれば、「患者」と呼べないレベルの思春期の子に対しても、患者になることを予防するという観点から、やはり同様の配慮を求めたい。つまり、思春期に現れる特徴・症状やその対処法については、臨床家だけが知っているのでは全く不十分であり、臨床家はもちろんのこと、それ以外の領域の方にもできるだけ知っていただきたい、という思いが、本書を執筆した一つの主要な動機である。
その際の原点となるのが、本書のタイトルにある「思春期の意味」である。思春期の意味をよく理解すれば、どのような介入が適切で、どのような介入が不適切であるかを判断することができるだろう。「思春期の意味」を踏まえた介入は、目覚ましい効果をもたらすのである。



目次等詳細は出版社ウェブサイト


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2012年3月のツイッターより(抜粋)

2012年04月05日 | ツイッター抜粋
2012年3月のツイッターより、反響が大きかったものの抜粋です。



2012年03月06日(火)

拙著「トラウマの現実に向き合う ― ジャッジメントを手放すということ」が増刷になるという連絡をいただく。最も思い入れのある本(しかし地味本なのであまり売れない)なので、涙が出るほど嬉しい。 http://t.co/bdYK9H4a


2012年03月14日(水)

「攻撃」についての本を書き終えました。5月頃刊行予定とのことですが、この本を通してまた心の平和が広がりますように、という貴重な言葉を友人からもらい、ありがたいです。書名や刊行時期など最終的に決まりましたらまたお知らせします。

「待つ」ということは、相手のプロセスを尊重するということであり、ありのままの相手と共にいる、ということ。つまりは評価の手放し。


2012年03月18日(日)

「怖れ」をエネルギーにして何かの活動をすることは、分断を生み協力者を減らすので非効率だと思ってきたが、さらに、「燃え尽き」が起こるということにも気づいた。

「怖れ」ばかりを煽られると、人はいつか燃え尽きてしまい、反応しなくなるだけでなく、自分の「怖れ」を煽る人に敵意すら感じるようになる。協力者を減らすところか、敵対者を増やしてしまうのだ。

私は、「形」よりも「心の姿勢」の方がはるかに大切だと思っている。訴えることの内容も、一つの「形」。「平和な内容にしなければ」と思うと「怖れ」を生む。まずは心の姿勢を平和に定めること。そうすると、自ずと、そこで表現される内容は限られてくる。

平和な心で、暴力的な、分断を生むメッセージは出せないものだ。平和な心から発せられる社会的メッセージが増えますように。



2012年03月22日(木)

対人関係療法創始者のワイスマンから、新たに刊行された症例集が届いた。昨年秋にお会いしたときに「今度症例集を送るけれど、翻訳の義務を感じないでね。あなたは日本の症例集を出した方がいいわよ」と言っていただいている。翻訳は確かに莫大な時間を要するので悩むところ。

ちなみに原書を読みたい方は、Casebook of Interpersonal Psychotherapy、版元はOxford University Press、著者はJohn C. Markowitz, Myrna M. Weissman。どちらも私の親しい友人。

心の姿勢について語っていたはずの人があるとき「形」について語り始めると、歪みが生じてくる。「形」を守ろうとすると、心の姿勢について、必ず「これだけは例外」というものが出てくるからだ。「全般的に心の平和は重要。でも今だけは、そんなことを言っていられない」という具合に。

有望な方向に進んでいたはずのことが途中で「変質」したと思われる例を歴史上いくつも見つけることができるが、いずれも「心の姿勢」から「形」に転向してしまった結果のように思う。一般的な言葉で言えば、「結果への執着」というところか。



2012年03月25日(日)

木更津で里山再生に取り組んでいる旧知の知人のところを訪ねた。単に自然が好きだが、言葉を使わない「AH的安全な共存」について考えていて(非定型発達の方とは言葉を使った共有はかなり難しいので)、その一つのヒントが、自然の中で時間を共有するというもの。

また、食の安全や環境保護というテーマも、どういう心の姿勢で取り組むかによって全く性質が変わってくる。愛、敬意、つながり、という「愛」 の姿勢か、罪悪感、恐怖、怒り、自己正当化、敵対、分断、という「怖れ」の姿勢か。



2012年03月28日(水)

オレンジページムック「プレ更年期からのイライラ・うつうつをすっきり!」が届く。「精神科医がアドバイス 更年期ストレス」を監修した。オレンジページの方たちとは二十代の頃からのおつきあいだが、一緒に仕事をするたびに元気になります。 http://t.co/vkUUDxzS


摂食障害を持つ方の「親」向けワークショップ開催のお知らせ

2012年04月05日 | 活動報告
摂食障害を持つ患者さんご本人ではなく、親御さんを対象としたワークショップです。

午前:摂食障害についての知識の整理

午後:アティテューディナル・ヒーリング(AH)の体験を通して、本人とより楽で効果的な関わりができるようになるための練習

ファシリテーターは水島広子がつとめます。

参加要件
以下の3点を全て満たしていただく必要があります。

(1)お子さんが摂食障害をお持ちの患者さんであること

(2)「拒食症・過食症を対人関係療法で治す」(紀伊國屋書店)をそれなりに真剣にお読みいただいていること

(3)「怖れを手放す」(星和書店)をじっくりとお読みいただき、アティテューディナル・ヒーリング(AH)の概念に触れておられること

もちろん、(2)(3)とも完璧な理解を求めるものではなく、当日いくらでもご質問いただけます。
両方の書籍をご持参ください。
入手が困難な方は、info@hirokom.org までご連絡ください。

日時:2012年7月2日(月) 9:30~16:30 (昼休み1時間、午前午後に短い休憩あり)

場所:水島広子こころの健康クリニック(港区元麻布 最寄り駅 麻布十番、六本木) 
* ご参加の方には詳細な地図をお送りします。

定員:14名

参加費: 15,750円 (簡単な飲み物とお菓子が出ます)

* お申し込みの時点で、参加費の振込先やキャンセル規定などについてお知らせします。

参加ご希望の方は、info@hirokom.org までご連絡ください。お問い合わせも同アドレスまでお願いいたします。

* 受付担当のスタッフと、当日対応のスタッフは別の者になります。

* あくまでも治療行為ではなく、教育目的のプログラムですので、ご了解ください。
クリニックそのものは未だに待機患者さんが多く、新規の受付ができていない状況ですのでご理解いただけますようお願いいたします。