みつばちマーサのベラルーシ音楽ブログ

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(16) 歌「平和の鶴」(2013年)と「サダコの鶴」(2014年)

2021年08月11日 | サダコの千羽鶴
 2013年には歌「平和の鶴 Журавли мира」という曲がロシアのルイビンスクのバンド FLIGHT(2010年結成)によりリリースされます 。
 アルバム「Fall to Rise」 に収録されていますが、このバンドを紹介する音楽サイトで試聴できます。歌詞も掲載されています。

 このバンドはオルタナティヴ・メタル・バンドだそうです。なので、歌詞を全てシャウトしています。
 「平和の鶴」を聞きましたが、タイトルが与える印象とは裏腹に、ずっと激しくシャウトしています。
 公式サイトに歌詞を掲載してくれて助かりました。聞いているだけでは何を歌っているのか私は聞き取れないです。
 
 歌詞を文字で読むと冒頭に「8月の朝、日出づる国で」など広島の原爆に関する歌であることが分かるよう書いてあり、歌詞にも「太陽に向かって飛んでゆけ!」「毎日毎日紙を折りながら、自分の健康と人々を平和を祈ったサダコ」と出ています。
 はっきり「サダコと千羽鶴の物語」の歌です。
 そしてこの歌の歌詞では佐々木禎子さんが折った折り鶴の数は644羽説が採られています。
 ロシア語版「サダコと千羽鶴」の644羽説が21世紀になっても延々と伝わっています。
 歌詞の内容は文字で読むと、原爆の恐怖、生と死、平和希求、鎮魂の言葉が並び、作詞者が真摯に原爆や「サダコの千羽鶴の物語」を歌いあげようとしていることが伝わってきます。
 激しいシャウトの歌声も、平和への強い願い、魂の叫びとも取れます。
 オルタナティヴ・メタルというジャンルは、聞いている人に訴えかけるという意味で強烈なインパクトを与えます。
 「サダコの千羽鶴の物語」の持つ苦しみや悲しみ、病苦や闘病、サダコの死にたくない!という気持ちなどを表すには適している音楽のジャンルだと思えました。

 「サダコの千羽鶴の物語」をモチーフにした歌は、美しいバラード調が多いのですが、2010年代になると、「侍の娘」といい、アーティストも自由なスタイルで作曲するように多様化していきます。

 2014年にはロシアのバンドFahrenheitが「サダコの鶴」という曲をYouTube上で動画配信しています。
Fahrenheitというバンドについて調べてもあまり詳しく分からなかったのですが、サハ共和国のヤクーツクのバンドで、
 ボーカルの スラヴァ・シフツェフさんがリーダーのようです。
「サダコの鶴」はYouTubeで試聴することができます。
「Песня "Журавлики Садако". Группа "Fahrenheit", вокал - Слава Сивцев」で検索してみてください。
 こちらは美しいギター弾き語りの歌です。
 テーマは「サダコの千羽鶴の物語」なのですが、さらっとこういう曲を作る事ができるんだろうなあと驚きです。
(失礼ながら、スラヴァ・シフツェフさんのプロフィール写真を見ると、ロシア人には見えませんでした。ヤクート人でしょうか。間違っていたらすみません・・・。大国の少数民族が、サダコの千羽鶴の歌を作って歌い続けてくれているのは、ありがたいことですし、注目に値します。
 こうして遠いところのミュージシャンの歌もインターネットのおかげで、世界中で視聴できる時代になりました。
 これも文化の広がりに有効なツールで簡単に情報を得られる時代にどんどん変わったと実感できますね。

 「サダコの千羽鶴の物語」も様々な角度からアプローチされてきて、それでいいんだよという許容度も広がったと思います。
 アーティストの皆さんは真摯に向き合っている姿勢が感じられて、日本人としてロシア語の歌を作ってくれて嬉しく思います。


 (それにしてもほぼ毎年のように「サダコの千羽鶴の物語」をモチーフにしたロシア語の歌が作られているとは驚きです。アーティストにインスピレーションを与える何かがサダコさんにあるのかなあと思いました。)


 画像は「平和の鶴」が収録されているFLIGHTのアルバムのジャケット。音楽紹介サイトからお借りしました。

(17)に続く。


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