みつばちマーサのベラルーシ音楽ブログ

ベラルーシ音楽について紹介します!

ゴリラズの「Strange Timez」

2020年09月09日 | その他
 
 ベラルーシ音楽そのものではありませんが・・・

 イギリスの覆面音楽バンド「ゴリラズ」が2020年9月9日にリリースした最新曲「Strange Timez」(10月発売予定のアルバム「Song Machine: Season One - Strange Timez」のEpisode Sixとして発表)の歌詞の中で、ベラルーシが取り上げられています。
 
 ありがとう、ゴリラズ!!!
 
 歌詞は当然英語ですが、ベラルーシが出てくるところだけ日本語に翻訳してみました。(ロシア語に比べると英語は分かっていないので、上手に翻訳できているかどうか分かりませんが、ベラルーシ事情に詳しい私の視点で翻訳してみました。)

・・・・・

不思議な時代

絹糸の中に落っこちた気がする。頭の中が回ってる
与え続けられる夕闇色の空虚の中で宙ぶらりん
小屋で輪になった巡礼者は鐘の音の中に消えていく
俺は遠くで誰かが歌う声を聞く
俺は森の向こうのベラルーシから響くおかしなこだまに苦しめられる
あそこで遮断された若者は大統領たちに針で所属バッジを縫いつけられる

・・・・・

 歌詞は英語のオリジナルですが、動画サイトのコメント欄で読むことができます。こちらをどうぞ

 歌詞には出てきませんが、動画の最後に出てくる月面のメッセージにグッときますね。今のベラルーシ人は。
 
 このアニメを見ていて感じたのは、コロナウイルスなどのせいで、すっかり世界が変わってしまったのを月から眺めている・・・というのがゴリラズのコンセプトなんだろうなと思いました。
 本当に不思議な時代に入りました。
 みんなこの世界でこの時代を生きていくしかないですね。


詩人ゲンナジ・ブラウキン

2014年06月01日 | その他
 5月30日ベラルーシの詩人、ゲンナジ・ブラウキンが亡くなりました。77歳でした。
 バラドゥーリンと同じく、作品の日本語訳をした私としては残念です。
 心臓病を長く患っていたそうですが、ニュースではがんとなっていました。
 また1人ベラルーシを代表する詩人がこの世を去って寂しいです。
 ご冥福をお祈りいたします。

ベラルーシの詩人バラドゥーリン

2014年03月04日 | その他
 ベラルーシの国民的詩人ルィゴール・バラドゥーリンが3月2日79歳で亡くなりました。
 多くではないですが詩の翻訳をやったことがある私としては悲しいです。直接面識があるわけではないのですが、日本語に翻訳したものを手書きで書いたものを知人を通して渡したことがあるのです。
 ご冥福をお祈りします。
 でもやっぱり、表現が変かもしれませんが、肉体が失われても書いた作品が永遠に残るというのはすごいなあ、と思います。

ユーロビジョン・ソング・コンテスト2009はノルウェー(ベラルーシ人)が優勝!!!

2009年05月17日 | その他
 今年ロシアで開催されたユーロヴィジョン・ソング・コンテスト。
 先ほどノルウェー代表のアレクサンドル・ルィバークが優勝しました!
 アレクサンドル・ルィバークはベラルーシ人なのです!!! バンザーイ!!!(感涙)
 
 アレクサンドル・ルィバークは1986年ミンスク生まれ。父はバイオリニスト、母はピアニスト。
 アレクサンドルが9歳のときに一家はノルウェーに移住しました。両親もプロの音楽家として活躍中。
 5歳から音楽を学び、5種類の楽器が演奏できるそうですが、現在はバイオリンとピアノを専門にしているそうです。
 2006年、自ら作詞作曲した曲でノルウェーのタレント発掘番組に出場し優勝しプロデビュー。
 ノルウェー国内での大会で優勝してユーロビジョン・ソング・コンテストの代表に選ばれました。 

ユーロヴィジョン・ソング・コンテスト公式サイトはこちら。(英語)

http://www.eurovision.tv/page/home

 このバイオリンを持っている方がアレクサンドル・ルィバークです。

 こちらのページで歌も聴けます。

http://www.eurovision.tv/event/artistdetail?song=24699&event=1481


 何でもおばあちゃんがベラルーシに住んでいるそうで、凱旋コンサートをしてくれないものかしら・・・。
いやあ、それにしてもえらい! 本人のそうですが親もえらい。ロシア語もぺらぺらでしたね。黒人演歌歌手ジェロもそうですが、移民親がえらいと思います。
 「1986年ミンスク生まれ9歳のときにノルウェーに移住。」ときいても、は「ふーん。」としか思わない日本人が多いと思います。
 でもベラルーシ人からすれば、同じ年に発生したチェルノブイリ原発事故の放射能におびえながらの出産と子育て。しかも当時のソ連経済の大混乱、そしてソ連崩壊の時期での外国移住ですから、日本人は想像できない生活不安と精神状態の中で、異国へ行っているわけです。最初の頃両親はとても苦労したと思いますよ。

 ところで本来のベラルーシ代表のピョートル・エルフィーモフは予選落ちで、早々にいなくなってしまいましたが、どちらかと言うとベラルーシ人は最初からノルウェーを応援していましたね。(^^;)

 そして採点も毎年お約束のベラルーシからロシアへ12点! が今年初めてロシア以外の国(ノルウェー)に12点!でした。当然!
 (しかしベラルーシからロシアへは今年は8点しかいかなかったのが、意外。)
 
 3年前に6位に入ったのが現在最高の記録(代表はドミトリー・コルドゥン)で、あとはいっつも予選落ちのベラルーシ。(しかも点数ががっくりするほど低い・・・)
 ノルウェー代表ですが、ベラルーシ人が初めての快挙、しかも圧倒的勝利だったので、すごくうれしかったです! 涙出ました。
 ベラルーシ人も捨てたものではない。(と言うか、国内選抜のやり方に問題があります。だから私はこの2年は国内大会は見ないし、投票もしないことにしている。)
 これからは真のベラルーシ代表にもがんばっていただきたい、と思いました。ジュニアのほうなら、ベラルーシは優勝したことがありますけどね・・・。 

ミュージカル「預言者」⑥  後日談

2007年11月19日 | その他
 8月30日の初演の後、ベラルーシ人の間からも賛否両論が巻き起こった「預言者」。
(やっぱり表面上の理解しかできないと「よく分からん。」という作品になってしまうのだな。)

 でも、出演者のレベルは高かったですよ。ロシア・ベラルーシ・ポーランドの3カ国から厳選しただけのことはあります。
 特にダンサーのレベルはすごく高かったと思うのだけど。それを見られただけでも高いチケット代払ったかいがあると思う。
(一番高い席は日本円にして4500円。一番安い席は1500円。値段で5段階の席があった。はっきり言ってベラルーシ人の感覚からするとめちゃくちゃ高い。よっぽど見たいと思わないと買えないぞ、一般人は。)

 これだけのお金をつぎこんで作られた舞台。さあ、これからベラルーシを公演して回ると思っていたら、公式HPの公演予定に30箇所ぐらいを予定しています、とある。
 でもその多くの都市ではあの馬鹿でかい舞台装置が入るような会場なんてなさそうな、小さな地方都市なのである。
 本当にこんなにたくさん公演できるのかなあ、と思っていると、10月初めにモギリョフで公演予定のお知らせがHP上で出た。
 ところが、結局9月の末になってもモギリョフ公演のチケットの発売は開始されず、やっぱり大きい会場がないのでは・・・と思っていると、10月上旬に「ミンスクの屋内サッカースタジアムで10月23日から5回連続公演します!」というポスターが貼られ始めた。
 それぐらい大きい会場でないと上演不可能なんだな、と改めて思った。

 そして5回連続公演ということはそのうちの何回かは、トーダルが預言者の役をするのだろうと思って、どうせチケットを買うなら、トーダルが出る日のチケットを買おうと思って、確認しようと思い、トーダルに電話をした。
 すると・・・驚愕の事実がトーダルの口から・・・。
「僕は出演しません。」
「え・・・どうして?」
「喧嘩したから。」
「喧嘩って誰と?」
「ミュージカルとだよ。」
 一体全体何が起きたのか???

 つまりトーダルはミュージカル「預言者」のプロデューサーと喧嘩したのである。
 馬鹿でかい舞台装置が入る会場を探す作業に難航し、いつどこで公演があるのか、まるで分からない状態が続いていたらしい。
 トーダルは自分の音楽活動も平行してしているため、ちょうど10月25日にポーランド公演を予定していた。もちろんポーランドでポスターを貼って宣伝したり、前売りチケットを売ったりしていたのである。
 ところが、いきなり「10月23日から『預言者』をミンスクでするから、出演するように。」とプロデューサーに言われたらしい。
 トーダルが「23日にはポーランドに行くから、出演できません。」と返事をすると、「自分のコンサートより、ミュージカルのほうを優先しろ。」とプロデューサーに言われ、「コンサートのチケットを買ったお客さんにどうやって説明するんですか? 自分のコンサートを優先します。」「それは契約違反だ!」「そんな大事なこと、もっと早く言っておいてくださいよ。こっちにだって都合があるんだから!」
・ ・・という喧嘩になったらしい。

「あ、あの・・・喧嘩はよくないよ・・・。」
「喧嘩じゃないよ、僕は自分の意見を言っただけだ。」(←さっき喧嘩したって言ったじゃん。) 
「じゃあ、もう『預言者』に出ないの?」
「分からない。」
「そんなあ・・・! オレイニコフさんが演じる預言者は私はもう見たから、おもしろくないよー。私が見たいのはトーダルの預言者なのに・・・。」
「でも、どうなるか僕にも分からないんだ。」
 呆然・・・
 そして彼は予定通り10月23日にポーランドへ出発し、1週間ばかりベラルーシに帰ってこなかった・・・。そしてその後すぐにスウェーデンに行っている。

 いやはや。もったいない話だ。ポーランドの缶詰稽古、アメリカ人ボイストレーナーのしごき、今年の夏の猛暑の中、汗だくになりながらオレイニコフさんに代わって、預言者の役を稽古でしていたトーダル。(スポ根漫画みたい。)
 その姿を少しだが知っているだけに、一回もトーダル預言者を舞台上でお披露目することなく、お蔵入りになってしまうのか・・・と思うともったいない。(見たい・・・。)

 それに出演すれば、高額ギャラ&世界的知名度アップにつながるのに・・・。公式HPの出演者人気度ランキングでもトーダルはダントツ1位なのに・・・。
(人気度ランキングの候補にオレイニコフさんなどが入っていないのはなぜ? 人気ナンバー1になるのが分かっているから? 人気が実はなかったことが分かるといやだから? 人気なんかどうでもいいから?)  

 もしかすると今後、喧嘩の仲直りをして、トーダルが「預言者」の舞台に戻ってくる可能性はある。
 本人は「出たくない。」と言っているのではなく「分からない。」「たぶん出ない。」と言っているので。(繰り返すようだがもったいない。せっかく台詞もダンスも覚えたのに。)

 しかし本人は今後全く「預言者」に出なかったとしても、ミュージカルの稽古は貴重な経験になった。と話している。
 そして資金さえあれば、ベラルーシ人だって「預言者」のようなミュージカルは作ることができる、と豪語。
「音楽の担当はもちろんトーダルで。」
とも付け加えていたよ。

 「預言者」どうなるのかなあ・・・。
 私の希望はあくまでトーダルの復帰です。


ミュージカル「預言者」⑤ 感想

2007年11月08日 | その他
 そもそもマーサ一家は「預言者」に出ているトーダルを見に行ったのである。
 しかし、作品の内容の強烈さに彼のことをすっかり忘れていた。(^^;)
 前にも書いたけど、トーダルは主役のダブルキャストであって、もう一人の主役オレイニコフが出演しているときは、彼は「その他大勢」のうちの一人の役をやっている。
 しかし、この「その他大勢」がやたら多い。しかもみんな歌いながら踊っているので、どこにトーダルがいるのか分からなかったのです。(双眼鏡持って行けばよかった。不覚!)

 はちの子(4歳のとき好きだった芸能人:山下智久)はトーダルにあげようと、花束を持って行ったのだが、50人ばかりがいっせいに踊っているのを見ても、どこにいるのかまるで分からず、最後のカーテンコールでもどこにいるのか分からず、(分かったとしても、出演者が多すぎて近寄れなかったと思う。)仕方がないので、一番手前中央にいたオレイニコフに花束を渡した。
 オレイニコフは子どもから花束をもらってうれしかったらしく、ほっぺにキスをしてくれたのだが、その様子は画像となって、「預言者」の公式サイト内で見られるので、暇な人は探してほしい。
 
 さて、あまりにも考えることを要求するミュージカルであったため、家に帰ってからも、捨平と、ああだこうだと内容について議論したよ。
 はちの子(現在好きな芸能人:ウエンツ瑛士。母はどちらかときかれれば徹平ちゃん派)に
「おもしろかった?」
ときいたら
「また見たいよ。」
「何が一番おもしろかった?」
「赤い服の女の人とおじさんが火の中で歌うところ。」
どうやら「人妻との不倫デュエット」曲 がお気に召したよう。
 さらに不倫が発覚して、夫が妻を怒るシーンでは
「かわいそうだった。どうしてあんなに怒ったの?」
と心配していた。

 というような感想を後日、トーダルにはメールで送っておいたよ。
「『預言者』のテーマはずいぶん深刻で重いテーマだったね。でもこういうテーマは実はよくある内容で、要するに人間にとっての永遠のテーマだと感じたよ。
 でも、この作品を日本で日本人に見せるとなると、どうでしょう? 日本人はだいたいキリスト教のことはよく理解していないし、この作品を見ても深く理解できず、表面(例:人形とのダンス)だけ見て喜んで終わり、ということになるかも。日本公演が実現すればいいけど、日本人の観客に深く理解してもらうために、台詞は翻訳しておくとかしないとだめだろうね。次はトーダルの預言者が見たいです。」
と私は自分の感想を書いたよ。
(その後トーダルからは「預言者の感想、いいことを書いてくれてありがとう。」
というメールの返信がきた。)

 しかし日本で公演するとなったら大変だろうなあ。翻訳だけの問題ではなく、あの馬鹿でっかい舞台装置、どうやって日本まで運ぶんだろう。
 

ミュージカル「預言者」④ 初演と簡単なあらすじ

2007年11月07日 | その他
 本番前にはベラルーシのテレビでもCMが流れ、ミンスクの町中にポスターが貼られた。
 CMは「預言者」の公式サイト内でも見られるので、興味のある方はどうぞ。(うまく開かなかったらごめんなさい。)とにかくあやしいCMですわ。

http://www.pro-rok.ru/3_2.php


 そして8月30日当日。会場のスポーツ会館前には黒山の人だかり。とにかく人がいっぱい。そこへマーサは夫の捨平と娘のはちの子(好きな歌手:トーダル。3歳からトーダルのファンと言う変な子。)の3人で分け入ったのであった。

 しかしまあ、観客がこんなにいっぱいいるのに、子どもなんてはちの子(好きなお笑い芸人:よゐこの濱口優)を入れても二人しかいませんでしたね。
 内容はとてもじゃないけど子ども向けではなかったです。

 まず最初に新約聖書の「ルカによる福音書」第15章11節に出てくる、有名なイエスのたとえ話「放蕩息子の帰還」の冒頭部分が、ロシア語で朗読され、いろいろな外国語(ヨーロッパの言語)で、正面の大画面スクリーン(全部で3面ある)いっぱいに表示される。
 CMの最後のほうにちらっと出てくる絵もレンブラントが描いた「放蕩息子の帰還」の一部分で、このミュージカルのテーマは放蕩息子らしい。

 放蕩息子のたとえ話について、詳しくはこちらのサイトをご覧ください。レンブラントの絵も見られます。

http://www.worldfolksong.com/closeup/yellow_ribbon/page7.htm


放蕩息子がどうしたんだろう、と思っているうちに、そのたとえ話が載っている聖書がパタンと閉じて、よく見ているうちにゴミの山にその聖書が捨てられているのが分かる、というかなりショッキングなシーンが・・・。
 そしてそのゴミの中からいきなり現れる大勢のダンサーたち。彼らはこのゴミ山で自由を謳歌している住人なのだ。(ゴミ山でゴミを拾って生活することを自ら選んだ人たち。)
 そして両手にビニール袋を持って「ゴミ袋ダンス」を始める・・・。

 その後、よっ待ってました! ゴミのひとつである箱の中から預言者オレイニコフが「おっす!」と言いながら登場!(観客拍手。)
 そう預言者はこのゴミ山の世界の王様なのです。

 そこへ杖をついた盲目の「老人」がやってきて、預言者に頼む。
「私が死んだ後、この世はどうなるのか・・・。予言してくれ。」
するとどういうわけか、預言者(ロシア語では預言者も予言者も同意語。)は予言する引き換えに、老人が今までどんな人生を歩んできたのか話すように命令する。
 こうして老人の話が始まるわけだが、それが舞台上で次々と再現される。

 子ども時代、母の愛に背を向けて家出。(彼もゴミ山の出身。)
 そして貧乏ゆえにうらぶれた売春街で暮らすうち、出会った清純な娘との初恋。(シャガールの絵に出てくる恋人たちのように飛び回る。)
 その後有名になり富と名誉を手にした青年は、人妻との不倫の恋という罪を犯してしまう。
 そして殺人の濡れ衣を着せられ、投獄される。(この刑務所のセットが馬鹿でかい。)
 出獄した後、ようやく本当の愛とめぐり合い・・・

 とまあ、こういうふうにあらすじだけを書くと、全然おもしろくないですね。やっぱり見ないとだめだわ、何せミュージカルだし。

 それにこのミュージカルの中には暗示とか象徴が多くて、観客に考えることを要求する。考えない人からすれば、話の筋は陳腐でありきたりだし、この作品が何が言いたいのかよく分からないと思う。
(そういうマーサも、聖書のたとえ話「放蕩息子の帰還」とこの作品のテーマが頭の中でもう一つきれいにひっつかない。)

 たとえば、聖書(宗教)が捨てられているゴミの山は現代社会を表していて、私たち、特に都会に住んでいる現代人は、実はゴミ山の上で暮らしているようなもんではないか?と作者は問いたいわけですね。
 そういう具合に家出とは何なのか、清純な初恋とは何なのか、刑務所とは何なのか、この作品の中に出てくる要素を自分なりに「変換」しながら見ないといけない。
 ゴミはゴミと思って見ていても、この作品の言いたいことは伝わりません。表面しか分からない。

 こういうふうに紹介すると、何だか難しそうに思えるけど、実際にはダンスあり、歌あり、曲芸ありで、すごく楽しい舞台です。(しかし刺激が強すぎるかも。ダッチワイフダンスなんてのもあったぞ。ゴム人形が生きているように見えたけど。捨平はなぜか大喜びしていた。(^^;))
 舞台の様子は「預言者」の公式サイト内でたくさんの画像で見られるので、どうぞ。(しかしこの画像だけ見てもさっぱりわけが分からないかも。) 

http://www.pro-rok.ru/3_1.php?dir=_images%2Fgallery%2F008
 

 それから、この作品のハイライト、「人妻との不倫デュエット」曲(^^;)も公式サイトで視聴できます。

http://www.pro-rok.ru/3_3.php
 

 轟々と燃え盛る炎の中で罪な恋に落ちてしまう二人。この炎は罪人が焼かれる地獄の業火なのですね。うむむ。
 登場人物全員が人生という炎の中で悶絶しているように見えてくるわ。
 そして、見ているこっちも罪深い自分を感じて、地獄で焼かれている気持ちになってくる。
 
 美と醜、聖と罪、栄光と挫折という対比がそれこそゴミの山のようにぐちゃぐちゃに混ざり合っている。
 音楽やダンスは明るいけれど、抱えているテーマはとても重い。
 きっとこの作品は21世紀初頭の歴史に残るものになると思うけれど、内容はすごく世紀末的。
 人生を語る盲目の老人が生きた時代が20世紀末だったのだから、当然なのだけれど。そして見ている観客のほとんどは20世紀末人なのですね。
 しかしまあ、極彩色に彩られたきれいなんだか、汚いんだかどっちともつかないゴミの世界がステージ上にありました。私たち20世紀末人は21世紀にかけて、ゴミの上の人生を転げつつ、生きているんだね。

ミュージカル「預言者」③ ポーランドでの缶詰稽古と国境での目撃談

2007年09月18日 | その他
 ようやく出演者が決定したミュージカル「預言者」。
 次は舞台稽古である。そのためにオレイニコフはワルシャワ郊外にある森に囲まれた宿泊施設を借り切ることにした。宿泊施設といっても、ダンスの練習もできるような体育館も併設されている施設である。
 そこで、約半年に渡り、出演者たちは文字通り「缶詰状態」の特訓を受けることになった。何でも1日に12時間稽古をしたと言う。
 オレイニコフが言うところによると・・・
その場所は「強制収容所」で、時間が経つにつれ「みんな文明から長期間隔絶されて、発狂しつつあった。」 
 ・・・だったそうだ。

 ベラルーシ国営第1テレビの「ズビョズドナヤ・モノポリヤ」というテレビ番組でその稽古の様子がレポートされていた。
 猛暑だったこの夏、みんな汗だくでダンスや鉄棒の大回転のリハーサルをしていた。
 トーダルは他のボーカリストと一緒に歌を歌ったり、ビデオの録画をチェックしたりしていた。
 舞台監督はわざわざアメリカのシカゴのミュージカル劇場でボイストレーナーをしているポーランド系アメリカ人を呼んできて、ボーカリスト組はミュージカル向けのボイストレーニングを受けている様子が写っていた。
 オレイニコフによると、発声法からして本場アメリカのミュージカルは全然違うそうだ。
 このトレーナー(マリオラ・ナピエランスカ)は見るからに熱血トレーナーで、教えている歌手の前でずっと指揮者のように手を振り回しており、この人をテレビの画面を見ているだけで疲れた。何と言うかスパルタ教育で、歌を教えていると言うより、スポ根ドラマを見ているようだった。
 
 ただ、さすがと言うべきかヤドビガ・パプラフスカヤとアレクサンドル・チハノビッチはこのトレーナーにあまり叱られていなかった。
 と言うか、必死で教えすぎて、トレーナーのほうの声がかれてしまっていた。それでもこのトレーナーはホイッスルを加えて
「もっと大きな声で歌うほうがいいところでは、これを吹いて教えますからね。」
とかすれ声で言っていた。先生もスポ根である。
 
 このトレーナーは7月、ミンスクにやって来て、トーダルのバースデーコンサートを聴きに来ていた。
「今日は僕の先生が来ています。」
とトーダルが舞台上で話していたので、先生って誰だろうと思ったらこのボイストレーナーだった。
 マリオラ先生はステージに上がって「トーダルは私の生徒の中で一番優秀です。」と褒めていた。
 こんな鬼教師みたいな人に褒められるなんて、すごいね。(しかし誕生日だったゆえの単なるお世辞だったかも。)

 ところで、この「陸の孤島稽古場」へベラルーシ人の参加者はオレイニコフらロシア側が用意したチャーターバスに乗って、陸路ミンスクからポーランド入りしていた。このバスに乗ってベラルーシとポーランドの国境地帯をあっちへこっちへと移動していたのである。 

 さて、8月のある日マーサの夫、釣りキチ捨平はポーランドへ行く用事があり、自分が運転する車に乗って、国境を越えた。3日後の日曜日、用事を済ませてベラルーシへ帰ろうと車を走らせ、夜中の12時ごろ国境地帯にある検問所にさしかかった。
 ここでは税関検査や出入国検査を受けるため、時間がかかりすぐに通過できない。
 捨平は待ち時間を利用して、トイレに行くことにした。
 そのトイレでオレイニコフにそっくりな人に遭遇!
 ・・・というか本物のオレイニコフ!!!
 オレイニコフはトイレを出たところで、すぐ女性ファンにつかまり、ツーショット写真をねだられていた。

 捨平は「預言者」の稽古のため、出演者がこの国境を行ったり来たりしているというのを、聞いていたので
「やっぱり、本物だ・・・。」
と分かった。そして女性ファンが写真を撮って去った後、オレイニコフに声をかけた。
「大変ですね。」
 これは有名人になると、国境地帯だろうが、夜中だろうが、写真やサインや握手を知らない人から求められるので大変ですね、という意味である。
「いや、全く。」
 とオレイニコフは答えた。捨平は
「私の友達を出演者の1人に選んでくれてありがとう。」
と言ったので、オレイニコフは
「それは誰のことかい?」
ときいてきた。
「トーダルです。」
 するとオレイニコフは
「ああ、トーダルならそこの売店で買い物しとるよ。」
「じゃあ、後で彼にも挨拶しに行きます。」
 捨平はさらにトーダルと自分の日本人の妻が、いっしょにCD「月と日」を作ったことまで、オレイニコフにしゃべった。
 するとオレイニコフは驚いて
「え、何? あなたの奥さんは日本人なの?」
「ええ、そうです。」
「どこで知り合ったの?」
「まあ、そういう知り合う機会があったんですよ。」
と捨平は笑って詳しくは話さなかった。(話し出すと長くなるものな。)

 ともあれ、オレイニコフが私のことをちょっと知っている、というだけでも名誉なことですよ。(^^)
 その後捨平は国境地帯にある売店へ行った。
 すると、いるいる~。トーダルが買い物かごをぶら下げて、店内をうろうろしているではないか。
 トーダルは捨平には気がつかず、しゃがんで下のほうの棚に置いてあったチョコレートの箱を選んでいた。
 ちなみにマーサ家の人間はトーダルのことは普段トーダルと呼んでいない。本名のほうで呼んでいる。
 捨平はしゃがんでいるトーダルに声をかけようとしたが、夜中でしかも運転に疲れていた頭に本名が浮かんでこない。
(あれ、サーシャだっけ? 何だったっけ? え~と・・・。)
 と考え込んでいるうちに、チョコを選んだトーダルが立ち上がり、振り返った。そしたら後ろにいきなり捨平が突っ立っていたので
「わ!」
と純粋に驚いてしまった。(驚かそうとしたわけではないのだが。)
「どうしてこんなとこにいるんですか?!」
 そりゃあ、普通はこんなところで知り合いに会うことはめったにないからね。
「いやあ、ポーランドに用事があって、その帰りなんだよ。」
「僕たちは今からポーランドの稽古場へ行くところなんです。」
 つまり国境でばったり出会ったわけですね。
 トーダルはかなり動転したらしく
「ええっと、この間あなたの奥さんとお嬢さんが、僕のバースデーコンサートに来てくれましたよ。」
などと、捨平が知っているに決まっていることをしゃべった。

 その後みんなはそれぞれの方角に向かって出発した。
 しかし、こういう偶然ってあるものなんだね。
 この話を帰宅した捨平が話してくれたのだが、笑い転げそうになった。
 しかも捨平の目撃談によるとトーダルはチョコレートのほか、ワインとハムを買い物かごに入れていたと言う。(濃い選択だね。野菜も食べるように。)
 そしてトーダルは無精ひげを生やし、めちゃくちゃ疲れた様子だったと言う・・・。
 舞台稽古で相当、体力を使っているようだ。
 ああ、かわいそうに・・・。しかし、これがスターの宿命なのだよ・・・。(私がいちいち言わなくても分かっていると思うが。)
 その後しばらくしてから、バースデーコンサートの感想と
「国境地帯で捨平と会ったんだってね。とても疲れているようだったと捨平は話していたよ。健康には気をつけてね。初演は必ず見に来ます。」
というメールをトーダルに送っておいた。(たまには優しいことも書いておこう。)

 こんなにみんな必死に練習して(スポーツ選手のオリンピック前合宿みたい。)さあ、蓋を開けたらどうなるのか?
 ああ、本番が楽しみ!

 リハーサルの様子の画像はこちらのニュースサイトで見られます。

http://www.sb.by/article.php?articleID=60488


 「預言者」の公式サイト内画像でも見られます。

http://www.pro-rok.ru/3_1.php

(この画像の中をよーく探すと、トーダルも写っている。けど、すごく寒そうにブランコに乗ったりして、まるで舞台稽古をしていないように見える。そうかと思うとブランコの支柱にしがみついていたり、馬鹿なことをやっている。(^^;) アホなことを言っている彼の声が聞こえてきそうだよ。)

ミュージカル「預言者」② トーダル出演決定の経緯

2007年09月13日 | その他
 主演の「預言者」役のオレイニコフは、自分の代役が必要だと考えていた。
 今年60歳になるし、テレビ番組の収録などもある。しかも海外公演は7年もかかるのだ。
 しかし、主役の代役は非常に責任重大な役である。何せ自分の分身のような俳優を探さなくてはいけない。
 適役がなかなか見つからない中、オレイニコフは舞台監督のヤヌシュ・ユゼフォビッチ(ポーランド人)に相談した。
「預言者の代役ができるような人材を知らないかね。」
するとユゼフォビッチがあっさりと答えた。
「いるよ。最近ポーランドでも活躍しているベラルーシ人のミュージシャン、トーダルだ。」

 オレイニコフはトーダルのことは知らなかったが、ユゼフォビッチ監督の言葉を信じてトーダルに連絡した。
 オレイニコフの前に現れたトーダルは、
「あなたの代役は大役であって、責任が重く、自分は自信がない。」
と断った。
(こういうふうに一応断るのが、まあ、オレイニコフのような偉大な俳優に対するお世辞でもあるな。)

 オレイニコフはトーダルに、自分の歌を数曲歌うよう指示した。
(うわ~ テストしてる! しかも試験監督がオレイニコフで、生徒がトーダルという構図。想像しただけで、ぞくぞくする~)
 歌い終わったトーダルにオレイニコフは「出演するように。」と言ったそうな。

 かくしてトーダルの出演決定!!!
 すごいね~ トーダル君! 
 ユゼフォビッチ監督がトーダルのことを知っていて本当によかったよ。

 ちなみに契約の条件の中の一つに「喫煙しないこと」という事項があったのだが、出演を機会にトーダルは煙草を吸うのをやめてしまった。
(歌手なのに煙草吸うの、やめたらいいのに、とマーサは前から思っていたので、そういう意味でも、「預言者」出演決定は万々歳ですな。)
 
 しかし、オレイニコフの代役がトーダルというのは、かなり思い切った決断だったのでは? と思う。
 と言うのもこの2人、共通点が少ない。
 職業からしてオレイニコフは俳優、トーダルは歌手。
 音楽教育は受けていても、演劇についてはトーダルは学んだことがない。もちろんミュージカルに出たことなどない。
(ただしトーダルは過去に一度だけ演奏家の役で、ベラルーシ映画にちらっと出演したことがある。それから某プロモーションビデオで、猫の役をしたことがある。)
 ましてやオレイニコフのような大御所俳優の代わりをするのは、新人俳優にしたら、かなりのプレッシャーだろう。

 専門以外にも共通点がほとんどない。
 声一つ取っても、オレイニコフはハスキー。(悪く言えば「加齢によるかすれた声」)
 トーダルは正統派バリトン。
 年齢も・・・オレイニコフ60歳。トーダル36歳。
 全然違うではないか。本当にこの2人が同じ役をするんですか? とききたくなる。

 外見も全然ちがう。下にいちいち挙げてみたけど、みなさんどう思います?
 前者はオレイニコフで、後者はトーダルです。
(身長)<けっこう上背がある> <はっきり言って低い> 
(顔型)<丸い> <長い>
(髪型)<てっぺんがはげかかっている> <まだふさふさしている> 
(目)<小さくて黒い> <大きくて青い>
(眉毛)<どちらかと言うと下がり眉> <うねってる。これで色が濃かったら、巨人の星>
(鼻)<大きい> <細い>
(口)<ひげに隠れていて目立たない> <非常に目立つ>

 共通しているのは性別が男だっていうことと、鼻の先が割れてることぐらいではないか? 
 いろいろ細かく書いたけど、この2人の画像を一度に見られるサイトがあるので、興味がある人はどうぞ。

http://www.news.by/505/2007-05-24/32610/


 このサイトの画像、トーダルはカメラマンに頼まれて
「俺が預言者だあああ~~~~っ!!!」
と叫んでるポーズをしてますね。(しかし着ている服が思いっきり普段着。それと首から変な具合にぶら下がっているのはサングラス。)

 う~ん、どうなるのだろう、この異色ダブルキャスト。
 オレイニコフさんの場合は王様のような預言者になり、トーダルの場合は悪魔のような預言者になりそう。

 ところで、トーダルのほかにもオーディションを通さず、オレイニコフじきじきのご指名で、出演が決まったベラルーシ人歌手がいる。
 それはヤドビガ・パプラフスカヤとアレクサンドル・チハノビッチ。
 この2人はベラルーシだけではなくロシアでも有名な夫婦デュオ。
 チハノビッチは普通に歌が上手だと思うけど、ヤドビガはすばらしい歌手。声がとってもきれい。歌手には珍しく眼鏡をかけているのもかわいい。
(自慢にはならないが、マーサはヤドビガのサインを持っている。)
 いっしょに歌い始めて35年というまさにベラルーシ音楽界のおしどり夫婦ですね。
 この2人は「預言者」では1曲歌うだけなのだが、オレイニコフが早い時期に出演を頼んだそうだ。
 
 何にせよ、オレイニコフのご指名なんて名誉なことです。

ミュージカル「預言者」① まずは紹介

2007年09月12日 | その他
 ミュージカル「預言者」についてカテゴリーを「トーダル」にするかどうか迷ったけれど、ベラルーシ語の音楽ではないので、「その他」のカテゴリーに入れることにしました。
 「預言者(PROROK)」はロシアとベラルーシとポーランドの合作ミュージカル。
 2007年8月30日にプレミアム上演が、モスクワでもなく、ポーランドでもなく、ミンスクで(光栄なこっちゃ。)行われ、見に行ってきました。
 詳しい感想は後で書くけど、いやはや~~~
 すごいものを見てしまいましたね。
 こんな「強烈」なミュージカル、もう一生見ることないんじゃないかと思いましたよ。
 何でもこれから7年かけて世界中を公演し、日本にも来る予定だそうなので、ご紹介します。
 預言者のオフィシャルサイトはこちら。(ただし今のところロシア語のみ。)

http://www.pro-rok.ru/index2.php


 さて、どうして3カ国合作なのかというと・・・
 まず、この作品についてそもそも、誰が思いついたかというと、ロシアの有名な俳優、イリヤ・オレイニコフが2006年のある日、
「夢に見た。」
ということで、音楽を作曲。
 ロシアに住んでいたことがあるという人なら日本人でも、きっと見たことあるでしょう、「ゴラドーク」というお笑い番組。
 あの番組に出ている二人の俳優のうちの、ヒゲのはえているほうです。と説明したら、
「ああ、あの人か。」
とすぐに分かった人もいるのでは? とにかく有名な俳優です。

 で、オレイニコフは
「どうしてもこの作品をミュージカルにして、自分が主演をして世界中で上演したい。」
ということで、最近お金持ち(ただし一部の階層)になってきたロシアでスポンサーを集め、有名なポーランド人ミュージカル監督に演出を依頼し、ロシアとベラルーシとポーランドの3カ国から、出演者を募ることにした。
 出演者の数からしてすごい。
 ボーカリストだけで23人。
 ダンサーは27人。
 体操や曲芸などを担当する者は8人。
 合計58人。裏方は約60人。
 舞台装置の総重量は12トン。520平方メートルのステージ面積を使用し、巨大スクリーンも3面も使う。
 制作費500万ドル・・・。
  
 とにかくお金かけてるなあ、ロシアの経済状態がよい(ただし格差社会でもある。)のだな、と思いましたよ。
 文化、と一言で言ってもその中身はいろいろありまして。
 お金がかからなくても「すばらしく」「多様で」「誇ることができ」「進化し続ける」文化というものがある。(例・日本の折り紙。)
 しかし、悔しいけど、やっぱりお金がないと創造できないものもある。このミュージカルなどがそのいい例で、莫大なお金と時間と労力と神経を消費してやっとできた作品だと言わざるをえない。

 というわけで鳴り物入りで始まった超特大ミュージカル「預言者」。
 それでも、オレイニコフさんには悪いが、これにトーダルが出演しなかったら、マーサは見に行かなかったと思うよ。
 そうです、トーダル君がこの58人の出演者のうちの1人なのです!
 しかも、主役なのです!!!
 ただし、ダブルキャストのうちの1人なのです。
 すごいじゃないか、トーダル!!! あのオレイニコフの代役ですよ~
 やはり君こそスターだ! 世界に輝け!

 しかし、トーダルの話は後回しにする。(^^;)
 トーダル以外にもたくさんベラルーシ人の歌手やダンサーが出演している。国別で分けると、3カ国のうち、ベラルーシ人が一番多い。
 その理由についてオレイニコフは
「ベラルーシには才能のあるアーティストが多い。それなのにギャラはロシアに比べて少なくていい。」
と説明している。
 それって褒められているのか、けなされているのか・・・。

 2007年2月、オレイニコフはベラルーシ人の出演者を求めて、共和国会館(コンサートホール)を借り切って、オーディションを行った。
 そりゃもう、「我こそは。」と思った歌手やダンサーがどっと押し寄せたのでございます。
 ギャラはいいし、歴史に残るであろう作品に出たことになるし、海外公演にも行けるし、もしかするとこれをきっかけに世界的スターになれるかもしれないじゃん。
 ・・・と皆さん思われたようです。
 ベラルーシ映画「スルーツク公妃アナスタシヤ」で主役だったスベトラーナ・ゼレンコフスカヤまで受けに来たんだから、普通のオーディションではない。
 彼女は合格したが、その役は「娼婦」だった。そしてその後どういうわけか、降板している。
 やはり若手歌手のアレクセイ・フレストフもオーディションを受けて合格し、準主役である「老人」の青年時代を演じることになったが、やはりその後どういうわけか、降板している。
(どうしたんだろう、2人とも。)

 そんなに有名でなくても、ベラルーシ人の俳優やダンサーたちがオーディションを受け、合格した。中にはこのミュージカルに出るため所属劇団をやめてしまった人もいる。

 トーダルはこのオーディションには行かなかった。彼は基本的にベラルーシ語歌手で、3カ国合作とはいえ、ロシア語で上演されるミュージカルには関心はあっても、自分が出ようとは全く思っていなかったらしい。
 それがどうして出演することになったのか。しかも大役である。