最近、私はどこに行っても「日本に帰ったら、日本にシリコンバレーを作る仕事をする」と言っている。
私が余りに熱く語るものだから、ほとんどの人の反応は「すごい。それは面白い!」なのだが、
中には「そんなことしてどうなるの?」「何それ、起業家の楽園を作るとかそういう意味?」という懐疑的な反応もある。
だからそろそろ、私の立ち位置を明らかにしておいた方がいいかと思い、ブログに書くことにした。
私が「日本にシリコンバレーを作る」と言うとき、その意味は、
シリコンバレーのように、起業家、経営のプロ、資本、技術、人材が有機的に結びついている。
だから優秀な人が起業しやすく、必要に応じて人材・技術・資本を補給しながら成長しやすい環境。
ということ。
以前のブログ記事でも何度も書いてきているように(代表例)、シリコンバレーやボストンのような起業家の街にはこの環境がある。
だから、起業家がどんどん生まれ、しかも成功すべきものがちゃんと成功する。
でも日本には無い。
だから作る、ということ。(もっともそれを作るのは一筋縄ではいかない→考察例)
何故そんなものが日本に必要なのか?
私は、それが日本の更なる経済成長に必要不可欠だと思っているからだ。
国が経済成長を続けるには、マクロ経済的には(労働)人口が増える、一人当たり生産性が増える、の二つが鍵だ。
しかし、全く違う方向-産業史から見ると、ある程度の経済成長を遂げた国が更に大きく発展するには、新しい産業が次々に生まれて、大きくなる、というのが不可欠だと私は思うのだ。(仮説)
新しい産業が生まれることが、人口が増え(移民とかで)、生産性が向上する要因になると思っている。
そして、そのような新しい産業を生むのは常に、既存産業と技術を守ろうとする大企業ではなく、ベンチャーなのである。
だから起業家が次々と出て、GoogleやYahoo!のように大きく成長し、次の産業の波を牽引するくらいじゃないと、日本のような成熟した国が更に成長するのは不可能に思うのである。
アメリカを見てみよう。
この国は1960年代までは「ものづくり」の国だった。
鉄鋼、造船、そして自動車、機械、電機といった製造業が、
企業名で言うと、US Steel、GM、フォード、GE、RCA、IBM、モトローラといった企業が、
1960年代までのアメリカの経済成長を支えてきたのだ。
ところが昨日のGapminderの分析で書いたように、1960年代終わり頃から元気な日本の新興企業に押されたりして、アメリカの「ものづくり」は凋落し、低成長時代へ突入する。
その後、マイクロソフトやシスコ、サン・マイクロシステムズ、グーグル、フェースブックなどのベンチャー企業が次々に生まれ成長することで、新しい産業が生まれた。
それらに追いやられた、旧技術に属していた多くの企業-たとえばIBMやAT&T-が、IT方面へと鞍替えすることで、大きく世界でのシェアを伸ばし、経済発展に貢献した。
もちろん、今でも米国のGDPの多くを占めるのは、農業と製造業である。
製造業はアメリカが経済成長を続けるために今でも重要な役割を果たしているし、大企業の役割も大きい。
IBMやAT&T、GMのような大企業と、それを支える沢山の製造業の中小企業群が無ければ、多くの人が失業し、アメリカの経済は停滞するだろう。
しかし、IBMやAT&Tは経済を支えてはいるが、自ら新しい産業を生み出しているのではないのだ。
あくまでベンチャー企業のマイクロソフトやサンやシスコが、IT産業と言う新しい分野を牽引したから、
IBMやAT&Tのような大企業が、変革せざるを得ない状況になったのだ。
言ってみれば、ベンチャー企業が、新しい産業を産み、牽引しているのである。
そしてそれが生まれたのはシリコンバレーのような環境なのだ。
例えてみれば、ベンチャー企業というのは料理におけるスパイスのようなものだ。
御飯や具材などの中身(旧産業に属する大企業や中小企業)が、国全体を支えているが、
ベンチャー企業がぴりりと大きな産業を刺激してくれないと、これらの企業は変革できないのだ。
今、シリコンバレーやボストンではITに加え、バイオテクノロジー、新エネルギー分野のベンチャー企業が盛んに生まれている。
それらは今後、製薬業界を変え、石油・電力などのエネルギー業界や自動車業界を大きく揺るがし、変えていくだろう。
その刺激によって、経済を支える沢山の大中小の企業が、塗り替えられたり、変革を余儀なくされたりして、国全体が成長していくのだ。
だから、私は日本にもシリコンバレーが必要だと思う。
日本の経済を支える、製造業とそれらを担う大企業を変革し、成長させるのも大切だ。
技術を持ち、一番優秀な人材を有しているのは、日本では今でもこれら製造業にいる企業たちだ。
それを変革させないと日本は立ち行かなくなる。
だから、私はコンサルタントなんて仕事を職業に選んでいる。
(ちなみにバリューチェーンの下流にいる大企業が変革すれば、それらと取引してる日本の多くの中小企業たちは変革を余儀なくされる)
しかしながら、上に書いたように次々にスタートアップが生まれ、新しい産業を作って、大企業を脅かすくらい成長してくれないと、これらの大企業は変わってくれないのだ。
うなぎとごはんだけじゃうな丼は美味しくならない。山椒が必要なのだ。
だから、私は日本にシリコンバレーを作ろう、と真面目に思っている(註1)。
停滞している日本の経済成長の「山椒」として絶対に必要だと思うから。
註1: 今考えてるのは二つ。
日本の問題をちゃんと分析して、どうすれば起業家が成長しやすい環境を作れるか模索すること。
下記のブログエントリのような分析をちゃんとやるということだ。
これは会社に帰ってから、机の下(Under the desk)でやりつつ会社のプロジェクトに仕立てようと思っている。
だから具体的な提案とか、議論の相手とか、情報提供とか、大歓迎です。
日本や欧州にシリコンバレーが出来ない理由とその対策 (1/2) -My Life in MIT Sloan
日本や欧州にシリコンバレーが出来ない理由とその対策 (2/2) -My Life in MIT Sloan
学者のように論じてばかりでは何も起こらないので、自分が出来ることは同時に草の根でやっていこうと思っている。
技術と経営をつないで起業しやすくする場を、日本に作る-My Life in MIT Sloan
その他関連記事
一流企業の正社員も流動化できる社会へ-My Life in MIT Sloan
どんだけマッチョじゃないと起業できないんだ、日本は- My Life in MIT Sloan
リンク先のポールグレアムの記事のとおり、シリコンバレー及びアメリカの文化、環境はなにもかもwebサービスに向いているように見え、残念ながら日本の文化、環境は全く向いていません。日本にシリコンバレーを作るというのは大変困難だと思います。
webサービスには国境はあまりありません。シリコンバレーで優れたサービスが生まれればアメリカ以外の国民もその恩恵を預かれます。だから、世界中の優れた頭脳がここに集まり、ここで優れたサービスを生み出せば良いと思います。もちろん日本経済が活性化され日本国民が豊かになって欲しいのですが、シリコンバレーは日本に生まれないだろうし、その必要もないと考えています。
私はLA郊外で駐在員の経験があります。20年前の湾岸戦争の時でした。その後もたびたび西海岸へ出張しました。ベイエリア(シリコンバレー)を訪れるたびに何故日本でこれができないのか不思議です。
私は石川県金沢市に住んでおり、今日も石川県庁の方に北陸ベイエリア(勝手に名前を付けています)構想の話をしてきました。
ベンチャーの意義、社会にもたらす影響を話をしたのですが、なかなか行政の反応は個々の企業や、業界の支援が強く、全体像を語っても反応が鈍いものがあります。これは担当者の問題と言うより、行政の限界なのかもしれません。
近く東京から出向されているキャリアの方と話をするのですが、一個人の力では限界を感じています。
そしてこの種の話をすると必ず勧められるのが、「増田さん。この構想を旗印にまず県会議員選挙に出てください!このような話をできる人はいません」というものです。
現在は企業に属している会社員ですが、「この夢」実現に向けて「やってやるか!」という気にもなります。
議員という肩書がすべてではないでしょうが、行政を「突破」するという点ではワープできる手段だとも考えてきました。
もちろん議員であれば、教育や介護など身近で起きたテーマにも取り組みたいと思っています。
私は「ベンチャーを起こすのに北陸すなわち石川・富山・福井が最適だ」。東京や更には成田経由での海外へのアクセスも良く、物価も東京よりはるかに安い。教育機関も比較的充実しています。そして気候も穏やか、海洋資源や観光資源も豊かなこの地で真剣に考えています。
皆様からの様々なアドバイスを頂ければこの上ない幸せです。
よろしくお願いします。
今回の記事エントリーで強く共感したと同時に、もしかしたら何時かどこかで Liliacさんのお手伝いを少しばかり出来そうと思いました。
現在、私は税制を勉強しています。何時かそれに関連した仕事につき、起業支援をしたいと考えています。
日本は技術的な部分は進んでいるのですが、
事務的や法的な部分についての支援体制はまだまだ貧弱だと思います。
何時か、私はその分野から日本経済のお手伝いをしたいと思っています。
日本の中小企業ですが、驚くほどに利益よりも純粋に技術を高めたいと言う職人肌の社長さんや、消費者の為にと言うただひたすらな姿勢の人が多く、
ビジネスとしての法知識や事務的な分野に疎い人が多いように思えます。
これらの下支えを何時かして行きたいと思います。
rinnatu0164*yahoo.co.jp
個人的に、このテーマに興味があります。
ボランティアで何かお手伝いできることがあれば、(ブログ記事上などで)教えていただけませんか?
>てっきりご自身でビジネスを起こされるのかと思いましたが
最終的にはそのつもりですが、まだ完全に解決策がまとまっていない今は、ファームのリソースを活用した方が良いと思ってます。
下にも書いたように、そのことがお互いのためになるはずですから。
>給与の高さとブランドを手放すことが出来なくなり、そのまま動けなくなってしまう方も大勢存じあげておりますので
私もそういう方を沢山見てきました(笑)。
見ていると本人の問題、というよりは、奥さん・子供もいるので守りに入らざるを得ない方が多いのが事実な気がします。
子供を私立の小学校なんかに入れてしまったら、リスクを取れなくなってしまいますし、奥さんが生活レベルを下げるのが絶対にイヤだ、という方だったらどうしようもないのだろうなと。
まあそういう道を選んだ本人の問題、と言えば層なのかもしれないですが・・。
>ファームのブランドをとっぱらった状態で
実はファームのブランドというもの自体が毀損しはじめており、昔のようには行かないだろうと私は思っています。
そのうち書きたいと思って、書けていないですが、コンサルティングファームはもう成熟産業で、典型的なイノベーションのジレンマに陥ってます。
自らをこのブランドと確立したビジネスモデルから開放していかないと、恐らく10年後にはどうしようもなくなるでしょう。
コンサルに勤めてる人で、そういう危機意識を持ってる私のような人はまだ少ないと思いますが。
自分がタイタニックの旗頭に立って変えていくか、或いはまだブランドが残っているうちに外に出て行くか、どちらかだろうなと私は思っています。
私の目的は、日本の産業を活性化するために面白いことが仕掛けられることですが、それが恐らく上の二つのどちらにも役に立つのでしょう。
お互いに利用しあえた上で、私は私でやりたいことが出来るなら、それでも良いとわたしは思っています。
私のようなことを言って実行に持っていける人が増えないと、コンサルなんて業種は恐らく毀損するか、滅亡するでしょうから。
てっきりご自身でビジネスを起こされるのかと思いましたが、そうではないんですね。
(いまの日本企業の現状では、日本企業に入るという選択肢はあまりないと思いますけどね)
会社に学費を負担してもらっている限りは当面はやむを得ないですね。
やはり三木谷さんのような道を選ぶのはよほどパワーがないと難しいですね。(とはいえ彼の場合は留学費用は会社持ちで、かつ返還もされていなかった?ように思いますが 笑)
投資回収後の道を見据えていらっしゃるのであれば良いのですが、給与の高さとブランドを手放すことが出来なくなり、そのまま動けなくなってしまう方も大勢存じあげておりますので、ぜひ高いビジョンを見失うことなく邁進していただきたいと思います。
(Lilacさんがお勤めのファームや私のいたファームのプリンシパル、VPクラス以上でそういう方を何人も存じあげておりますので。。。笑)
私もコンサルだった頃は、多くのお客様からご契約をいただいておりましたが、ファームのブランドをとっぱらった状態で、自身の力によってビジネスを推進するのはかなり厳しい道です。
日本にシリコンバレーを作る。私は大いに賛同します。
「日本や欧州にシリコンバレーが出来ない理由とその対策 」も読ませて頂いきました。
そこで、私は提案します。「日本人学生の海外留学義務化」っていうのはどうですか。(徐々にでも)
ブログを読んでて、「移民に寛容であること×」や「人を解雇できること×」なんかは、この国の中でどうすべきか考えるよりも
日本人が海外でそういった習慣があることを知る(体感する)ことが効果的だと思います。
シリコンバレーを創ることは、日本の経済成長、ひいては日本国民が幸せに暮らせる為だと思ってます。
これを底辺(中高生)から変えていくっていうのはどうでしょうか。
例えば、中等教育学校であれば留学のカリキュラムを組み入れやすいと思います。
立場や価値観などによって色々考え方があると思いますが、「出来る」というものも「難しい」というものも、どのご意見も大変勉強になります。
そして色んな情報を下さった皆様、有難うございました。
本来は一つ一つお答えしたいな、と思うのですが、それはすごく時間がかかってしまうので、私の立ち位置だけ明らかにするコメントだけ手短に返します。
■ 「シリコンバレーを作る」とはアメリカの真似をすることではない
「シリコンバレーを作る」というのは、一番最初に定義しているように、起業家を支援するネットワーク環境を作るという意味であって、アメリカの真似をしろと言っているのではありません。
ただし、真似して解決するなら別に真似すりゃいいじゃん、と思っています。
実際には、まず日本の問題をきちんと掘り下げて、何が、シリコンバレーのように起業家が沢山出てこない真の原因なのかを探る必要があります。
もしかしたら真の原因は、移民が余り入って来れないことかもしれないのです(米国の起業家の43%は移民一世だといわれています)
それをやらないで、解決方法だけを表層的に真似しても、問題は解決しないことがほとんどです。
■ 特定の場所を中心にすべきものかどうかはまだ分かりません
シリコンバレーは、西海岸のある一定の地域を中心とした地域ですが、こういう起業家のためのネットワークが本当に地域に根ざすべきものなのか同かも分かりません。
もしかしたらネット上を中心に作るべきコミュニティかもしれないし、それに複数の地域が付随するものかもしれません。
人と人との直接のコミュニケーションは大切なので、地理的なものは関係はしてきますが、この今の時代にどこまでそれが本質的なのかは、もう少し調べる必要があります
■ 既存の産業クラスターともかなり違います
一つの場所に色んな企業を集める、というコンセプトは似ていますが、ハコだけ作っても解決しないと思っています。
ハコの中には、ネットワーキングを促進していく複数のリーダーや、技術の目利き、経営のプロなどが存在している必要があります。
また、それを促進するような仕組みも重要です。
こういうもの全体を作っていき、最終的に起業家が自然と支援されるような文化や価値観に落としていくことが大切なわけです。
■ 私は今は一応コンサルに戻るつもり
@Robertoさん
>MBAを卒業された方が「実行者」として積極的に市場を変革する仕事に携わって行こうとされるのは嬉しい限りです。
どうしてもBSを出ると、IBや外資ファームなどに戻る(移る)という「安全な道」「手っ取り早く投資を回収する道」を選んでしまう方が多いのを残念に思っていました。
有難うございます。しかし、私も一度ファームに戻りますよ。
一応学費だけは会社に全額出してもらってる身ですし。
帰らなかったら、それすぐに返さないといけませんからね。
MBAは高いですから、給与の高い外資に行くなど、何らかの形で投資回収しないと、日本で個人がリスク取るのはあまりに危険ですよ。
アメリカに残って仕事するなら別ですが。
そして多くの場合、投資回収以上に日本企業では学べないことも沢山学べます。
MBAに行った人がこういう選択をするのは、私は自然だと思っています。
問題は投資回収した後の行動ですね。
私のいるファームは、「シリコンバレーをつくる」なんことが出来る人材を育てることが、ファーム自身を成長させることにつながるということを良く分かっているので、恐らく私がUnder the deskでやっていても支援してくれることでしょう。
そして、世界で最も優秀な人たちが集まっているといわれているこのファームの環境を出来るだけ活用したいです。
そういう会社にいられるのは、本当に有難いと思ってますし、こういう機会はどこまでも活用したいと思っています。
http://blog.livedoor.jp/bijoux_iris/archives/51452665.html
多くの国が表現規制をかけたが、日本だけしなかったことがアニメの成功要因と言われています。
そのシリコンバレーも小さな積み重ねによる自然発生です。
ヒューレット・パッカードが設立されてから70年も経っているのに、米国の西海岸だけで発展した特殊なコミュニティを真似しようとするのはかなり無理があります。
日本が米国にはなれず、米国は日本になれないということです。
Amazon.co.jpでシリコンバレーに関する本を日本語で検索すると、やっと90年代に入ってから注目されていることが分かると思います。
Amazon.comでsilicon valleyと検索すると山のように多くの書籍がありますよ。
どんなに優秀でも志の低い人間は大成できません。
大きな志を持てば自然にそれに同調する優秀な人たちが集まってきます。
日本にシリコンバレーを作りたいという素晴らしいビジョンもきっと志士を引き寄せるでしょう。
シリコンバレーという土地はアメリカの中でも別格で、ゴールドラッシュ以来の文化的遺伝子みたいなものが存在していますね。
日本でもシリコンバレーに習えとばかりにそういった目的の地方自治体の振興など大小の推進策が存在します。
福岡のゲーム産業や北海道ITイノベーション戦略、大垣のIT戦略、シリコンバレーほど大仰なものでなくITトキワ荘みたいな小さなものも誕生しています。
しかしまだ世界的に影響を与えるものではない。
http://www.bloomberg.co.jp/apps/news?pid=90003001&sid=aszmvc_e_5.Y&refer=commentary
世界に大きな影響を与えるように、日本の次の基幹産業となるようにはまだまだいくつかの点が足りません。
◆シリコンバレーのように次々とベンチャーが生まれる土壌とは何だろうか?
・大学や研究機関の近く
斬新なアイデアでイノベーションを起こすにはやはり柔軟な頭を持つ若くて優秀な人材が必要です。そのためには若い学生たちと交流出来る大学などの近くの立地が有利でしょう。
・多国籍で優秀な人材が集まる場所
日本自体に多国籍で優秀な人材が集まる場所が殆どないのが問題です。新潟国際大学のような国際的な大学をもっと増やす必要があります。
・東京以外
東京は何でもありすぎて恵まれています。優秀なエンジニアも一番多いでしょう。しかし東京はあまりにも一極集中しすぎて大企業の影響などノイズが多い。
最新情報には常にリーチしておかなければなりませんが、パイオニア精神を醸成するには欲しいものは自分で作るという習慣も必要です。
・人材を結びつける流動性と環境
ベンチャーを醸成する大きな条件として、技術、経営、金融があります。
日本にはエンジニアとして優秀な人材はまだ多くいると思うのですが、世界を相手に出来る経営者と、可能性を見抜く目を持ちリスクを取る金融の分野がものすごく弱い。
経営のやマーケティングのプロがベンチャーの社長となるような環境が欲しい。ここをどうにかしないと、せっかくの技術があっても大きく育ちません。
http://agora-web.jp/archives/914554.html
Lilacさんにはシリコンバレー風土の祖となった日本のStanford夫妻(女性だからJane Stanford方でしょうか?)のように日本からentrepreneurshipを生み出す礎を築いて欲しいです。
1980年代は、ジャパン・アズ・ナンバーワンと言われ、米国は、日本を見習うべきだと言われていたのですが、シリコンバレーがどんどん発展していったのは、この時期じゃないでしょうか。
新卒採用と終身雇用制に日本企業の特徴と言われており、日本の大学もこの影響を受けていると思われます。
ここに生態系がすでにあるのかもしれません。。。。
ガラパゴス化が問題になっているのは、以前はうまくいっていた海外展開がうまくいってないケースが増えていることが深刻なんだと思います。
日本企業が元気を取り戻す時は、今の元気そうな?米国の影響を受けつつ、かなり独特の現象になるはずです。
日本でも草の根活動をしている起業があるのですが、もっと起業する方が大企業から出てくると言いのですが。
日本のシリコンバレーは、当然アメリカのそれとは違うと思いますが、世界の最先端を感じられる場であれば最高ですね。
日本の中は、閉塞感に包まれているなかで一筋の希望を感じます。
そんなエキサイティングなことがあれば、中にいたいと思います。
米国で第2のシリコンバレーを作ろうとしてもすべて失敗しているんですよね・・
日本の場合は国の成長率が20年近く低いから、起業率の低さが問題にされていると思うのですけれど、起業率が高かったのは、戦後直後ぐらいじゃないでしょうか。
今は大企業がある程度、経済を支えているので、国が大企業に不利でベンチャーに有利な政策をとるとは思えません。
起業率が低くてもベンチャーが大企業になっていますし、中小企業も多い。
記事を読んでいくと、日本にシリコンバレーが生まれるのは難しいという結論の方が妥当だと思います・・・・
これまでの経験だと、かなり難しいです。理由は一言では語り尽くせませんが、色々な要因が重なっていると思います。一方で、ここまで国内の状況が悲惨になってくるとさすがにみんな気づくのではないかと一抹の期待も持っています。
最近は、シリコンバレーの力をうまく借りて何とかできないかと模索しています。
余談ですが、10年程前に世界中で「シリコンバレーを作ろう」という動きがありました。もちろん日本でも。このときは、結果的に「シリコンバレーは世界で一つ。真似できるものではない。」という結論に落ち着いたと解釈しています。
ベンチャー企業を増やそうというのは今の日本でも言われています。
しかし、そのためにすることとして挙げられていることについては、今の日本では流行っていません。
今の日本では、アメリカ発の金融危機以降から、アメリカ的な自由主義はだめだということになっているからです。
でもとりあえず、個人的には今の日本に蔓延っている新卒至上主義を無くすところから始めるべきだと思います。
新卒至上主義が無くなれば、例えベンチャ―企業の経営に失敗しても、すぐに就職できる可能性が大きくなり、リスクをその分減らせると思うからです。
そして、リスクが減れば、ベンチャーに一度、挑戦してみようと思う人たちも増えて来るかもしれませんしね。
日本で思い起こすのは発明対価に対する東芝と東北大学教授の舛田富士雄さんとの間に起こったフラッシュメモリー訴訟や中村修二さんと日亜化学との間に起こった青色LEDに関した訴訟です。
発明や起業に情熱を燃やす人たちも、生活の安定を求めないわけではないでしょうから、やみくもに日本版シリコンバレーに参加するには躊躇がないわけではないと思いますが、このへんはLilac さんの指摘する人材というか労働力の流動の日米の違いがありますね。
2008年にノーベル賞をもらったアメリカ在住の下村さんなどは日本にいては芽が出なかったでしょう。彼は東大や京大などの有名大学出身でなかったし…。
私は長くアメリカの報道機関におりましたが、そこで見たアメリカ社会のおおらかさは見習うべきものがありました。たとえば朝日新聞など誤字はまったくないといってもよいと思いますが、アメリカの新聞ではNew York Times ですら誤字があったりするのですよ。今はコンピュータがスペルチェックしてくれますからもうないかもしれませんが。彼らはあまり気にしないようでした。 またある若いアメリカ人のeditor はアメリカの新聞社をわたりあるいて順調に出世してました。彼の履歴の中には海外でのボランテアの経験が書かれており、それが評価されるのですね。そのためジャーナリズムから数年はなれてたわけですが、それが彼のキャリアのマイナス材料にはならないどころか評価されるのですね。
やはり文化の違いはおおきいなと感じます。
ベンチャー企業でプログラマーとして働いています。
日本にシリコンバレーを作るということですが、書いてある内容が凄く産業政策よりだと感じました。
Lilacさんが書いた
>>技術を持ち、一番優秀な人材を有しているのは、製造業
ならば、彼らが、ベンチャーで働きたいと、どうやったら思うでしょうか?
昔、ハッカーの働きたい職場と言うエントリーを書いたことがあります。
http://mono-oki.net/~shiba00/pukiwiki/index.php?%C6%FC%B5%AD%2F2005-10-08%2F%A5%CF%A5%C3%A5%AB%A1%BC%A4%CE%C6%AF%A4%AD%A4%BF%A4%A4%BF%A6%BE%EC
その中であげたのは、
1),スカンクワークを推奨する
2),プログラマー募集の文面に、Ruby/Python/Lispなどの文言は含まれている。
3),(プログラミング)言語選択の自由がある
4),半ズボンをはいて会社に行っても怒らない。
5),社長がGeek,或いはGeek的な素養を持っている。
6),社長或いは経営幹部が、Blogを書いており、書いていることに賛同できる。
と言う条件でした。私がベンチャーを選んだのは、そちらの方が自由である(半ズボンをはいて会社に行っても怒られない)からです。
ポールグレアムが、ハッカーに人気があるのは、彼が優れた経営者である前に優れたハッカーだからだ(学術プログラム言語だと思われていたLispで商業プロダクト作を作るなんて)。
Lilacさんには、もう少しエンジニアの生態を知って欲しいとは思う。
日本で優秀なエンジニアを探したければ、
LL Tiger
とか、
Make Tokyo Meeting
に行って見ることをお勧めします。
日本全体として、次世代の産業を育成したいと言う思いは分かるのですが、エンジニアが、どうしてベンチャーを「選びたい」と思うのかと言う視点が欲しいなと感じました。
founder は別としても、全ての従業員に "夢があるから手弁当で" みたいに自己犠牲を強いる形態になってしまうと、結局日本的零細企業の一形態になってしますので、是非そうならないようにしていってください!
私はこれといった技術は持っていませんが、企業にはあこがれがありますし、やってみたいと思っています(でも実際にはしり込みしてますが)。
優秀な人がリスクを取ってそれだけのリターンがあるのか。法人税が高い日本で起業するメリットはあるのか?ブラジルでも南アフリカでもどこでも良いわけですから。
シリコンバレーとは高度な技術を持って起業することで理解していますが良いでしょうか?
この場合、革新的なコア技術を持っていても、ガチガチに固められた法律では簡単に実現しない場合があります(例えば、新薬の臨床試験の長さにはびっくりします)。
このように日本では、政策・法律の観点から、起業しやすい、あるいは新技術を導入しやすい法律に見直さなければ、シリコンバレーにはならないのではないかと思います。
社会科学の分野で日本は遅れすぎているのではないでしょうか?日本にシリコンバレーを作る場合、政治家や法律家も巻き込むべきだと思います。
ですけど、asktakaさんも書かれているように第1次産業や第2次産業のGDPの寄与は思っているよりも少ないです。
ベンチャーを育てるといってもハイテクなんでしょうか。
日本にも、昭和なら主婦の店ダイエーやら最近ならユニクロやらといったサービス産業の中のベンチャーの歴史があると思います。それから江副リクルートの遺伝子というのもありますし。
第3次産業に新興企業が現れ、それにより生産性が向上することが日本経済のためになるんじゃないでしょうか。
以前、起業の話でお弁当屋さんの話がでていましたが、案外そういうところでベンチャーがでてくるか、というのが本質なのかもしれません。
転職支援などの人材の流動化というのもありますし、後は不動産周りかな。日本の新築偏重は国際的にもみても随分と偏っているはず。建築とか不動産は規制も多いし、いびつな市場になっている可能性が高い。
そういう点じゃ、やはり江副リクルートの功績は大きいのでしょうが、まだ、足りない気がしますね。
ただ、Lilacさんぐらいのレベルになったら、日本という枠組みにとらわれず、世界のイノベーションのためにも活躍してもらいたい、とも思います。
日本にシリコンばれをという趣旨には大賛成です。しかしながら、
>もちろん、今でも米国のGDPの多くを占めるのは、農業と製造業である。
上記の記述は事実ではないと思います。米国はGDPに占める第3次産業のウエートが7割台で世界で最もサービス経済化が進んだ国です。従って、第1次産業及び第2次産業の合計は3割にも達しません。製造業の影響力については否定しませんが。
日本も含めて先進諸国においてGDPに占める製造業のウエートはせいぜい3割前後で、それだけ付加価値が低下しているともいえます。製造業のサービス化が進展しているのもモノづくりの付加価値が低下している結果である点に留意する必要があると思います。製造業での起業も、高付加価値で差別化できる分野となると有望な分野は限られてくるでしょうね。
MBAを卒業された方が「実行者」として積極的に市場を変革する仕事に携わって行こうとされるのは嬉しい限りです。
どうしてもBSを出ると、IBや外資ファームなどに戻る(移る)という「安全な道」「手っ取り早く投資を回収する道」を選んでしまう方が多いのを残念に思っていました。
私もIB、某外資ファームなどを経由して、今はとあるファンドの役員を努めていますが、できれば日本の労働市場(起業環境)の変革を実現したいと考えています。
なかなか難しく、気合ばかりが先行してしまっていますが(笑)
応援しておりますので、頑張ってください。
是非、そのような環境ができるように助力できたらいいなと思います。そのためには自分もスキルアップをしないといけないなと思うのでがんばっていろいろなことを勉強します。
現在、企業でプログラマーをしていますが、Lilacさんの夢と同じ夢を見たいと純粋に思いました。
私も協力したいです。
今、出来ることは何があるか考えます。
アドバイスなどあれば是非。
日本はもうダメだしかないネガティブ・ブログが多い中、こうした明確に方向性を打ち出すエントリがあると本当に嬉しいです。
今回のLilacさんのエントリを読んで私にも目標が生まれました。
私も現在欧州のMBA(とてもLilacさんとは比べものにならないレベルですが)を目指して勉強中ですが、もしお役に立てる日が来たら是非お手伝いさせて下さいw
現在人材の海外流出が増えていて、自分も将来的には海外に行こうと考えてました。でもこの記事見て感じたのは、自分の力じゃ変えられないから海外に行くってやっぱり悲しいってこと。日本は好きですし、大切な友達、家族もいる。海外にいく前に頑張られる範囲で日本を変えることを私も考えてみよう、今はそう思います。将来は日本のシリコンバレーで働くぞーw
結構たくさん交流会とか勉強会とかはいろんなところでもありますし、ビジネスプランコンテストなんかも東京・大阪でありますし、大学でもあります。これだけじゃ足りないってことですもんね。
ヒト・モノ・カネ・情報で考えると、若いころに一番足りないのってヒトのような気がするんですよね。大学と社会がもう少し緊密に連携できるような状況があってもいいかと思ったりします。
しかし面白いですね、日本にシリコンバレーかぁ…かっちょいいです♪
先端技術大学院大学など結構おもしろいことやっているところがあるので技術的には環境は整いつつある。。。知財はお金と同じで、使わなければ意味がない。。。特許をとると法外なロイヤリティ収入で楽してもうけようとする人が多いが、そうしてしまうとせっかくのすばらしい特許も社会に普及しなくなってしまう。技術を普及させて社会に貢献するという視点も大事だと思う。
ビルゲイツはおもしろいことやっているよ。Lilacさんにはおすすめです。。。
http://www.intellectualventures.com/Home.aspx
日本は独自の文化や国民性が強くありますので、どのようにLilacさんがビジョンを達成されるのか非常に興味があります。応援しています。
興味深くエントリーを読みました.
自分の技術で起業するのが目標です.しかし,研究開発部分のコア以外では起業への傷害(ノウハウやネットワークが少ない)が大きく,各方面の専門家と有機的に協業できるプラットホームが欲しいと思っていました.
アメリカの大学に籍を移し(これまた大変難しいことなのですが…),シリコンバレーのベンチャー関連の人々と協業できるようになるしか,目標達成へのパスが無いのかと考えていたので,他の選択肢ができるのは大歓迎です.
是非,是非,「日本のシリコンバレー」実現させてください!
あとこういう新しいことに挑戦できるのは、中心部にいる人ではなく、周辺部にいる人だとも思います。そういう意味では奈良は理想的な環境なんですけどね。関東より関西のほうが気候的にもシリコンバレーに近いですし(気候はエンジニア的にはかなり重要な要素だと思います(笑))。
奈良先端大は理系の大学院大学ですが、文系の人も2割くらい、社会人学生も1割、留学生も(自分の研究室では)3割、飛び級して来る人も毎年いれば、留年しまくったり社会人辞めて来る人もいて、ストレートで来ている人の方が少ないくらい、多様な環境で、こういうところで人が育つのはいいなぁ、といつも思っています。
とりあえず手始めにいまはインターンシップに行く人を増やそうとしています。海外のインターンシップにも年間数名送り込みたい、と。Apple に1人日本からの博士の学生をインターンとして紹介しましたが、彼は今週から働いているようです。アカデミアとのつながり(行ったり来たり)も大事だと思います。アメリカでは助教や准教授くらいの人がサバティカルで1-2年間 Twitter とか Yahoo! とかで働いているのを見るとうらやましいです。
学生さんも、インターンシップに行くのが当たり前になってくると、そのうちスタートアップ企業でインターンシップやアルバイトする人も増えてきて、「これなら自分もできる」とか「こんなところがまずかったから自分たちはこうしよう」とかいう人が出てきてくれるものと思っています。(PFI という会社はまさにそんな感じですね http://www.is.s.u-tokyo.ac.jp/utis/ob/ob/talk2_01_01.html ) 5年10年の仕事になるでしょうが、割と世の中変わりつつあるなと感じています。
立場は違いますが、(自分も含め)若い人たちの力で日本を元気にしたいですね。