My Life After MIT Sloan

組織と個人のグローバル化から、イノベーション、起業家育成、技術経営まで。

ノーベル平和賞はオバマ大統領への援護射撃

2009-10-11 22:35:23 | 7. その他ビジネス・社会

結局、今回のノーベル賞の中で、一番驚きだったのはこの平和賞だったんじゃないか。
経済学賞の発表はまだだけど、この平和賞の驚きを超えることは無いように思う。

アメリカでもこれは賛否両論の嵐。(メディアはわりとビバ・オバマだけど)
「経済政策だけでなく、イラクからの撤退だって何も成し遂げてないのに、まだ早いでしょ」という論者はアメリカにも多い。
けれど、ノーベル平和賞の意味をじっくり考えると、タイミングは今しかないんじゃないか、と私は思う。

今回、オバマ大統領が何故平和賞に選ばれたか、という理由は色々あると思うが、
その中でも、次の二つが特に重要だと私は思っている。

1) オバマ大統領へのプレッシャー

結局ノーベル財団は、米国の軍需産業とのつながりが少ないオバマ大統領に、アメリカの起こす戦争・紛争の減少と軍備縮小を本当に実現することを期待しているのだろう。
で、平和賞は「それを必ず成し遂げるように」というメッセージなのだ。

日本のメディアでどれだけ放送されてるか知らないが、アフガンやイラクではいまだにすさまじいテロが起こり、それを多国籍軍が攻撃し、ということがしょっちゅう行われている。
これだって、アメリカがそこにいるからそうなってるわけだ。
早く撤退してくれれば、この地域にも平和が戻ってくるだろう。

「イラクからの撤退」は彼の大統領になる前の公約だった。
しかしながら、やはり軍部の大きな反対と妨害に会い、撤退期限は2010年夏(実質的には2011年)まで引き延ばされた。
今後さらに引き伸ばされる可能性も大きい。

でも、ノーベル賞もらったら、やらざるを得ないでしょう。
絶対に。

彼が大統領に就任してから言い出した「核廃絶」だって、これで本気で取り組まざるを得なくなる。
廃絶は彼の任期では不可能としても、縮小に向けて動き出さざるをえなくなるでしょう。

2) オバマ大統領への援護射撃

ノーベル平和賞には、「政治的に消されかねない人に平和賞を贈ることで、守る」という意味合いがあるらしい。
世界中がその人を支持していることを示し、反対派を牽制する。
ゴルバチョフ大統領やアウン・サン・スー・チーなどがその例だといわれている。

オバマ大統領については、大統領になる前に「本当に大統領になれるか(なる前に暗殺されないか)」と心配されていた。
が、就任した後だって暗殺されるリスクは何も減っていない。
現状では「何も成し遂げていない」から、暗殺する理由は無いが、
これから彼が本気でイラクから撤退し、軍備縮小などに手をつけ始めたら、暗殺リスクは高まるだろう。
アメリカの巨大な軍需産業をなめちゃいけない。

この平和賞がなければ、核縮小なんていうに及ばず、イラク撤退すら実現させられないかもしれない。
そう考えると、彼に今平和賞を送るのは、イラク撤退・軍備縮小を実現する援護射撃として最も適当と言えるんじゃないか。

そういうわけで、私はオバマのノーベル賞受賞を素直に応援したいと思ってます。
ていうか、もうこの国に「世界の乱暴者」として全ての紛争源になった上で、それを正当化する動きを本当にやめて欲しい。
オバマには頑張っていただかないと。

他のノーベル賞関連の記事はこちら。

ノーベル物理学賞-「光」なのに日本人がいないのは納得いかない
ノーベル化学賞-リボソーム。本当に氷山の一角しかもらえないんだね・・・

←クリックで投票お願いします



最新の画像もっと見る

post a comment

ブログ作成者から承認されるまでコメントは反映されません。