ドメーヌ・ド・ラ・ロマネ・コンティ(DRC)のロマネ・サン・ヴィヴァン、1986年。 このワインは、お値打価格とはいえ、レストランでも高いワインのひとつ。 1986年といったら、そこまで素晴らしい、という年ではない。 正直、こんな良いワインを、三十そこそこの自分が飲める機会があるとは思わなかった。 |
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良いワインなので、普通のスタッフではなく、セラーマスターが登場。
とても緊張した面持ちで、デキャンタージュをしている。
非常にゆっくりと、あわ立たせないように、えんじ色の液体がデキャンタに注がれる。
緊張したマスターの表情を見ているだけで、このワインが特別なワインだということが分かる。
私が写真を撮っていたら、テーブル担当のスタッフが
"Daniel, you should smile. She is taking your picture"
(ダニエル、笑わなきゃダメよ。写真を撮ってるのよ)
するとマスターは、
" I'm concentrated on it" (私は集中しているんだよ)
と答える。
二人とも、このレストランに勤めて、何十年、と経つんだろうな、という雰囲気を漂わせている。
そんなスタッフが緊張して扱うワイン。大切に飲まなくては。
デキャンタしているそばから、まるでバラの花のような芳しい香りが漂ってくる。
色は、デキャンタに注いでいる時から、えんじや茶色の色が目立っていた。
グラスに注いでもえんじ色。淵はオレンジに染まり始めている。ちょうど飲み頃だ。
香りは、注いでいる時はバラの香りだったが、一度グラスに入って多少納まった。
代わりに、少し木の皮やけものに近い香りが目立つ。
10分くらい経つと、ワインが花開いてきた。
バラの花束。少しずつ違う、いろんな種類のバラを集めてきた花束みたいだ。
ベリーの洪水。最初に強くやってくるストロベリー。それからちょっと重めのラズベリーや酸味が鼻をくすぐるクランベリー。
柑橘系は余り感じないが、強いて言えばオレンジだろうか。
そしてマッシュルーム。木の皮やバニラ、メープルシロップのような香り。
時間をかけて、ゆっくりと飲んでいると、紅茶、ダージリンティーのような香りも漂ってきた。
そしてムスクもあるだろうか。重く、しっかりとした香りが芯を支えている。
味は、最初酸が強くて、落ち着かない感じだったが、だんだんタンニンと馴染んでくる。
とても力強いワイン。ロマネ・コンティがバラやストロベリーのような香りがしながら、男性的なワインだと言われる理由が良く分かる。
後味は、強い酸味とミネラルの味。強く舌に残る。
時間を経ていくと、これがイチゴミルクのようなまろやかさに変わっていくから不思議だ。
これを書いてる今は、飲んでから5日も経つが、鼻腔をくすぐるストロベリーとバラの香りが鮮明に記憶に残っている。
これが本当のワインなんだなあ、と思った。
前日のムルソーといい、本当に良いワインが飲めて幸せだー。
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