今日は岡山も気温が高かったような気がしますね。
ニュースでは東京都内は9月上旬ぐらいの気温と言ってました。
明日からはまた涼しくなるみたいです。
最近は、時間があれば部屋に閉じこもって、ひたすら帚木蓬生さんの著作をまた読み返してます。
部屋に閉じこもるのは、読んでると時々ホロリとしてしまう事があるので、子どもらにそれを見られたくないからです。
なので、録画しているさんまさんの番組やら、吉本新喜劇もたまる一方です。
初めて、帚木蓬生さんの著作で読んだのは「閉鎖病棟」という本です。
表紙がおどろおどろしいので、それを見た限りでは、「シャッターアイランド」のような、孤立した精神病院で
何やら身の毛もよだつような事件が起こるような話かと思われますが、(←ちょっと言いすぎかもしれません(^^;>>)
全然そんなことはなく、山本周五郎賞を受賞されているだけあって、作者の登場人物に対する愛情が感じられる所なんかが、
山本周五郎先生の作品にちょっと似通った所があると思います。
(帯の紹介文はちょっと大げさだと思います。殺人事件はそこまでウェイトを占めてない気がします。)
その本をとある書店で手に取ったのは、ちょうど岡山から夫の転勤先に引っ越して1年位経って、
その地に慣れてきた娘が保育所に行きたいというので、急遽私も仕事を探し、とある大学病院の門前薬局に
勤めて暫く経った頃です。
以前は、大学病院もまだ全ての処方箋を院外に出している訳でなく、特定の診療科に限られていたのですが
精神科もそれに含まれていて、初めて患者さんに説明をしてお薬を渡すという仕事につく私は
かなりのジレンマに悩んでいました。
他の診療科の薬だと、伺ったりお話しする事柄は、患者さんの状況も加味しながら、ある程度は道筋があったのですが、
精神科については何をお話したらいいか分からず、他に飲んでる薬なんかを伺っても教えて貰えなかったり
本当にどうしていいか分かりませんでした。
また、「羊たちの沈黙」という映画の影響もあって、その様な疾患の患者さんは他の病気の患者さんとは一線を画すべき
存在のように思えていたのです。(これはあくまで私の思い込みに過ぎなかったのですが。)
でも、「閉鎖病棟」をたまたま手にとって、読み進めるうちに、登場人物(主に精神病院に入院している(恐らく)
統合失調症の患者さん)が隣にたたずんできて、息遣いが聞こえるような気がしてきたのです。
それ以降は、全てが上手くいく訳ではなかったですが、少なくとも患者さんに真正面に向き合うように
なれた気がします。
帚木蓬生さんは東京大学仏文科卒業後、ジャーナリスト志望という事でTBSに入社しましたが、全く違う分野の仕事に配属され、
2年後に退職して、その後郷里の九州大学医学部を卒業し、精神科医と文筆家の2足の草鞋を履いて、今に至っています。
帚木蓬生さんの小説はやはり医学関係が多いですが、第二次世界大戦の頃を扱った著作にも素晴らしいのが多数あります。
あくまでフィクションではありますが、史実に近い内容ではあるので、日本人として知っておくべきでは・・・と感じ入ります。
帚木蓬生さんの著作は、本当に少しでも多くの方々に読んで欲しいなぁと思います。
他の作品についてもまた書かせて下さいませ。