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正相型12dBネットワーク 1

2015-06-12 01:36:37 | オーディオ
スピーカーの12dB型ネットワークの問題点について無線と実験誌で安井章先生が時々連載されていて気になっていました。最近では2012年4月号から7月号にかけて正相型の12dBのフィルターの解説とスピーカーのネットワーク、パッシブ型のチャンネルデバイダー、アクティブ型のチャンネルデバイダーの製作記事が順次連載されています。

普通によく使われる12dBネットワークの特性を 自作スピーカー設計プログラム でシミレーションしてみます。スピーカーはSTEREO誌の付録PW80とPT20を使用し2000Hzクロスでおこなってみまた。

ネットワークの素子の数値はフォステクスで発行しているテクニカルデータシートによる-3dBクロス12dBにしています。

これは制動定数が0.707(=1/√2)バターワースでMOOK付録のチャンネルデバイダーと同じ特性になっています。

他に 制動定数 1 オールパス  0.57 ベッセル  0.5 リンクビッツライリーなどなどで制動定数が大きいほどクロスオーバー周波数近くから急激に減衰、小さいほどクロスオーバー周波数から離れた所からゆるやかに減衰します

計算式は インピーダンス8Ω クロスオーバー周波数 2000Hz 制動定数0.707でおこないます



 
とお馴染みのデータシートどうりです。

スピーカー設計プログラムでシミレーションしてみると





ツイーターをプラスマイナス逆にせず正相に接続すると



のようにクロスオーバー周波数で深いディップができてしまします
そのため逆相に接続すると



ときれいに音圧特性がフラットになります


ただ位相特性を見るとクロスオーバー周波数では180度回転してしまい特性が乱れやすいようです

安井章先生によると正弦波でも第1波目の合成波は30%程度の減弱 3波目程度でほぼ波形が本来の振幅になるようですが、音楽信号では常に違う形の信号ですから常に合成波が30%減弱し続けるリミッターをかけたような音声になってしまうようです。これはスピーカにつけるネットワークばかりではなくチャンネルデバイダーでも同じ振幅の減弱がおこってしまいます。

これがネットワーク嫌いな人を生んでいるようです。

シングルコーンスピーカー一択の人、6dBネットワークは合成波の減弱がないため6dBネットワークのみを使用する人というのは( 無線と実験の金田明彦先生もかつては18dBクロスでしたが今は6dBを使用されています)リミッターがかかったような躍動感が欠けるのを厳しく聞き分けているのだと思います。

ただどうしてもスピーカーの分割振動帯域を使用したくない場合は6dBクロスのネットワークはやはり厳しいものがあります。そこで考えられたのが正相型12dBネットワークです。

基本は12dBのクロスオーバーネットワークを正相に接続しクロスオーバー周波数のディップを埋めるようにウーファーのクロスオーバー周波数より高い周波数にクロスオーバー周波数を設定、ツイーターは逆に低い周波数に設定してディップを埋めるうように設定します。



大体ウーファーはクロスオーバー周波数の2.1倍と高めの周波数、ツイーターは2.1分の1と低めに設定するようです。