ひとり井戸端会議

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発言者を特定し処分すべきであるが…

2014年06月20日 | 倫理・道徳関係
女性都議へヤジ、抗議1千件 自民、発言者特定せぬ意向(朝日新聞) - goo ニュース

 東京都議会で晩婚化や晩産化の対策について質問した塩村文夏(あやか)都議(35)が、「自分が早く結婚すればいい」と男性都議からヤジを飛ばされた。ウェブ上で「セクハラだ」と議論が高まり、都議会には1千件を超す批判が殺到した。最大会派の自民は、発言者を特定せず幕引きを図ろうとしている。
 18日の都議会一般質問。「不妊治療を受ける女性のサポートを都は手厚くすべきだ」。そう訴えた塩村氏に対し、「お前が早く結婚すればいいじゃないか」「産めないのか」とヤジが相次いだ。笑い声も上がり、塩村氏は議席に戻ってハンカチで涙をぬぐった。
 塩村氏の所属する会派「みんなの党 Tokyo」は、ヤジが「自民の席から聞こえた」と抗議。自民の吉原修幹事長は「自民の議員が述べた確証はない。会派で不規則発言は慎むように話す」と述べるにとどまり、発言者を特定しない意向を明らかにした。
 最大会派の姿勢に対し、各会派の女性都議全25人は19日、「議会の品位をおとしめるヤジは無いよう注意して欲しい」と吉野利明議長に申し入れ。みんなの党は、発言者の処分を求める申入書を議長あてに出す方針を決めた。発言者が不明のままの場合、録画映像の音声から声紋分析する準備も進めている。
 都議会での発言は会議規則で「騒ぎその他議事の妨害となる言動をしてはならない」と定めるが、セクハラ発言については「罰則はない」(議会事務局)という。政治家の女性蔑視発言では、03年に太田誠一衆院議員が早大サークルの強姦(ごうかん)事件で「集団レイプする人は元気があるからいい」と発言、07年に柳沢伯夫厚労相が「女性は産む機械」と述べ、いずれも次の国政選挙で落選した。



 三木武吉は「国会のヤジ将軍」と呼ばれていました。なかでも有名なのが、大正9年、当時大蔵大臣の高橋是清が、海軍の予算案について説明していたときのヤジです。高橋が、「陸海軍ともに難きを忍んで長期の計画とし、陸軍は10年、海軍は8年の…」と演説をしていたとき、ここで間髪入れずに、「ダルマは9年!」とヤジを飛ばし、議場は爆笑に包まれたといいます。

 このヤジは、中国禅宗の開祖とされている達磨大師が9年間座禅をして悟りを開いたとの故事と、高橋のあだ名であった「ダルマさん」とがかかっています。高橋もこのヤジには苦笑し、しかも普段は謹厳なことで知られる濱口雄幸も大笑いしていたといいます。

 この三木のヤジのように、絶妙なタイミングで、しかも理知的なヤジは、議会の運営を円滑にして場の空気も和やかにするものです。したがって、ヤジも飛ばし方によっては議会運営にとっても、政策論議にとっても、有益なものなのです。


 しかし、どうも最近の政治家というのは、ヤジを罵詈雑言を飛ばしても良いことと勘違いしているように思えてならないことが多々あります。その一例が今回の件でしょう。

 今回の件は、ヤジではありません。ただの罵詈雑言であり、セクハラです。みんなの党をはじめとする諸会派が発言者の特定を要請したのは当然です。

 確かに、今回の「ヤジ」は自民党の議員が飛ばしたものという確証は今のところないですが、自民党側から出ていたという証言がある以上、「ヤジ」の悪質性を考えれば、身内の調査を行い、発言者を処分するのが常識というものです。このような、女性蔑視といえる発言に対する現在の社会の対応からして、不問に付すなど有りあえません。この記事にもあるように、声紋分析も行って発言者を特定するべきです。


 ところで、この「ヤジ」を飛ばした議員のように、「そう言うならお前がしろよ」的な発言はよく見られますが、こうした考え方というのはナンセンス以外のなにものでもありません。

 そもそも、「したくてもできないこと」はたくさんあります。人はみんなそれぞれ色々な事情を抱えて生きているものです。そうしたところに思いを寄せられない人間は、政治家になるべきではありません。

 しかも、よりにもよって全体の奉仕者である公務員たる政治家が、「お前がしろよ」って、馬鹿としかいいようがありません。この「ヤジ」を飛ばした議員は、政治とは何かを全く分かっていないということを、議場でカミングアウトしたようなものです。


 今回の件をめぐって、ここぞとばかりにフェミニストが騒ぎ出しているのも、気持ち悪いです。私は基本的にフェミニストは男尊女卑をひっくり返しただけの女尊男卑のルサンチマンでしかないと思っていますが、こうした連中が騒ぐ場合というのは、今回の件で言えば女性への子育て支援に対する議員の無理解を難詰するというよりは、連中の政治運動のため、イデオロギーのためです。

 変な色の派手なスーツ着た福島瑞穂系議員が、これみよがしに「女性の代表」といわんばかりにしゃしゃり出て騒ぎ立てるのも、この「ヤジ」と同じぐらい不愉快だし、そんなものは非生産的です。「ためにする議論」はやめるべきです。


 最後に、この朝日新聞の記事では自民党の議員の発言だけを取り上げいて、ここからはここ最近の朝日の節操のない自民党批判の一端を垣間見れますが、このような女性蔑視発言をする政治家は、山岡賢治の「ノーズロ」発言のように、何も自民党だけではありません。

 それから、(朝日的には)女性蔑視といえる「ババァ発言」をした石原慎太郎はその後も都知事選、衆院選を当選していますし、森喜朗も同様ですが、どういうわけかこの記事には挙がっていません。落選した議員だけ(しかも自民党)取り上げて、自民党=女性蔑視の政党、という印象操作でもしたいのでしょう。

 

 こういう女性についての問題が起こるたびにいつも繰り返される、自称「オンナの代表」フェミニスト火病る→マスコミ便乗→問題の本質忘れられる、の悪循環だけは避けたいものですね。

 問題の本質は、このような「ヤジ」を飛ばした議員を特定して処分し、塩村議員が提起した子育て支援策をどうするか、です。不謹慎かも知れませんが、私はこれがきっかけで、少しでも自治体の子育て支援策について関心が高まれば、怪我の功名かなと思っています。

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